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2011年10月28日 (金)

特許庁長官が敗訴、知財高裁・テトラパック関連発明の特許性

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT

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流動性食品等の包装容器用積層体の分野は、新たな流動性食品等の開発が間断なく進む状況のもとで、技術開発が特に広汎に要請されるが、日本テトラパック株式会社は、発明の名称を「積層材料、積層材料の製造方法、積層材料のヒートシール方法および包装容器」とする発明について特許出願し、拒絶査定されたので、不服審判を請求したが、請求不成立と審決されたため、この審決の取消を知財高裁に訴求し、知財高裁は日本テトラパック(本件訴訟代理人・清水正三弁理士)の請求を容認して、特許庁の審決を取消すと共に、訴訟費用は被告特許庁長官の悲嘆とすると判決した(判決言渡2011-10-24:平成23年行ケ10022号・審決取消請求事件)。争点は要するに、日本テトラパックの本件発明が特許権付与の要件である進歩性を有するか否かであって、特許庁の査定および審決はいずれも、進歩性を認めなかったのに対して、知財高裁は進歩性を認め、上記判決をくだした事件である。

佐成重範弁理士所見→ ここには、上記進歩性の有無判断の内容を要約することよりも、このような。特許庁・知財高裁間の判断の相異という現象がもたらす影響の一つとして、産業経済のグローバル化に即応する、いわゆる「特許権のグローバルな相互承認」の実現を目指すべしという先進国等の特許庁等における主張が、実現の根拠を極めて希薄にするという現実の指摘にとどめる。この「特許権のグローバルな相互承認案」については、最近の発言として、元特許庁長官・現住友電気工業常務・中嶋 誠氏が朝日新聞(2011-10-17)に寄せた「特許制度、グローバルな相互承認を」と題する論考があるので、先ずこれを要約する。

(1)  現在の特許制度は、企業活動の急速なグローバル化に十分対応できていない。国境を超えて有効な特許が必要になっているのに、発明者は各国の特許庁ごとに出願し、審査を受け、その国の特許権を取得しなければならないからだ。

(2)  世界全体で年間190万件の出願のうち、外国への出願が4割を占める。各国の特許庁が先行技術文献を検索し、その出願が世界で初めての発明かどうかを重複して審査するのは、審査待ち時間の長期化、コストの増大を招いている。

(3)  望ましい特許制度は、発明者が自国の特許庁に出願し、審査され、取得した特許権が他国で改めて審査されずに、世界中で保護されることである。

上記中嶋氏論のうち、先行技術と出願発明の異同の判断を、世界各国の特許庁が相互承認することの現実性と利点は、かなり明瞭である。しかし特許権付与の本質は、先行技術との相異を前提として(すなわち、出願発明に新規性を認めるとして)、その新規性に「進歩性」すなわち、「先行技術からの非容易想到性」を認め得るか否かにある。日本国内でも欧米でも、特許庁の判断が知財高裁またはこれと対応する裁判所で否定される例は数多い。先行技術の各国特許権相互認識ないし認識の共有までは現実的に有用だが、審査結果の相互承認については、当初審査国において特許付与が知財高裁により取消される場合も数多い現行制度の妥当性を確認し、性急な結論を差し控えるべきである。

(コメントは sanaripat@gmail.com  にご送信ください)

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