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2006年9月28日 (木)

イノベ-ションとオ-プン

新内閣の路線と知財戦略(内閣知財戦略本部あて意見案の趣旨)

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

1.イノベ-ションとオ-プンを分かり易く:

1-1 組閣当日(2006-9-26)夜の東京TVWBSに出演した中川自民党新幹事長は、新内閣の路線を、「イノベ-ション→規制緩和・減税」と「オ-プン→FTAETA・対日直接投資」と明示した。減税と消費税増税との関係については、「減税は経済活動活発化を促進する効果ある項目について考え、その成果としての税収増加・行政経費の節減(新幹事長は、放映で表示された金額より更に大幅な節減の可能性を示唆した)の額を見て、消費税問題を検討する」と答えつつも、「消費税増税は減税と反する」と補足して、「成長戦略」が最重点であることをを鮮明にした。

1-2 「イノベ-ション」は、内閣知財戦略本部の知財推進計画06の主要テ-マであり、「オ-プン」も、世界特許への接近がFTAETAと、国際政策の理念を一にすることから、知財専門家にとっては理解し易い路線であるが、中小企業等にとっても分かり易いよう、イノベ-ションとオ-プンの全貌を政府が解説するよう、要望する。

2.イノベ-ションと知財戦略

2-1 内閣知財戦略本部の課題提起

   イノベ-ション戦略との関連で、内閣知財戦略本部は次のように課題を提起している(2006-9-21)。(要旨)

2-1-1 「科学技術基本計画のイノベ-ション創出総合戦略(2006-6)に基づき、イノベ-ションを種から実に育てるため、科学技術戦略の策定・実施において、知財に係る取組を更に実効あるものとすべきではないか」。

2-1-2 「産学連携による研究成果が実用化・市場化に結実するよう、企業のイノベ-ションマネ-ジメントの適正化を進めるべきではないか」。

2-1-3 「研究開発独立行政法人は、イノベ-ションの触媒的機能を果たすべきではないか」。

2-1-4 「経済産業省では、ソフトウェアにおける特許権の権利行使が民法上の権利濫用に該当する場合の明確化に取組んでいるが、さらに、イノベ-ション活動の円滑化のため、知財政策・競争政策における全般的な方策についての検討が必要ではないか」。

2-2 上記課題についての意見(上記2-1の設問順に):

2-2-1 「イノベ-ションを育てるために知財に取組む」のではなくて、イノベ-ションの具体的目的・目標を先ず明確に設定し、これを実現するための手段として知財を開発する」のが、プロイノベ-ションであると考える。換言すれば、知財を開発した結果イノベ-ションが生まれるのではなくて、イノベ-ションを実現できる知財を創造するのである。

2-2-2 企業のイノベ-ションマネ-ジメントは、要するに「経営戦略」であり、既に多くの企業がこの意識をもって経営していると考える。

2-2-3 独立行政法人が「産学」の要請に応じて、円滑に触媒的機能を果たすべきことは当然であるが、逆に産学連携の撹乱要因となっている事例が内閣知財戦略本部委員会の委員発言で指摘されている。ほかにも事例がないか、精査されたい。

2-2-4 ソフトウェア特許権に係る権利濫用の問題は、経済産業省とともに財務省ないし金融庁所管の金融・証券業務において緊急課題である。金融・証券取引の流れが、新しいソフトウェアによって機能する場合が多く、これが他者のソフトウェア特許権に基づく差止請求の容認判決によって機能停止となれば、甚大な国民的損失を来たすからである。大手証券筋から、制度改正の提言もあり、省域を超えた検討が急務である。

3.「オ-プン」と知財戦略:

3-1 今次内閣知財戦略本部の課題提示には、「オ-プン」の語は見られない。しかし、内閣知財戦略本部事務局ホ-ムペ-ジには、日米あるいは日米欧の特許相互承認を「日米特許FTA」「日米欧特許FTA」と称していたから、「自由貿易の特許権版」として理解すべきであると考える。

3-2 FTAが、全ての分野、全ての国域について円滑に進むとは考え難いが、先進国でこれが実現すべきことは、既に知財推進計画06が計画するところである。従って、今次提示の下記課題には、何れも積極的に賛同する。

3-2-1 「日米または日欧特許庁間での特許の相互承認実現に向けたバイ交渉を積極的に推進すべきではないか」。

3-2-2 「国際公共政策と知財政策とが相互に関連し合う分野における議論を深めていくべきではないか」。

4.所見:

  日米・EUEPO加盟国など41国が、特許庁長官級非公式会合(2006-9-24)

で、特許法の統一、特許付与基準の原則的判断基準、グレ-スピリオド(1年)、最初の出願日の承認等を内容とする条約づくりを合意した。このような合意の形成は、特許FTAを促進する影響力をもつと考える(ただし、先願主義を織り込んだ米国特許法改正法案の帰趨は、現時点では不明である)。

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