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2006年9月25日 (月)

「国際標準総合戦略の検討」(9-21内閣知財本部)の疑問点

知財推進計画07での取組体制

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

1.        知財推進計画07の骨格をどうするのか:

  内閣知財戦略本部の知的財産推進計画策定は、昨年来、サイクル・コンテンツ両専門調査会の検討結果をまとめて、本部の会議で承認する体制になっている。

  ところで、9月21日のサイクル調査会では、「国際標準総合戦略とその他の課題」を検討している。SANARI PATENTは、「知財推進計画07は、『これまでの制度整備の実効を収める』段階への転換計画であると共に、基本的知財戦略体制の再構築いかんを検討する計画であるべきだ、というのが、大方の意見である」と考える。

  国際標準総合戦略は、この基本的知財戦略体制検討の一環として発案されたと解するほかないが、基本的知財戦略検討の対象(基本戦略の全体構想と体系)の案を示さずに、「国際標準総合戦略」が単独出現した観がある(後記)。

2.「国内標準化」の前に、なぜ「国際標準化」か:

  今、一般国民の関心を集めているのは、DVDプレヤ-の「ブル-レイとHD」の2方式対立等、国内標準化である。「ブル-レイとHD」については、松下等と東芝等とが対抗して譲らない。消費者にとっては、選択肢と業者競争の便益があるが、一方が敗北すれば敗北者側の消費者の損失は大きい。PCプリンタ-のインクカ-トリッジその他、国内標準化をしないために消費者が便益を喪失している分野は多い。これを差置いて国際標準化になぜ飛ぶのかの説明を、先ずすべきである。

3.「失礼感」もある課題提起:

   国際標準総合戦略の検討課題のトップに、「産業界の意識を改革し、国際標準化への取組を強化する」と掲げ、先ず、「経営者の意識を強化する」としている。国際標準化の関係分野は多岐にわたるが、電気・電子系ひとつをとっても、分野によって標準化に関する温度差・風土差は著しく大きい(例えば、受電コンセントの形状は国際標準化に遠いことや、国内電力サイクルの東西相違は僅少な不便で受忍されているが、新世代ケイタイのグロ-バルな使用は、基本要素の国際標準化なしには全く成立しない)。

  電気通信、特に国際通信の分野では、今後展開するケイタイのグロ-バルな番号共通性を含めて、世界市場における実力制覇を国際標準化により確認してゆくことが経営の要諦であり、KDD,NTT,NEC等の経営者の意識は従前から、ここに集中されてきた。ゆえに、標記の失礼感を、このような分野の方々については抱きたくなる。

 「国際標準総合戦略の検討課題」の説明段階に至ると、この資料が、電気通信分野に理解を及ぼしていないにではないかと、一層疑問になる。すなわち、同資料は次のように述べている。

1995年のWTO/TBT協定の発効以後、諸外国における国際標準化への戦略的取組、先端技術分野を中心とした事前標準の広がり、知的財産を含む国際標準の増加、デジタル化の進展による産業構造の変化など、国際標準化を取り巻く環境は、めまぐるしく変化している」。

  これだけの記述では、国際標準化を最も必要とし、国際標準化活動が既に70年余に及ぶ国際電気通信連合会(0nternational Telecommunication Union)の事業を、極端にいえば、記述外としていることになる。

4.「検討課題」の「疑問形」:

 そして、上記項目の検討課題の記述を見ると、次のように緩慢な疑問形で表現され、、「めまぐるしい変化」意識に即応していない感がある。立案者は、断定的表現をもって、なすべきことの確信と根拠を示していただきたい。

4-1 「政府は、企業の経営者層を対象に、国際標準戦略に関する閣僚等主催の懇談会やシンポジウムを開催し、具体的な事例を挙げて、経営者の国際標準に関する理解の増進を図るべきではないか」。

4-2 「政府は、国際標準のビジネスへの影響を記載した、国際標準化に関する成功及び失敗事例集を作成し、その重要性の啓蒙に努めるべきではないか」。

4-3 「経団連などの産業界は、経団連内部における様々な活動を通じ、企業の経営者や幹部に対する啓蒙活動を強化すべきではないか」。

5、順序の逆転:

 上記の4-1から4-3を見ると、先ず、4-2の内容となるべき成功事例・失敗事例を「政府」は十分に把握しているのか、疑問に感ずる(電気通信については把握できていると考える)と共に、十分把握できているならば、これを最初に示した上で、4-14-3に及ぶのが順序と考える。

 閣僚(4-1)の理解程度は疑問であり、また、4-3の「経団連」については、例えば、キャノンの国際標準化必要度と、KDDIの国際標準化必要度とは、質的にも緊要度においても異なることの、明確な認識が先ず必要と考える。

6.「知的創造サイクルに関する進捗状況と今後の課題」(内閣知財本部サイクル調査会2006-9-21)との関連:

   「2006年度の進捗状況」の項にも、「今後の課題」の項にも、「国際標準化についての記述がない。知財推進計画06において、ある程度の進捗を計画していたのであるから、当然その成否と、国際標準化に関する「今後の課題」は別途検討する旨の記述があるべきであると考える。

7.「国際標準化の検討課題」資料のその他の内容:

  10数目に及ぶので、逐次、各位と共に検討いたしたい。

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