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2006年10月22日 (日)

フジクラと日立電線:知財高裁判決2006-10-18

「光ファイバケ―ブル」発明の特許性

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

  はじめに:

 ADSLに続いて光ファイバケ―ブルの利用が急速に拡大しているが、光ファイバケ―ブルは、石英ガラスのコアを覆うプラスチックのクラッドで構成され、コアの屈折率がクラッドより高く設計されることにより、光が全反射現象による高速デ-タ電送機能を営む。このような材質と機能から、光ファイバケ―ブルの接続端部近傍の曲率の最適数値が、一つの技術課題となる。

 余談であるが、途上国では、銅線ケ―ブル、またこれを利用するADSLより先に、先進国の経済協力(ODA)により、光ファイバケ―ブルの敷設が先行する例もある(後発利益)。銅線の盗難が一因といわれている。なお、耐酷暑・耐酷寒・耐地圧力等の課題もある(ITUで、これら耐性の国際標準化も進めている)。

 下記は、主として曲率ないし曲率半径に関連して記述した。

1.        経緯

1-1        フジクラは、発明「光ファイバケ―ブル」について特許出願し、設定登録された(2002-12-8)

1-2        日立電線は本件特許について無効審判請求し(2004-8-30)、特許庁は無効審決した(2005-3-28)

1-3        そこでフジクラは、知財高裁に、1-2審決の取消請求を提訴し、また、特許庁に対し訂正審判を請求したが(2005-7-8)、知財高裁は、1-2審決を取消す決定をした(2005-8-1)

1-4        特許庁は再審理し、本件訂正を認めず、本件発明についての特許を無効とする旨、審決した(2006-3-29)

1-5        知財高裁は、平成18(行ケ)10204号 審決取消請求事件判決(2006-10-18)において、フジクラの請求を棄却した。

2.        本件訂正前発明の内容(要旨)

2-1        次の構造と特徴を有する光ファイバケ―ブル

2-1-1        多数光ファイバケ―ブルを並列配置してテ―プ状に集合し、端部を一括融着接続する。

2-1-2        接続端部近傍の曲率半径が光ファイバ波長帯λにおいてλ/1.41より大きい。

2-2               次の特徴を有する2-1の光ファイバケ―ブル

2-2-1        1.3μm帯用シングルモ―ド光ファイバにおいて、接続端部近傍の曲率半径が、0.9m以上、かつ、最大許容接続損失値が0.5dB以下である。

2-3               次の特徴を有する2-1の光ファイバケ―ブル

2-3-1 1.55シングルモ―ド光ファイバにおいて、接続端部近傍の曲率半径が、1.1m以上、かつ、最大許容接続損失値が0.5dB以下である。

3.        本件訂正の内容(要旨)

  2-1-2の「λ/1.41」を「λ/1.4」にするなど、誤記訂正する。

4.        フジクラ・日立電線の争点に対する知財高裁の判断

4-1        明細書または図面の記載が誤記として訂正を認められるのは、訂正前記載が誤りで訂正後記載が正しいことが、その明細書または図面の記載や当業者などの技術常識から明白な場合でなければならない。

4-2        フジクラの本件訂正においては、曲率と曲率半径は同じでないにもかかわらず、同一の数値を用い、また、理解不能な曲率半径数値を用いるなど、技術的意義が不明である。

4-3        フジクラの明細書および図面をできるだけ合理的に理解しても、技術的意味が認められない。

4-4        すなわち、「訂正事項の訂正が誤記訂正に当たらない」として訂正を認めなかった審決の判断に誤りはない。

4-5        「λ/1.41」を「λ/1.4」に訂正することは、本件訂正前の明細書および図面に開示されていなかった新たな技術的意義を持ち込むものであって、実質上、特許請求の範囲を変更するものである。(従って、訂正は認められない)

4-6        訂正が認められることを前提とする「審決無効」の主張は、認められない。

5.        SANARI PATENT所見

  フジクラと日立電線と、当業界のグロ-バルな優位企業であり、また、付与された特許発明が無効とされた事件であるから、判決を逐語解読することが必要と考える。                                                                                         

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