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2007年8月 7日 (火)

Public Comment for IP Strategic Program 2008 本月10日がパブコメ送信期限:内閣知財戦略本部は「知財戦略一般論から分野別知財戦略策定へ」

Priority Measures for Life Science, Info-Communication, Environment, Nano-Technology  4分野について、内閣知財戦略本部にSANARI PATENT意見を送信

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

(この記事に対する修正ご要求は、patent@sanari.nameにメ-ル下さい)

  標記についてSANARI PATENTは、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジ-の4分野に関する下記意見を内閣知財戦略本部あて送信した。

  記

1.        ライフサイエンス分野について

1-1  「医療方法全般を特許の対象とすべきである」とする意見は、米国特許法との整合の見地からも、内閣知財戦略本部の発足当初から、有識者本部員等により主張されてきたと理解しております。その後、「医療の特質にかんがみ、医師の行為に係る技術を特許の対象とすることには、慎重な配慮が必要であること」、「先端医療技術の開発・普及のためには、産業界の協力やインセンティブも重要であるが、特にそれが必要な分野は医療機器・医薬に密接に関連する分野であること」などから、医師の行為に係る技術は、検討の対象から除外することとした、とされて現在に至っております。

   しかしながら、第3期科学技術基本計画が、医療方法全般のイノベ-ションをも対象としていることに即応して、知的財産戦略がどのような機能を分担すべきか、この際、改めて検討し、国民の納得を得ることが適切と考えます。例えば、米国において、医療関係の特許付与に限定を設けないと共に、医師の行為について免責していることに倣うべきか、特許付与によらずに、発明のインセンティブ(診療報酬等)を付与すべきかなど、であります。

1-2  上記以外の医療関係発明については、審査基準改正により特許付与対象を拡大されてきましたが、健保等の国民医療政策上、および、「産業上利用可能性」を認め得る限界まで、「医療機器の作動方法」、「医薬の製造・販売のために医薬の新しい効能・効果を発現させる方法」に準じて、特許対象を拡大すべきであると考えます。

   このことについては、「医療方法に関する審査基準による現行運用には明らかに限界があり、立法的解決を図るべきである」との意見に対し、「特許付与の対象範囲に関し、特許審査の統一性・透明性を高めるべく、さらに検討する」としてこられましたが、その具体的措置を明示されることを要望申しあげます。

   上記に関連して、医薬品に関する用途発明の進歩性基準をさらに明確にすべきであります。特許期限が満了する医薬品数が著増することに伴い、同一物質の別薬効(副作用を含む)を用途発明として特許出願する別企業の行動が、米国等で目立っている由で、進歩性の判断基準を明確にし、混乱を予防すべきであると存じます。

1-3  Neuro-Informaticsを活用した「失われた人体機能を補完する医療」など、萌芽・融合領域や、再生医学・遺伝子治療に係る発明の特許性については、「医療機器の作動方法」、「医薬の製造・販売のために医薬の新しい効能・効果を発現させる方法」に準じて、早急に特許対象を拡大すべきであると考えます。

1-4 遺伝子組換バイオ製品に関する特許審査基準を新たに別立てで制定し、遺伝子組換バイオ製品の創造・保護・活用を促進する政策(グロ-バルな食料・エネルギ-需給対策の見地から)を明示すべきであります。遺伝子組換バイオ製品の有害性を主張する実験例も発表されてきましたが、これら実験そのもの不適切性が指摘されており、遺伝子の水平伝播や雑種形成との実質的同等性の概念に基づく結論が妥当と考えます。

遺伝子組換バイオ製品のうち食品については、例えば、在来農産物の遺伝子を微生物の殺虫毒素分泌遺伝子で組換えることの対ヒト安全性(毒性)を懸念し、また、特定除草物質に反応しない遺伝子組換農作物の制覇が、除草費用削減の半面効果として天然の遺伝子種を消滅させ、種の多様性を減殺するという、ヒト安全性、環境保全を理由とする反対意見を解消するに至っていませんが、これら反対に対する所要の説得を、科学技術政策の基盤としつつ、遺伝子組換バイオ製品に関する発明の創造・保護・活用を促進する計画を明示すべきであると考えます。

