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2011年10月29日 (土)

「法律事務所」関連の商標登録で知財高裁判決、特許庁敗訴

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT

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「ユニバーサル法律事務所」という商標登録を出願した本件原告Xが、既存の他者「Universal」商標と類似するとの理由で、特許庁から登録を拒絶され、不服審判を特許庁に請求したが「請求不成立」と審決されたので、この審決の取消を知財高裁に訴求し、知財高裁は原告の請求を認容して特許庁の審決を取消し、訴訟費用は被告特許庁長官の負担とすると判決した(判決言渡2011-10-24・平成24年行ケ10131審決取消請求事件)。商標の類否の判断において、弁護士業務と弁理士業務の関連なども考察されており、特許庁と知財高裁との判断の相異を、今後の類似案件に演繹して参考とすべきである。ここには知財高裁の判断として示された記述のみ要約する。

(1)  当知財高裁は、原告X主張の取消事由には理由があり、特許庁の本件審決は違法として取消されるべきものと判断する。

(2)  原告Xの出願商標「ユニバーサル法律事務所」は、左に「ユニバーサル」の標準文字が片仮名で表記され、右に「法律事務所」の標準文字が漢字で表記されている。

(3)  被告特許庁の引用商標は、図形および「Universal」欧文字筆記体の組合せから成る。

(4)  出願商標の「ユニバーサル」は、「普遍的な、全世界の」等の意味を有する一般的な語であって、格別に強い印象を与える名称とは言えず、「ユニバーサル」の部分のみによって「法律事務所」の役務の出所が識別されることは、通常はない。

(5)  引用商標からは、法律事務所であるとの観念は生じない。引用商標の図形からは、看る者によっては上記各観念に対応する称呼を生じる余地があり、また、文字部分から「ユニバーサル」の呼称を生じる余地があるが、必ずしも、一義的に確定できるものではない(佐成重範弁理士考察:この結びの表現に要注意)。

(6)  被告特許庁は、インターネット・新聞・雑誌などで、「法律事務所」の表記を省略する例があることなどから、X出願商標中の「ユニバーサル」部分のみが、自他役務の識別機能を果たし得る部分であると主張するが、弁護士法との関連もあって、「法律事務所」の文字を省略する例は少ない。

(7)  X出願商標と特許庁引用商標とは、概観において著しく異なり、観念において相異し、呼称において一部共通するものの、取引の実情を考慮するならば、類似するとは言えない。これらを全体的に考察すると、X出願商標と特許庁引用商標とが、役務における誤認混同を生じるおそれはなく、特許庁審決の判断には、誤りがある。

佐成重範弁理士所見→ 原告主張の中にには、「弁護士と弁理士の業務範囲」について、「原則として取引者・需要者は、当該弁護士が所属するユニバーサル等の名称等によって役務の出所を認識・判断できるから、弁護士が提供する「訴訟事件その他に関する法律事務」と、「通常は弁理士が提供する「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務」とは、仮に同一又は類似の商標が使用された場合でも、誤認混同のおそれはない」旨の主張を詳述しているので、司法書士・行政書士を含めて、法律業務専門職の参考になる場合があろう。

(コメントは sanaripat@gmail.com  にご送信ください)

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