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« 「国際標準総合戦略の検討」(9-21内閣知財本部)の疑問点 | トップページ | 産学官連携の現状と課題 »

2006年9月26日 (火)

「知的創造サイクル対策の進捗状況」

内閣知財戦略本部2006-9-21案の新規性の程度

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

1.        着実ながら問題を孕む段階:

  内閣知財戦略本部サイクル専門調査会(2006-9-21)は、知財推進計画07の原案を作成しつつあるが、その骨子としての「知的創造サイクルに関する進捗状況と今後の課題」(2006-9-21)は、制度整備が一段落したばかりの時期であることから、今後の実施拡大を期する着実な、しかし、問題を孕む内容になったと推察される。

  表現としては、実施成果を数値で示しても、母数との関連で見ると実施が緒について早々であることを示すこととなる項目も多い。これは、内閣知財戦略本部の今後の活動に対する期待の大きさを示すものである。

2.        制度的・体制的整備の進捗状況:

  知財推進計画06の取組実績として次のように述べている。

2-1        大学毎の「国際的な産学官連携ポリシ-(仮称)策定の必要性が指摘された(SANARI PATENT 注:国内の産学連携に、新たな問題が発生しつつあるが、別途)

2-2        「特許・論文情報統合検索システム」の整備を進めている。

2-3        「ライフサイエンス分野の知財保護・活用検討プロジェクト」が発足した。

2-4        特許審査迅速化の目標件数が定められた。

2-5        特許取下げ時の審査請求料全額返還が開始された。

2-6        企業のグロ-バル出願率・特許査定率の上位200社数値が公表された。

2-7        弁理士特許事務所の特許査定率等が高位なものを公表した(SANARI PATENT 注:米国に倣い、各弁理士みずから公表することが望ましい)

2-8        先使用権制度とノウハウ保護について、管理ガイドラインを公表した。

2-9        和牛の遺伝子特許の戦略的取得等について中間とりまとめを行った(SANARI PATENT 注:農水産省知財戦略本部の活動を強調すべきである)

2-10    特許審査ハイウェイの試行が開始された。

2-11    三極特許庁会合の内容について提案した。

2-12    知財関連国際公共政策会議を準備した(SANARI PATENT 注:知財関連国内公共政策を公表されたい)

2-13    模倣品・海賊版対策アクションプランを決定した。

2-14    模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)構想を推進した。

2-15    外為・貿易法に基づく模倣品・海賊版輸入規制の可能性を検討している。

2-16    知財侵害被疑品の税関取締の厳格明示について通達した。

2-17    インタ-ネットオ-クション対策を強化した。

2-18    消費者の模倣品・海賊版容認対策につき検討した。

2-19    特許審査迅速化・効率化行動計画(2006-1-17)の実施に着手した(SANARI PATENT 注:成果を逐次公表されたい)

2-20    ライセンス契約の独禁法上の指針の改訂を準備している。

2-21    知財の価値評価手法を検討している(SANARI PATENT 注:2年前に確立される筈であった)

2-22    知財信託の活用事例を公開した。

2-23    日本政策投資銀行で知財担保融資を増加した(SANARI PATENT 注:実態は企業価値ないしプロジェクト融資と考えるが、業務方法書による将来収益現価評価手法を用いることとしている)

2-24    知財使用料の源泉地国課税軽減のための条約改正相手国を増加した。

2-25    知財駆込み寺を設置した(SANARI PATENT 注:正確には「標示」の段階)

2-26    特許出願等料金軽減対象を拡大した(SANARI PATENT 注:しかし、米国のような簡明な制度にまで至らない)

2-27    中小企業に対する先行技術調査支援事業を行っている。

2-28    職務発明制度について中小企業に対する相談会を行なっている(SANARI PATENT 注:大企業の予ねてよりの要望である特許法職務発明規定自体の削除による米国法との同一化に、なぜ至らないのか)

2-29    知財人材育成推進協議会が発足した。

2-30    特許庁のe-ラ-ニング研修を外部に開放した(SANARI PATENT 注:JST方式が最良)

2-31    新司法試験制度が開始された(SANARI PATENT 注:1000名合格を評価すべきである)

3.        進捗状況のうち「(制度等改正ではなく)実績の成果」として注目される項目(内閣知財戦略本部資料の記載順による):

3-1        弁理士特許事務所毎の特許査定率の公表(平均より高い特許事務所のみ):

   米国の特許弁護士(US Patent Attorney)と特許代理人(US Patent Agent)が合計約3万人現存するほか、弁護士100万人が商標出願人(US Trade Mark Agent)の登録資格と知財弁護士としての知財専門家活動能力を潜在させていることを考えると、米国において、特許事務所、弁護士ごとに、みずから特許取得実績数やその具体例(特許付与証書の映像)をweb-siteで広報していることの、競争効果と、ユ-ザ-(顧客)の便益効果が大であると考える。3-1の表題は、わが国弁理士各自の広報欠如を特許庁が補ったと理解すべきであると考える。

3-2        農林水畜産業の知財保護強化:

農水産省知財戦略本部が設置され、精力的に活動していることが先ず高く評価されるべきであると考える。農林水産省内外の現役要員・現場要員

で構成されているので、実績に直結すると期待される。

3-3        特許審査ハイウェイの試行開始:

   本運転への速やかな移行が切望される。

3-4        知財駆込み寺:

   とにかく、全国約3000の商工会・商工会議所に「知財駆込み寺」が設置された(正確には「標示された」段階と考える)。駆込みとその処理の実績は、これからの報告にまつ。

3-5        知財担保融資の漸増:

    日本政策銀行としては、その存在価値を示す契機であるが、業務方法書を公開し、担保価値評価の方法、他の企業価値との包括評価に基づく融資であることを、明示することが望ましい。また、知財担保融資の銀行側リスクについて明示することが、その原資の性格上、当然である(同行の収支決算を含めて)。

3-6        新司法試験制度の成果:

   内閣知財戦略本部の標記資料の記述は部分的に過ぎないが、知財推進計画04以来強調されてきた弁護士要員数の増加が、新司法試験合格者(2006-9-21発表)数1009人に達したことにより、かなり進捗した。米国の弁護士数水準には全くほど遠いが、従来に比べ、知財弁護士・弁理士登録弁護士の給源が増加し、地域・中小企業に対する知財専門家活動浸透の端緒が見えてきたと評価すべきだあると考える。                                                                              

4.        今後の課題について:

  内閣知財戦略本部は、すべて疑問形ない質問形で提示したので、別途、各位と共に検討いたしたい。

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