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« 野村総研の「特許出願著増と特許制度見直し論」 | トップページ | 「国際標準総合戦略の検討」(9-21内閣知財本部)の疑問点 »

2006年9月24日 (日)

内閣知財戦略本部にコンテンツ対策意見提出

内閣・各省庁に「文化・コンテンツ振興本部」設置を提案

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

昨日、内閣知財戦略本部にコンテンツ対策のSANARI PATENT意見を下記のように提出した。内容の一部は9月21日の記事と重複するが、重要事項であるので再掲した。

    記

内閣知財戦略本部事務局御中   平成18年9月23日

                弁理士 佐成 重範(さなり しげのり)

貴本部にて募集されました「コンテンツ振興についての意見」を、下記の通り提出申しあげます。

         記

(意見)

コンテンツ振興対策の立案と実施の最適体制を樹立するため、内閣知財戦略本部の所掌から「コンテンツに関すること」を独立させて「文化・コンテンツ振興内閣本部」を設置するとともに、関係各省庁に、「文化・コンテンツ振興本部」を新設し、各省庁の総力を、各所管する文化・コンテンツ分野の振興に結集することを提案いたします。なお、「文化・コンテンツ」という呼称は、内閣知財戦略本部・知的財産推進計画の「コンテンツ」、文化芸術振興基本法の「文化芸術」、および、「コンテンツ振興法」の「コンテンツ」(内容は三者ほとんど同一と考えます)を包含する仮称であります。

(理由)

1.         コンテンツは、文化芸術を内容とする知的財産として、経済財の側面を有するとともに、文化芸術の精神価値としての、文化財の側面を有し、両側面は多くの場合に並存いたしますが、対策の主たる目的(第一次的目的)は「経済利益の最大化」と「文化価値の全世界普及」というように異なりますから、「知的財産戦略」から分離して「文化・コンテンツ振興」政策を樹立・実施することが適切と考えます。

2.         例えば、文化庁は文化芸術を所管しておりますが、文化芸術振興基本法(2001-12-7公布)は「文化」の定義規定を置かず、「芸術」については、同法8~12条により、「メディア芸術とその他の芸術」、「伝統芸能とその他の芸能」、「生活文化・国民娯楽・出版物・レコ-ド等」の各項目が法定されております。なお、同法可決時の衆議院の付帯決議で、「これら定義における具体的列挙は例示であり、身体文化(武道、相撲等)も芸術に含むこと」などが確認されております。

一方、2004年に制定された「コンテンツの創造、保護及び活用に関する法律」は、コンテンツの定義を次のように定めました。

「この法律において『コンテンツ』とは、映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメ-ション、コンピュ-タゲ-ムその他の文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像若しくはこれらを組み合わせたもの又はこれらに係る情報を電子計算機を介して提供するためのプログラムであって、人間の創造的活動により生み出されるもののうち、教養又は娯楽の範囲に属するものをいう」。

 上記1-1の「メディア芸術」は、「映画、漫画、アニメ-ション及びコンピュ-タその他の電子機器等を利用した芸術」と定めており、「芸能」は、講談、落語、浪曲、漫才、歌唱、能楽、歌舞伎等」と定めておりますから、芸術とコンテンツは内容においては同義と考えられます。

 一方、内閣知財戦略本部の知的財産推進計画が定めるコンテンツは、料理、ファッション等をも含みますが、いずれも、上記の「文化・芸術・芸能」に含まれると解されます。

さらに、知的財産基本法の「知的財産」と「文化芸術」の関係につきましては、知的財産基本法による「知的財産」の定義には、「著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの」を含みますから、創造された内容を、経済財(財産)として見る場合は「知的財産」、文化財として見る場合は「文化芸術」と呼称するものと解されます。

次に、対策の実施面から、文化庁の平成19年度予算要求を見ますと、

  1162億5200万円(本年度比15.5%増)を要求していますが、その内容は、内閣知財戦略本部知財推進計画06がコンテンツ振興対策として計画した内容と一致しております。すなわち、文化芸術立国プロジェクトの推進のため、次の予算が要求されております。

 文化芸術創造プランの推進

  「最高水準の舞台芸術公演・伝統芸能等への重点支援等」「日本映画・映像振興プランの推進」「世界に羽ばたく新進芸術家等の育成」「感性豊かな文化の担い手育成プランの推進-子供の文化芸術体験活動の推進」

 「日本文化の魅力」発見・発信プランの推進

  「地域の文化力活性化プランの推進」「日本文化の発信による国際文化交流

の推進」「コンテンツの保護と発信の推進(ここで「コンテンツ」とは、狭義のコンテンツ、すなわち、デジタルコンテンツを意味していると解されます)

文化財の次世代への継承と国際協力の推進

「文化財の保存・整備・活用」「文化財の国際協力の推進」

文化芸術振興のための文化拠点の充実

「新たな文化拠点の整備(平城宮跡保存整備等)」「美術館等活動の推進」

   従って、対策の立案・実施の両面において、かつ、経済財・文化財の両面にわたって、文化・コンテンツ振興内閣本部の総括のもとに、文化・コンテンツ振興文化庁本部が文化庁所掌分野の文化・コンテンツ振興に専任すると明確化することが、政策の整合性(複数法律間の)・効率性・実効性を益々高めると考えます。

   なおこれと共に、「文化庁知財戦略本部」を設置する必要性(文化芸術には、著作物・著作隣接権・デジタルコンテンツ・アナログコンテンツ・ライブコンテンツ・コンピュ-タプログラム等、広汎な内容を包含し、文化財の経済財化に伴い、その知的財産権性が文化芸術全般において益々強く意識されるようになり、同時に、デジタルコンテンツ流通の知財開発と著作権・著作隣接権の相克の調整が新たな様相を展開していますので、文化庁の知財戦略本部が、各省庁知財戦略本部と同時に設置され、経済財としての側面から、文化芸術の振興対策を確立すべきであるとも考えられます)がありますが、両本部を併設すべきか、あるいは統合して、「文化庁・文化コンテンツ振興・知財戦略本部」が構成されるべきかは、文化庁当局のご選択に依存すると考えます。

3.        他の省庁につきましても、文化・コンテンツにはわが国のソフトパワ-たる使命があり、例えば、無償ODAによるNHK放送番組(好評であった「おしん」など)の供与など、「無償」によるわが国文化・コンテンツの普及に国策的意義があります。総務省・外務省に各文化・コンテンツ振興本部が設置され、文化・コンテンツ振興の外交面・分野所管面からの一層強力な推進がなされるよう、期待いたします。

4.         さらに他の省庁の例といたしまして、内閣知財戦略本部の知的財産推進計画では、食材・食品もコンテンツに包括されておりますが、食材・食品の国際流通がグロ-バル化し、育成者権保護や品種管理と文化・コンテンツ振興が密着してまいりますから、農水産省知財戦略本部の活況と、食品流通の国際性の拡大(大豆需給・魚類需給・食肉需給等)とその食文化的特殊性にもかんがみ、文化・コンテンツ振興農林水産省本部を設置されることが適切と考えます。ただし、この場合、二つの本部を併設するか、「農林水畜産文化・知財振興本部」として、食材文化・「美しい田園国日本」を含む統一本部とするかは、農林水産省当局のご選択に依存するところであります。

観光文化・観光知財に関する国土交通省の「文化・コンテンツ振興国土交通省本部」・「国土交通省知財戦略本部」など、その他の省庁につきましても、同様に考えられます。(以上)

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