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2006年9月 5日 (火)

ポリウレタンフォ-ム特許取消決定の取消請求事件

知財高裁請求棄却判決(2006-8-31)

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

  

  家具等の材料として汎用されるポリウレタンフォ-ムについて、所定粒度の炭素粉を分散させることにより、優れた防臭性・吸湿性を与え、かつ、反発弾性率・所定%以下の低反発性を具備することにより、良好な使用感を具備させることを顕著な効果とする下記発明に関する判決である。

1.「炭素粉を含有した低反発性ポリウレタンフォ-ム」

1-1 原告・㈱高嶋は、標記発明の特許権者であるが、異議申立による特許庁審理の結果、「この特許を取消す決定」(2005-8-6)がなされたので、高嶋は、その決定の取消を請求した。知財高裁は、平成17年(行ケ)10674号・特許取消決定取消請求事件判決(2006-8-31)をもって、高嶋の請求を棄却した。

  棄却の理由は、「本件発明は、引用発明等の従来技術に徴して、想到容易であり進歩性を欠く」こと等(明細書記載の不備)である。

1-2        本件特許の請求項は次の通りである(要旨)。

1-2-1        請求項1.次の特徴を有する低反発性ポリウレタンフォ-ム

1-2-1-1           イソソシアネ-ト成分と、炭素粉と、所定粘度値に調整されたポリオ-ル成分から形成される。

1-2-1-2           このポリオール成分は、所定の官能基数、水酸基価を有する2種のポリオ-ルの混合物である。

1-2-2 請求項2.次の特徴を有する低反発性ポリウレタンフォ-ム

1-2-2-1 イソシアネ-ト成分と、所定粒径の炭素粉が均一に分散された所定粘度のポリオ-ル成分とから形成される。

1-2-2-2 このポリオール成分は、所定の官能基数、水酸基価を有する2種のポリオ-ルの混合物である。

1-2-3 請求項3.次の特徴を有する低反発性ポリウレタンフォ-ム

1-2-3-1 イソシアネ-ト成分と、所定粘度のポリオ-ル成分と、所定粒径の炭素粉が同時に混合されて形成される。

1-2-3-2 このポリオール成分は、所定の官能基数、水酸基価を有する2種のポリオ-ルの混合物である。

1-2-4 請求項4.請求項1~3記載の低反発性ポリウレタンフォ-ムであって、

  その炭素粉が木炭およびカ-ボンブラックであることを特徴とする低反発性ポリウレタンフォ-ム

2.知財高裁の判断

   ダウ・ポリウレタン日本㈱、三井武田ケミカル㈱等の実施例と比較して、進歩性を認めがたいとすると共に、次のように指摘した。

2-1 本件明細書には、低反発性に優れ、良好な使用感を得るという本件発明の目的や効果の記載がない。

2-2 実施例に示されたもの以外については、本件明細書に、点加圧戻り時間の調整に関する具体的記載がない。

2-3 点加圧時間なるものは、当業界でも慣用されていると認めるに足る証拠がない。

2-4 低反発性や使用感の効果は、本件発明の効果とはいえない。

3.所見

   特許庁の審査で特許付与され、異議申立により特許庁の審理で特許取消され、知財高裁は特許取消を維持した。権利の安定性は動いたが、的確性の確保を志向する制度目的は、この段階において履行されている。

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