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2007年8月23日 (木)

Value of Sleeping Patents 浴用タオル特許発明の商品化が「門前払い」の報道:類似例を朝日新聞が日曜日ごと紹介

What Means Quality of Patent ?  個人発明における「高度な技術的思想の創作」「新規性・進歩性・非容易想到性」

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

(この記事に対する修正ご要求は、patent@sanari.nameにメ-ル下さい)

  朝日新聞が毎週日曜日に、「休眠特許」と題するコラムを設けてきた。今週は、「泡で洗う、浴用タオル」という発明で、特許を取得したが、商品化のための企業への持込は「門前払い」と紹介している。

1.        休眠特許の価値

1-1  特許要件の一つは「産業上の利用可能性」で、従って、特許が付与された以上、自己使用・譲渡・ライセンスのいずれかで産業上利用され、特許法の目的「産業の発達に寄与する」と自他共に期待するが、上記朝日新聞の連載はこの期待に沿わない事例を次々に紹介している。紹介する趣旨を述べていなとので、特許批評的に意味深なのか、周知のために好意的なのか分からないけれども(今週の記事においては、和気真也記者は発明者と発明内容に非常に優しく好感を示している)、少なくとも知財専門家としては関心を持つ記事である。

1-2  事例として先ず、今週の記事を考察する。

1-2-1      紹介されたのは、特許3806134(2006-5-19登録)、発明の名称「浴用タオル」。発明者・岡本涼子氏(特許文献には記載していないが、朝日新聞の記事では、主婦・55歳)。

1-2-2      発明の内容は、朝日新聞は流石に分かりやすく、「岡本さんは7年前から、肌に優しく、きれいに洗えるタオル作りに取組んできた。石鹸の泡に注目し、昨年辿りついたのが、泡がよく出るタオル「あわみん」だ。柔らかめのナイロンタオルの中央に、約30cm四方のメッシュと硬めのナイロンを重ねる。それぞれに少し皺が寄るように縫うのがミソで、きめ細かい泡を作りだす。」

1-2-3      これが公開文献の要約では、

1-2-3-1           課題: 洗浄効果、皮膚への優しさ、洗い易さ、清潔性等の特性を併せ持つ浴用タオルの提供

1-2-3-2           解決手段: 平面長方形状の基布と、その略中央部の上部に中布・上布がそれぞれこの順に設けてあり、全体が3重構造になっている。これらの基布・中布・上布がの端面がいずれも縫合されている。そして、上布は基布および中布に対して弛ませて構成されている。このように構成することにより、中央の多層部で泡立てて、その他の部分で余分な水を絞って廃棄するという含水分量調節ができる。その結果、微細で粘度を持ち洗浄効果の優れた泡質の泡を得ることができる。従来の浴用タオルに比べて、泡の皮膚への吸着度、泡保持性、洗浄力に優れるので、皮膚を摩擦することなく洗浄効果を得ることができて皮膚を痛めない。

1-3                      朝日新聞によれば、企業が「門前払い」した理由は、「縫い合わせに工程を要し、高コストとなる」ことで、タオルの単価から考えて、また起泡性良好な洗浄液やタオル生地の加工・材質選択等の代替方法との比較を考えると、商品化に消極的な企業の立場も理解できる。

2.        SANARI PATENT所見

2-1 朝日新聞の読者は先ず、特許の「高度技術創作性」の水準について認識し、発明者が投じた出願費用に想いを馳せたかも知れない。

2-1  特許庁による公開文献としての、この特許の要約(1-2-3)を見ても、内閣知財戦略本部の知財推進計画07が、「特許出願明細書の平易化・明瞭化を促進する」として、「出願書類を作成するに当たり、技術的に簡単・明瞭な文言を用いて明確かつ簡潔に記載するよう、日本弁理士会に対し協力を要請する」と計画している趣旨が頷かれる。

2-2  しかし、出願書類記載の平易化によって本人出願を活発化し、特許取得コストの低減によって知財人材の裾野を拡大するためには、特許庁が主導的・起動的に発明の着想等を理解し、朝日新聞記事のような記述に「技術的な簡単・明瞭性を認めること」が必要である。現に訴訟手続では、簡裁訴訟では約8割が本人訴訟であり(地裁では4割)、口頭提訴も認められている。

2-3  知財専門家も、従来方式の出願構文を脱却して、国民が親しみ易くし、かつ、コストの観点からの商品化可能性予測も含めて、発明者にアドバイスする知見を涵養すべきである。

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