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2007年1月20日 (土)

多数当事者間の著作権侵害損害賠償請求事件・知財高裁判決(その1)

教科書とテスト教材の著作権法上の相違、著作者人格権侵害の態様

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

  小児科医・児童文学者等々、いずれも著名な詩人、作家、学者等またはその遺産者族人等が、著作物の一部を 小学生用の大手副教材制作販売会社数社によって、許諾なく教材に使用され、著作権を侵害されたとして、損害賠償を請求した事件が、原審「東京地裁平成15年(ワ)29709平成18年3月31日判決」によって一部認容されたが、原審原告が知財高裁に控訴し、知財高裁は、「平成18年(ネ)10045 損害賠償請求控訴事件・平成18年12月6日判決」によって控訴を棄却した。

  知的財産権としての著作権の、他知財権と異なる様相を教材的に示した事例として、以下に原審・控訴審の要点を摘記する。

1.        多数当事者

1-1 原告原告・控訴審控訴人

    児童文学者、別の児童文学者(故人)の相続人、多摩美大教授、東京農大教授、詩人(故人)の相続人、翻訳家(故人)の相続人、詩人(故人)の未亡人、翻訳家、ジャ―ナリアウト、文学者(故人)の養女、作家、学者

1-2 原審被告・控訴審被控訴人

    青葉出版、教育同人社、光文書院、新学社、日本標準、文渓堂、

2.        原審事案の概要

    小学生用国語教科書に掲載された著作物の著作権者である原告らが、これら著作物を掲載した国語テスト教材を制作販売した被告ら対して、同国語テスト教材を制作販売する行為は、原告らの上記著作物に対する複製権および著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権)を侵害すると主張して、被告ら対してそれぞれ主位的に、複製権および著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権)侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償を求め、同請求権が消滅時効した場合には予備的に、法律上の原因なくして使用料相当額の支払いを免れたと主張して、不当利得の返還を求めた。

3.        原審における争点

3-1        訴えの追加的変更の許否

3-2        著作権法36条1項該当性(条文「公表された著作物は、入学試験その他、人の学識技能に関する試験または検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験または検定の問題として複製することができる。」)

3-3        著作者人格権侵害の有無

3-4        故意・過失の有無

3-5        損害を知った時点

3-6        権利濫用の成否

3-7        損害発生の有無および発生した損害の額

4.        争点に対する東京地裁の判断

4-1  原告による「訴えの追加的変更」を認めない。

(理由)原告らは、訴状はもとより、その後の原告らの主張にも一切現れていなかった「国語ドリル」等を追加する「訴えの追加的変更」を、提訴から2年以上経過した口頭弁論終結の直前の時期に、何らの事前の予告なく突然申し立てた。これを攻撃方法の提出とみても、少なくとも原告らの重大な過失により時機に後れてされたもので、訴訟の完結を遅延させることは明らかである。(民事訴訟法156条違反)

4-2  被告による「著作権法36条1項該当性」の主張を認めない。

(理由)試験または検定の公正な実施のために、その問題としていかなる著作物を利用するかということ自体を秘密にする必要性があり、そのために当該著作物の複製について予め著作権者から許諾を受けることが困難である試験または検定の問題でない限り、著作権法36条1項所定の「試験または検定の問題」としての複製に当たるものということはできない。

著作者人格権侵害に関する争点については、本稿その2

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