2.情報通信分野について  

2-1 特許審査の促進政策において、わが国がリ-ドしている電子タグ、光ネットワ-ク、ロボット、コアデバイス、情報家電、高機能ケ―タイに重点を置くべきであると考えます。すなわち、第3期科学技術基本計画・情報通信分野の記述において、「イノベ-ション」の定義を「連続的な技術革新」としていますが(イノベ-ションの定義を複数見受けますが、その一つです)、これを「経済的社会的革新を結果する技術革新」と改め、このようなイノベ-ションに直結する情報通信分野の知的財産開発を目標として明示すべきであると考えます。

2-2 第3期科学技術基本計画が掲げる「情報通信に関する既存技術の限界を補完する組織・人間系の管理手法、法律等の社会システムの高度化も併せてバランス良く実施する必要性」にかんがみ、これらに関連するビジネスプログラムの知的創造に対し、特許法の「発明」を「自然法則の利用」に限定せず、米国と同様に、特許性を認めるべきであると考えますが、法改正事項として検討を望みます。

2-3 当面、特許付与における進歩性の判断基準を、ネットワ-ク領域(構成要素の相互接続による新機能の創造)、デバイス・ディスプレイ領域、ソフトウェア領域、コンテンツ領域(情報の収集・集約)、研究開発基盤領域(検索技術)、ヒュ-マンインタ-フェイス領域(脳科学の進歩に基づく理解性測定機器の開発等)、セキュリティ領域、ユビキタス領域(電子タグ)、ロボット領域に分けて、容易想到性の有無の判断要素を、判例の例示のみでなく、これらからの帰納を含めて明示されることを要望申しあげます。

2-4 国際市場においてデファクト標準を形成するための必須特許発明を創出できるよう、ITUの合意形成過程等を充分に考察しつつ、研究助成国費の重点的投入をなすべきであります。

2-5 デジタルコンテンツの流通を普遍的かつ高度化するために役立つ特許付与が、著作権保護と相克することがないよう、制度の調整を早急に行うべきである。すなわち、

2-5-1 通信と放送、有線と無線、固定と移動の各融合を電気通信制度面で促進し、融合系による新たな情報通信技術の開発を知的財産制度をもって奨励すべく、電気通信・知的財産両行政の緊密な連携を行うべきであります。

2-5-2 知財推進計画08のコンテンツの章に、「技術知財とコンテンツの相互作用を高める」と題する節を設け、次のように記述することが望まれます。

「知財戦略においてコンテンツ領域では、コンテンツを支える情報通信技術とコンテンツの供給のバランスある発展による相互作用を高めることが必要である。例えば、わが国のハイビジョン映像や高品質音源の技術が世界最先端を維持したために、グロ-バルに流通するコンテンツを創出する環境を形成し得た。」

3.        環境分野について

3-1 第3期科学技術基本計画は、「環境政策学、環境経済学、環境倫理学等の社会科学・人文科学系の研究を強化し、さらに自然科学系研究との連携強化が必要」と述べております。知的財産権の創造においても、この視点が完全に活かされるよう、わが国特許法の「発明」の定義から、「自然法則の利用」という限定を除去し、米国特許法と等しくすることを検討すべきであります。

3-2 水質処理に関する最近の特許公開事例として、「有機性排水の処理方法」(多段式生物処理において、設置ベ-ス等を縮小化すると共に、高水質処理水を得る)、「固体高分子形燃料電池システムおよびその運転方法」(熱ロスを抑制しながら、または、終了時間を短縮させながら冷却水の水質を維持する)、「フッ素含有排水の処理方法」(フッ素含有廃水処理に対する凝集沈殿による処理方法において、フッ素濃度の低い高品質の処理排水を得る方法は未だ開発されていないが、この方法を提供する)など、処理の高度化、低コスト化を解決するものにについては、特許行政上の重点課題とされたい。

