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2006年9月14日 (木)

「知財推進計画の変容」と「知財専門家の変容」

知財推進計画07で変容できるか?

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

1.知財推進計画06までの「成果」は、「制度と機構」:

   内閣知財戦略本部の知財推進計画06には、「成果編」として、「多岐にわたる成果が得られた」としているが、それは、「知的財産基本法の施行後に様々な制度改革が進展した」結果であって、制度が改正され機構が改変された件数は多数に上るものの、改正・改変による実質的成果は、ほとんど説明されていない。若干説明されていても、その実質的比重は極めて軽微である。

  例えば、「成果編」の真っ先に、「43の大学で知財本部が設置された」とあるが、全国500を超える大学の8.3%に過ぎない。また、「大学の特許取得件数がこの3年間に2.5倍に増えた」とあるが、2005年に至っても、国内全大学の特許登録件数は301件であって、同年の全国計122,944件(出願は427,078件)の0.24%に過ぎず、「元数が極微の倍率」を示したに過ぎない。

  知財専門家の動向も、特許弁護士の母体である米国弁護士数100万人(知財推進計画05による)の50分の1に過ぎないわが国弁護士数は、著増の兆しを見せない。

また、SANARI PATENTの推計と解析によれば、本年7月末の弁理士6782名のうち、都心4区(千代田・中央・港・新宿)に3292名が分布し、全国数の48.5%を占めている。2005年4月末には、全国6168名のうち2987名が都心4区に所在していたから、当時の48.4%から集中率は微増し、この15ケ月間の全国増加数614名の49,7%が都心4区に分布したことになる。

SANARI PATENTは、「弁理士の活動は、サイバースペ-スを活用して、サイバーパワ-として全国的・国際的に総合力を発揮しつつ展開されることが、長期的には理想的である」と考えてきたから、この傾向をむしろ評価する。しかし、当面、地方の中小企業の需要を満たすことはできていない。その原因は主として、国の中小企業対策予算が、中小企業を支援する知財専門家の養成費と活動費にほとんど投入されていないことにあると、SANARI PATENTは考える。

2.知財推進計画07をどうするか:

   今や、国政全般に新たな展開が期待され、米国では知財戦略新5ケ年計画案が公表されて、特許・商標ともに出願の累年著増を想定しつつ電子化の徹底等を計画している状況のもとで、知財推進計画07が従来の知財推進計画の補完的な計画であることから、踏み出すことが望まれる。

各省が公表した平成19年度新政策に即応することは、最小限度の要件である。すなわち、これを例示すれば:

2-1        経済産業省

2-1-1        成長の起爆剤となる技術革新等イノベ-ションの加速化

2-1-2        アジア等、海外の活力(ダイナミズム)の取り込み

2-1-3        ITとサ-ビス産業の革新

2-1-4        地域・中小企業の活性化

2-1-5        「人材立国」の実現、安全・安心社会の構築など経済・社会基盤の整備

2-1-6        資源・エネルギ-政策の戦略的展開

2-2               特許庁

2-2-1        世界最高水準の迅速・的確な特許審査の実現

2-2-2        グロ-バルな権利取得の促進と模倣品対策の強化

2-2-3        地域・中小企業の知的財産活用に対する支援

2-2-4        知的創造サイクル活性化のための環境整備

2-3               中小企業庁

2-3-1 地域中小企業の活性化(地域を応援)(「地域資源活用企業化プログラム」の創設、まちづくりの推進と商店街の振興)

2-3-2 中小企業の発展・再生の支援(企業を応援)(ものづくり中小企業の高度化支援、政策金融改革の的確な実現と中小企業金融の充実・円滑化、中小企業再生の推進・事業承継の支援)

2-3-3 起業・再起業促進や中小企業で働く人材の支援(人を応援)(起業・再起業の支援、小規模・零細事業者に対する支援、女性・OB人材・若者を活かした事業展開の支援)

3.所見

3-1  上記2-3-3の「OB人材」の活用ひとつを採って見ても、審査官・弁護士・弁理士等の故郷引退人材を、サイバースペ-スを活用して知財戦略に参加させることは容易である。米国や韓国は、インタ-ネットによる審査官の在宅勤務を拡充しようとしている。

3-2 「制度と機構」の整備から「実施へ」という転換を唱導する内閣知財戦略本部委員もいるが、「制度と機構」の基本的変革は、むしろこれからである。

3-3 一方、「実施」への転換も急務であり、そのためには、各省庁に設ける知財戦略本部(始動した農林水産省知財戦略本部の活動が極めて実質的)を総合調整する機能を内閣知財戦略本部が発揮すべきであると考える。

3-4  比喩的に換言すれば、わが国知財戦略の道具と装置の整備は従来システムの補正をもって進んだが、これによる製品の本格的生産はこれからということである。 知財戦略の「道具と装置の基本的変革」と「各分野の製品製造の総合調整」の二つを、内閣知財戦略本部が所掌し、各省のが知財戦略本部が各知財戦略の成果品を本格的に生産する「実施体制」を、知財推進計画07で革新的に顕示されたいということである。

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