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2006年9月 7日 (木)

「メモリ制御装置」特許無効審決の取消請求

知財高裁が請求認容(特許有効)判決(8-31)

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

1.        無効でなく有効である理由

 原告エルジ-セミコンの請求を認容した知財高裁の判断理由は、次の2点である。

1-1        特許庁の審決は、従来技術と本件発明の相違点を誤認している。

1-2        特許庁の審決は、本件発明の非容易想到性について、容易想到と誤認している。

2.        事案の概要:平成17年(行ケ)第10677号・審決取消請求事件

2-1        エルジ-セミコンは、「メモリ制御装置」特許出願(2001-9-6)について、拒絶査定(2003-2-20)を受けたので、これを不服として審判を請求した(2003-11-4)

2-2        特許庁は、「本件審判の請求は成立たない」と審決した(2005-4-25)。

2-3        エルジ-セミコンは知財高裁に審決の取消を請求し、知財高裁は、「審決を取消す」と判決した(2006-8-31)

3.        本願発明の要旨

次の特徴等を有する「メモリ制御装置」

3-1  システムバスにより電気的に結合されたリクエスト側・応答側の各エ-ジェントを有し、デ-タの記憶・検索のための所定の構造をもつデ-タ処理システムにおいて使用される。

3-2  所定のリクエスト検出手段を有する。

3-3  リクエスト検出手段に応答して読み出し・書き込みアクセスを行い、所定の信号を含む機構の送出手段を有する。

3-4  メモリへのアクセス完了を検出し、3-3の送出手段の動作を停止させる手段を有する。

3-5  所定のペ-ジモ-ド形式のメモリアクセスが、非順次のコラムアドレスを含めて、転送可能な構成である。

4.        争点と、知財高裁の判断(要旨)

4-1  原告エルジ-セミコンは、本願発明と引用発明とは、アクセス終了の構成が全く異なり、引用発明からの想到は容易でないと主張する。特許庁は、引用発明のうちに、送出動作の開始制御だけでなく、停止制御も示唆されているので、想到容易と主張する。

  知財高裁は、引用発明の「送出の終了」は、特定のニブルモ-ドでのアクセスの一応の終了を意味するもので、メモリに対するアクセスの完了を意味しない、すなわち、特許庁の審判は、本願発明と引用の相違点を誤認しているので、被告特許庁の、この点に関する主張は採用できない、と判断した。

4-2 エルジ-セミコンは、「引用発明のニブルモ-ドと通常のペ-ジモ-ドとは、機能・構成等において異なり、単に高速アクセス可能の共通性のみで、両者の置換が想到容易とはいえない」と主張する。被告特許庁は、想到容易と主張するが、知財高裁は、「引用発明に接した当業者が、そこで採用されている特定のニブルモ-ドアクセス方式をペ-ジモ-ドアクセス方式に変更して本願発明の構成に至ることは、想到容易とはいえない」、と判断した。

5.        所見

   想到容易判断と非想到容易判断と、特許権の有効無効が分岐するところであるが、説得力ある説明をいずれがなし得ているか、評価すべきである。

訴訟当事者にとっては、訴訟力の優劣が決め手になる場合と、客観的に正当な結論が導かれる場合と、双方の結果である場合とが、考えられようが、今後はそれらが従来にも増して、国際的な舞台で争われることになる。

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