3-3 排気・排煙処理に関する最近の特許公開事例として、「吸着部材および排煙処理装置」(金属等の再生処理が簡易となり、連続処理を行う)、「耐食性を有するフィン付き伝熱管および排ガス加熱装置」(酸性ミストの蒸発による管材の腐食を、他の設備を必要とせず、かつ安全・効果的・経済的・簡便に防止する)、「排気処理装置」(燃料電池システムの運転試験に用いることができ、アイドルストップ状態や走行中発電停止になった場合にも燃料電池を劣化させない排気処理)、「エンジン排気処理装置およびエンジン駆動式ヒ-トポンプ装置」(排気ガスの逆流による異音発生がない)など、経済性を備え、異音防止等の悪副作用を伴わない発明の要素と効果を総合判断する特許付与が望まれます。

3-4騒音防止に関する最近の特許公開事例として、「エレベ-タの戸係合装置」(乗場の敷居およびかごの敷居間距離が小さいエレベ-タ装置においても、騒音防止と電力節減を図り、確実に戸駆動装置の駆動力を乗場の戸に伝達する)、「シ-ト処理装置および画像形成装置」(消費電力の削減、騒音防止、耐久性向上、生産性向上、省スペ-ス化を可能にする)、「車両用騒音防止装置」(車室内の音量が大きい場合にも、その音を下げず、周囲に迷惑をかけない)など、電力節減や騒音分布の適切をも効果とする総合性を特許性判断の要素とすることが望まれます。

4.ナノテクノロジ-分野について

4-1 ナノテクノロジ-は、ナノメ-トルの領域にまで、物質の組織制御と合成を及ぼすことにより、物質の新たな機能を開発すると共に、「新物質」の創出を実現する源泉であるから、特許性の審査基準において、機能特許と物質特許の双方にわたる進歩性等の判断基準を精緻化することが必要と考えます。

4-2 ナノ薬物送達技術については、医療関係発明の特許付与要件に該当させるよう、論理構成を明示すべきであると考えます。すなわち、キャリアについて「物発明の特許」を付与し、これを用いる診断・治療技術について、「物の作用」として特許性を構成するよう措置されたい。ナノテクノロジ-を駆使した生体に優しい医用デバイス、人工心臓・人工骨等の失われた生体機能を再建・回復・代替するデバイスの発明が期待されております。

4-3 ナノテクノロジ-に対する「不連続で飛躍的な成果をもたらし得るイノベ-ション促進型科学技術」であるとの期待からは、「非容易想到性」のハ-ドルが高められることも予測されますが、「不連続・飛躍的」と「「非容易想到性」の見合わせ方を、慎重に検討され、従来ナノテクノロジ-技術の延長による開発にも、「非容易想到性」を認めるべき場合を明示されることを望みます。

4-4 21世紀に入って、欧米ではナノテクノロジ-を国家戦略として推進し、情報通信・環境・ライフサイエンス等との融合分野に戦略を及ぼし、中国・韓国も同様でありますから、特許審査ハイウェイの運営において、これら諸国の特許審査基準との調和を整え、出願相手国の選択による損得がないよう配慮されたい。

4-5 第3期科学技術基本計画は、「ナノ領域で初めて発現する特有の現象・特性を活かすテクノロジ-がナノテクノロジ-である」とした上で、さらにナノテクノロジ-を「True Nano」とそれ以外のナノに分けました。「True Nano」の定義は、「従来の延長線上ではない、不連続な進歩(ジャンプアップ)が期待される創造性を有するナノテクノロジ-」、「大きな産業応用が見通せるナノテクノロジ-」と示されているが、択一条件か全部充足条件か、明示されていない。いずれにせよ、例えば、「純粋ナノテクノロジ-」、「純真ナノ」のような訳語をわが国知財業務では用いるように配意されたい。

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