最近のトラックバック

2019年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ

« グロ-バルな経済変動の主役・農林水畜産業 | トップページ | 文化庁のコンテンツ予算 »

2006年9月20日 (水)

知的財産推進計画の軌跡と方向性

各省庁知財戦略本部による実施体制の提案

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

1.        知財推進計画07策定の段取り

1-1        内閣知財戦略本部の現在の機構では、知財推進計画07の原案作成は「知的創造サイクル専門調査会」(サイクル調査会)と「コンテンツ専門調査会」(コンテンツ調査会)の合意を経て立案される形を採っている。

1-2        サイクル調査会は、明日(2006-9-21)開催されるが、議題として、「国際標準総合戦略」および「知的創造サイクルに関する課題」を掲げているから、国際標準化戦略、および、「知財推進計画06決定に際して今後の課題とされた事項」の検討が期待される。

1-3        コンテンツ調査会は、今月6日に企画ワ-キンググル-プを開催し、「コンテンツをめぐる問題点」を検討すると共に、「コンテンツの振興その他のコンテンツに関する事項」についてパブコメ募集を公報している。パブコメの内容は多岐多数にわたり賛否両論が予想されるので、上記6日の論点を、パブコメ結果により総合調整して原案作成に至ることが期待される。

2.        国際標準総合戦略について

2-1        上記1-2の「国際標準総合戦略の策定」については、既に、知財推進計画06に次のように計画されている。

「経済のグロ-バル化に伴い、国際標準の産業競争力に与える影響は格段に大きくなっているにもかかわらず、これまでのわが国の取組は他の先進諸国に比べ立ち遅れている。わが国の国際標準化活動を抜本的に強化すべく、2006年度中に、先進国及び近隣諸国の標準化戦略を分析し、その結果を踏まえ、わが国全体としての国際標準総合戦略を策定し、実行に着手する」。

しかし、2006年度は結局、実行の「着手」にとどまるので、「策定」を2006年度中に遂行することが当面の課題とされるはずである。

2-2        さらに知財推進計画06は、「技術標準に関する知的財産権の取扱いル-ルを整備する」として次のように計画している。

2-2-1        技術標準の策定・普及を妨げる必須特許の権利行使に対処する。

2-2-2        パテントプールに関する環境を整備する。

3.「知的創造サイクルに関する課題」について

3-1 知財推進計画06は、内閣知財戦略本部第14回会議(2006-6-8)の冒頭において全員異議なく可決されたが、この可決に続いて、「今後の知財戦略」について有識者委員の意見が次のように述べられたので、これらが当然、今後の課題として検討されるはずである。

3-2 安西本部員(慶大)の意見

3-2-1 デジタル時代に即応する知財制度が未整備である。デジタル時代の特徴は、個人が多様なコンテンツを創造できること、および、ネットワ-クによって世界中でコンテンツを共有できることである。

3-2-2 デジタル時代の知財制度は、権利保護と活用促進のバランスを根本的に見直して構築しなければならない。

3-2-3 慶大では、デジタルメディアコンテンツ統合研究機構において、韓国の延世大学、中国の清華大学等々と連携し、メディア融合政策等を研究しているが、国際的産学連携でデジタル時代の法制度の確立を国際的に先導したい。

3-3 角川本部員(角川書店)の意見

3-3-1 コンテンツジャパン(CJ)マ-クを実効あらしめる対策が必要である。上海あたりでも海賊版にCJが付されているので、制度の認識は海外に普及してきたと考えるが、ニセモノに付されている。

3-3-2 映画の劇場内盗撮は、日米共通の問題で、撲滅対策の法制化が必要である。

3-4 川合本部員(理研)の意見

3-4-1 基礎的研究が即社会的利用に直結することは多くはないが、結びついて顕著な結果を生む場合にも注目すべきである。例えば、重イオンビ-ム発生超大型加速装置は、113番目の元素発見をわが国がなし遂げたという成果のほか、植物の品種改良に多大の実益を収めている。

3-4-2 南アフリカ共和国の研究機関と共同で、作物の品種改良にも応用しようとしている。

3-5 久保利本部員(弁護士)の意見

3-5-1 IPマルチキャスト放送(インタ-ネットのシステムを使った放送)を早急に発達させるよう、多様なネックを除去することが先ず必要である。

3-5-2 さらに、放送と有線通信の区別を、制度としてどのように定めるか、技術の進歩に制度が遅れないよう計画すべきである。

3-6 下坂本部員(弁理士)の意見

3-6-1 特許電子図書館の機能の充実、出願ソフトへの中小ベンチャ-企業支援の機能など、制度利用者の側に立ったキメの細かい改善を積極的に進められたい。

3-6-2 模倣品・海賊版拡散防止条約の提唱を実らせると共に、模倣品の個人所持や個人輸入の問題にも一層取組む必要がある。

3-6-3 人材育成について、数の増加と共に、質の向上に配意されたい。

3-7 中山本部員(東大)の意見

3-7-1 知財関係の多くの法改正がなされ、これからはその収穫期に当たる。

3-7-2 アジア等の人材育成のための留学生受入について、具体的な対策を整備

する必要がある。

3-7-3        実効性を挙げるには、これから、細かい問題を一つずつこなしてゆかなければならない。

3-8               野間口本部員(三菱電機)の意見

3-6-1        出願審査請求の構造改革の提案(経済産業省)を契機として、知財活動の質の問題に取組むことといたしたい。

3-6-2        産学官連携による国際競争力の強化を一層進めたい。

3-7               御手洗本部員(経団連)の意見

3-7-1        知財戦略はイノベ-トジャパンの中核と考える。

3-7-2        知財推進計画06をフェイズ2の初年度と考える。

3-8               森下本部員(阪大)の意見

3-8-1        バイオインキュベ-タのような中小ベンチャ-企業の知財開発対策を強化すべきである。

3-8-2        中小ベンチャ-企業の知財中に、国際的価値あるものもあることを認識されたい。

3-9               安倍本部員(学術会議)の意見

   わが国の大学数が700に達すると思うが、その75%は大学としては力が弱い。これらをト-タルとして知財創造の母体とする対策が望まれる。

3-10           各省大臣から知財対策の現況報告あり。内閣総理大臣からは謝辞あり。

4.所見

   中山本部員の発言に即して「実効性の確保」を現段階の課題とし、各省庁所管分野の特殊性に対応しつつこれを促進するためには、農水産省知財戦略本部の顕著な成果にかんがみ、各省庁に知財戦略本部(分野別制度の検討・改正・実施)を設け、内閣知財戦略本部がその総括と、「制度の基本的検討・知財政策構造の改革」を立案する体制を樹立することが適切と考える。なお、経済産業省については、産業構造審議会知的財産部会が、実質的に経済産業省知財戦略本部の機能を営んでいる観もあり、特許審査迅速化本部との一体化も一応考えられるが、産業構造審議会は、各省庁所管業種の全てを含む産業構造の審議機構であるから、農林水畜産業・製薬業・造船業等と並列する経済産業省所管業種については、経済産業省知財戦略本部を別途設け、所管各業種の特質に対応する実施の促進を図ることが、上記に整合すると考える。

« グロ-バルな経済変動の主役・農林水畜産業 | トップページ | 文化庁のコンテンツ予算 »