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2008年11月10日 (月)

Patentの価値評価を考える

Bio Plasticsのパテントと経済性: 朝日新聞の「休眠特許」欄(9 Nov 2008)にキリンホールディングスも登場

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT

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 GNPや人口比で比べると、わが国の特許出願件数は米国のそれを凌駕しているが、審査未処理の「滞貨」や休眠特許の多さも世界一と推測される。その原因や含意を考察することは容易な業でないが、朝日新聞が個別案件的に紹介している「休眠特許」事例の考察は、特許制度についての国民の認識を高める意味においても有益である。

 いわゆる「街の発明家」の「生産コストや付帯障害」に気づいていないための「休眠特許」の紹介が今までおおかったが、特に昨日は、キリンホールディングスというビール・飲料・医薬・特許取得の大手企業の事例が話題とされたので、読者の関心が高かったと思う。

 また話題の焦点がバイオプラスチックに関係し、日本バイオプラスチック協会によるグリーンプラ表示制度・バイオマスプラスチック表示制度も運用開始されて、来月(11~13 Dec 2008)には東京ビッグサイトでエコプロダクツ2008も開催予定の折柄、本件キリンホールディングス休眠特許の休眠理由が注目されるであろう。

 朝日新聞紹介の内容(SANARI PATENT要約)は、

(1)   キリンホールディングスはバイオプラスチックの原料「L-乳酸」を高効率で生産可能な酵母を開発し、日本生物工学会(Aug 2008)で発表した。

(2)   乳酸は、澱粉や糖類を微生物で発酵させてつくるが、微生物として乳酸菌を使う従来手法では、L-乳酸にD-乳酸が混入し、製品プラスティクスの耐久性を低くする難点がある。キリンホールディングスが開発した公募で発酵させると、純度99%超のL-乳酸ができる。

(3)   キリンホールディングスは当初この酵母を「蛋白質をつくる医薬用酵母」として特許を取得したが、所期の効果を得ず、商品化を断念していた。

(4)   愛知万博ではバイオプラスチック原料として展示し、バイオプラスチックの安定的量産に役立つことが認識されたが、バイオプラスチックの生産コストは、石油系プラスチックの2~3倍に達し、実用に至らず、特許も未利用(ライセンスにも至らず)である。

SANARI PATENT所見

 バイオ分野では、医薬品について当初課題とした効能以外の効能が発見されて用途発明が認められる場合が少なくないが、医薬品としての他効能と、医薬品以外についての他効能との二つの場合がある。いずれにせよコスト効果は特許の実用性を決定するが、最近は廃棄物排出時のプラスチック分別が家庭にも浸透し、再生処理体制が整備されたので、その環境・コスト効果も考慮して実用性(特許の価値評価)をなすべきである。また上記分別廃棄に関連して、日本バイオプラスチック協会によるバイオマスプラスチック表示制度の徹底が重要である。

(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

パテント、休眠特許、キリン、L-乳酸、バイオプラスチック協会

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