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2006年9月23日 (土)

野村総研の「特許出願著増と特許制度見直し論」

NRI未来創発フォ-ラム2006(2006-9-21)の成果

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

1.        金融と流通をITが変容し、人がITを変容する:

1-1        人・金融・流通とITの相互変容作用(注:以下SANARI PATENT要約)

   標記フォ-ラムでは、先ず、最近の会社定款変更の顕著な動向を例示しつつ、事業会社の金融事業参入の続出による金融再編の動きを指摘し、また、流通参加者の9割が「メ-カ-・卸・小売」の垂直連携を指向する動きを指摘して、人・金融・流通・ITのインタラクティブな作用による新たな機能の展開を予見した。

 例えば、ファミリ-マ-ト・イオン等が銀行代理業に参入、理研ビタミンが保険代理業に参入、クレディセゾンが証券仲介業に参入し、ITが、在来・新規両業務を有機的に結合していることなどが例示された。 

 知財専門家としては、これら企業のブランドが意味するものの変容等を的確に把握する必要があると、SANARI PATENTは考える。

1-2 さらに、内閣知財戦略本部関係委員・慶応大学・国領二郎教授が、「創発」の語義を、「多くの要因や多様な主体が絡み合いながら、相互に影響しあっているうちに、ある時にエネルギ-の向きが一定方向にそろって、当初は思いもよらなかった結果がポンと現出することをいう」と示され(SANARI PATENT 注:野村総研は「未来創発」という用語を使っているが、その英訳は後記5参照)、人の創発エネルギ-がITを変容しつつ社会を再構築してゆく、と予見された。

2.野村総研の知的資産とリスク意識

2-1 標記フォ-ラムで、野村総研の知的資産に関する多くの資料が提示された。

2-1-1 NRIグル-プの重点マネ-ジメント項目は、「品質管理」「研究開発」「知的財産権管理」「情報セキュリティ管理」「危機管理」および、「対環境配慮」である。

2-1-2 証券・金融・流通分野における特許取得を強化している。

2-1-3 NRIグル-プの特許出願件数は2005年度121件で、2001年度の61件に比し倍増している。

2-2 知的財産に関するリスクとして、「慎重な取組にもかかわらず、NRIグル-プの製品およびサ-ビスが他者の知的財産権を侵害した場合、損害賠償請求を受ける可能性があるほか、情報システムの使用差止の請求を受け、サ-ビスを停止せざるを得なくなるなど、事業遂行に重大な影響を受ける可能性があります」とも述べている。

3、特許制度見直し論

3-1 SANARI PATENTで注目するのは、「ソフトウェアの法的保護とイノベ-ションの促進の調和」について、経済産業省が委員会を設けて検討中であり、野村総研・井上純一知的財産部長が、その委員として参加されていることである。

3-2 上記3-1の委員会は、「ソフトウェアに係る知的財産権に関する準則案」(2006-6-13)において、次のように案を提示している。

3-2-1 「ソフトウェアに係る特許権の行使(差止請求等)に対して民法の「権利濫用」規定は適用されるか」

 「考え方」として、「以下のような特許権行使は。権利濫用と認められる可能性がある。

3-2-1-1           権利行使者の主観において加害意思等の悪質性が認められる場合

3-2-1-2           権利行使の態様において、権利行使の相手方に対して不当に不利益を被らせる等の悪質性が認められる場合

3-2-1-3           権利行使により、権利行使者が得る利益と比較して、著しく大きな不利益を権利行使の相手方および社会に対して与える場合

4.野村総研誌の「特許制度見直し論」

   ITソリュ-ションフロンティア(2006-10)において野村総研知的財産部の河野尚士弁理士は、次のように述べている(要旨)。

「ソフトウェア特許に関して権利濫用の問題が論じられるのは、『特許が存在すれために相互運用性が阻害されてはならないこと』および、『「ソフトウェア技術開発の特異性として、ソフトウェアは、多数の開発者が外部リソ-スを有効に使いながら、開発を進める場合が多いこと』による」。「ソフトウェア技術が急速に発展し、その特許件数も増大する趨勢のもとで、特許制度を見直すべき時期に際会している」。

5.所見

  野村総研が、「未来創発」(Dream up the Future)を説きつつ、2-2のリスクに対処する制度対策を、上記4の提言で講じている慎重な構えに表敬すべきである。

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