今次案の最大の成果「特許の相互承認の先行実施」推進を明示
今次知的創造サイクルの推進方策案の考察(その6)
弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT)
11.(承前03-22記事)特許制度の国際調和と特許の相互承認
11-1 今次案
11-1-1 各国の特許制度・運用の調和や審査結果の相互利用・相互承認への取組を進める
11-1-2 出願様式・請求項要件の国際統一を目指す。
11-1-3 日米に共通に出願する出願人が、両国において同等の結果が得られるようにすると共に、日米特許庁の審査官相互の信頼感を醸成するため、日米特許庁の審査官を相互に長期に派遣して、日米に共通に出願された案件を共同で審査することを提案し、実現に向けた積極的な交渉を行う。
11-1-4 日米欧三極特許庁間における審査結果の相互利用を強化発展させるため、新たに設置された「ワ―クシェアリングの発展作業部会」における検討に加え、日米または日欧特許庁の二庁間において、特許の相互承認に向けて先行的に実施可能な実務協力を積極的に推進する。
11-2 SANARI PATENT所見
11-2-1 内閣知財戦略本部の知財推進計画07は、平成19年6月に決定に至ると想定されるが、同本部の知的創造サイクル専門調査会の原案のうち、「日米または日欧特許庁の二庁間において、特許の相互承認に向けて先行的に実施可能な実務協力を積極的に推進する」という項目、特に「先行的に実施」の内容は、極めて重要と考える。
SANARI PATENTは、「日米特許FTAの締結に至るに先立って、米国特許商標庁が特許付与したと同一内容の、日本特許庁に対する特許出願に対しては特許付与する」という意味での「日米特許FTAの片面的先行実施」を、応急政策として提案し、制度調和との関連について所見を明示したい。
11-2-2 「日米特許FTAの片面的先行実施」(Preceding Enforcement of the Japan-USA Patent FTA)の構想は、日米特許FTAの成立を予定しつつ、その実際の締結が時日を要することをも予定して、あたかも片務契約におけるごとく、米国特許商標庁の特許政策のいかんにかかわらず、米国特許商標庁が特許付与したと同一内容の、日本特許庁に対する特許出願に対しては特許付与するという特許審査・特許付与実務を日本特許庁が独自に実施するというものである。
11-2-3 このような特許相互承認の構想の究極の到達目標とされる世界特許の意義について、知財推進計画05は次のように述べている。
「各国毎への特許出願は、出願人にとって手間と費用の両面で膨大な負担であり、また各国の特許庁にとっても出願が増価する中、重複的な審査は非効率で国際的に無駄である。特に日米欧三極に対する特許出願は、全世界(約130万件)の約8割(約106万件)であり、このうち約20万件が三極で重複的に審査されている。科学技術や企業活動はグロ-バル化を急速に進めており、もはや観念的な議論をしている段階ではなく、具体的な行動を加速化する段階に達している。」
11-2-4 上記約20万件の三極重複審査対象特許出願が、全分野にわたって中核的重要性を持つ内容のものであることは、容易に想定され、その審査の迅速化と法的安定性を国際的に達成することは、全世界・全科学技術分野(プログラム特許、ビジネス方法特許を含む)に顕著な利益をもたらすものと考える。
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