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2006年9月 2日 (土)

中間事業報告書等、異業種3社の知財戦略

キャノン・アスクル・日興コ-ディアル

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

 最近流行のIR(投資家関係)重視で、期末報告書のほか4半期報告など、投資家に中間報告を送付する会社が増加している。また、5月決算の会社の報告書も続々到着するが、様々な業種のうち、標記3社について、多様な知財戦略を見る。

1.        キャノン

1-1        平成181月1日から6月30日までの中間報告書が送付された。先ずその取締役名簿を見ると、御手洗会長、内田社長の次に、専務取締役として田中稔三経理本部長および田中信義知的財産法務本部長が掲げられ、トップ陣容の構成により、経営戦略の重点は極めて明確である。

1-2        内閣知財戦略本部の知財推進計画06は、「CIPO(最高知財責任者)等の設置を促す」という項目を設け、「企業において、経営トップが自ら技術・研究開発部門や知財部門を主導し、特許、意匠、ノウハウ、ブランド、コンテンツ等の知財戦略の策定・実行について統一的な見地に立った経営戦略を推進するため、2006年度から企業におけるCIPOや知財担当役員の設置を奨励する」としているが、キャノンはこれに、遥かに先行している。

1-3        キャノンの平成18年上半期連結売上高は約2兆円で、前年同期比11.2%増、連結税引前純利益は3410億円で前年同期比20.2%に達した。

オフィスイメ-ジング部門では、デジタルネットワ-ク複合機のカラ-対応高速機、高画像処理能力の中速機、コンピュ-タ-周辺機器部門では高密度プリントヘッド技術や高発色染料インク・純正写真用紙組合せによる他社製品との差別化、ビジネス情報機器部門では、文書の電子化需要加速に対応するドキュメントスキャナ-、カメラ部門では、携帯性・機動性・高画質に富む一眼レフ、光学機器等では、半導体用露光装置、液晶用露光装置、放送局用高倍率ズ-ムレンズ、Xで線デジタルカメラ、無散瞳眼底カメラ等が、豊富な先端特許権と秘匿ノウハウの巧みな組合せ(秘匿適格工場立地を含む)と価格政策(プリンタとカ-トリッジの価格バランス等)により、好業績を支えていると考える。

1-4        上記1-1の田中信義知的財産法務本部長は、キャノンの知財戦略について 例えば産学連携については、次のように語っている(日経BP-CIPO2006-7)(抜粋)。

1-4-1 「現時点において企業が改めて産学連携を重視する背景には、主に研究・開発におけるパラダイムシフト(時代規範の転換)がある。いわゆる「自前主義」からオ-プンイノベ-ションやオ-プンコラボレ-ションへの転換である」。

1-4-2 「わが国企業は、研究・開発から製品化の全てを行っている場合が多かった。しかし現在は、他社や大学の技術や特許と融合させて画期的な新製品の開発や市場の開拓を目指す戦略的なアライアンスが重要な経営課題として浮上し、しかも、パ-トナーはグロ-バルに存在する」。

2.        アスクル

2-1 「競争力を持った次世代ビジネスモデルへの変革による新たな価値創造の実現」を掲げるアスクルは、「9期連続の増収増益達成」を報告した。アスクルは、受注にFAX等を使うオフィス関連用品配達サ-ビスの草分けとして著名であるが、このFAXビジネスモデル自体は、産業界全体としては、今や、インタ-ネット受注、特にケイタイ受注のビジネスモデルによって置換されつつある。従って、アスクルは「進化するアスクル」を企業理念としている。

2-2 SANARI PATENTが観察するところでは、アスクルは、上記のようなIT利用等の新ビジネスモデル専一というより、カタログモデルや対面販売モデルを併用する「ハイブリッドモデル」を新たに開発していると見受けられる。なお、アスクルでは、インタ-ネット経由の受注がこの5月期には、全売上高の47.1%に達している。

2-3 ハイブリッドビジネスモデルの一環として、「医療材料専門カタログ」の創刊(2006-11)や、アスクルコンシェルジェデスクの始動(2006-11)が注目される。

3.        日興コ-ディアルグル-プ

3-1        第1四半期報告書は、当期純営業収益が前年同期比29%増に達したとしている。

3-2        国際的に見て、証券業界はビジネスモデル特許の在り方を主導してきたが、投資業務全般のノウハウについても、本年6月、日興コ-ディアルはシンプレクス・インベストメント・アドバイザ-ズを連結子会社として、不動産投資関連商品の提供ノウハウをも強化している。

3-3        瑣末なこととも見えるが、日興コ-ディアルでは、株主優遇制度を、株主総会議決権行使株主に限定適用している。産業界全般にM&A対策も絡んで、個人株主の比率の増大と、関係の緊密化を実現するため、株主優遇の措置を設ける会社が増加しているが、日興コ-ディアルの方法は、広義のビジネスメソッドと考えられる。

    なお、同じく証券業界で野村ホ-ルディングスは、株主配当金支払いを毎四半期ごとの年4回に改めたが、これも株主定着に資すると考える。

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