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2006年9月10日 (日)

日本知財学会の社団法人化(8-22文科省認可)

マイクロソフト系団体等の協賛研究の発表

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

1.        社団法人化の意義

1-1        学会や親睦集団は、任意団体(ないし「法人格なき社団」)が多く、財務等の権利義務帰属が不明確(代表者個人名で処理など)であり、従って、公的・半公的助成の対象になり難い場合も多い。

1-2        従来、一般的に言って、目的重複しつつ濫立された官製社団法人に対する所管官庁の監督が必ずしも適切に行われなかったり、天下りや、複数官庁共管に伴う弊害が発生する場合もあったが、学会については、その自主的運営が適切ならば、社団法人化のメリットは大きいと考える。すなわち、定款認可基準が統一されているから、役員の責任は明確に規定されると共に、対文科省の報告義務が、社会的信用をいっそう高め得ると考える。

1-3        特にこのたび社団法人化した日本知財学会は、文部科学省の専管法人として、「学」の自由を基調とすると共に、特許庁(経済産業省)、総務省(電気通信の国際標準化)、文化庁(文部科学省・著作権)、農林水産省(種苗法・畜産遺伝子)、厚生労働省(食品・薬品)等、全省庁・全分野にわたる知財の学会として、総合性・中立性を発揮できると期待される。

2.        内閣知財戦略本部の学会計画

    知財推進計画06には、「学会を活用すると共に、知財に関する研究を支援する」という項目を掲げ、「日本知財学会などの関連する学会等への審査官や弁理士等の参加を奨励すること」、「2006年度には、自然科学系・経営系等の学会が、知財に関する分科会等を設け、学会の知財に関する理解を深めること」を計画している。

3.        日本知財学会の最近の実績

3-1        本年6月の年次学術研究発表会は、「未来志向の知財学:技術と経営と政策の、『はざま』を超えて」と副題し、早稲田大学大久保キャンバスで開催された。

3-2        SANARI PATENTの佐成重範弁理士は、上記副題に即応して、「知財制度の内部撞着」(Inner Contradictions of IP Systems)と題して講演し、「知財制度の形式的整備にもかかわらず、諸般の内部撞着(具体例を講演中に列挙)が発生するのは、『知財権者の独占利益の確保』と『社会性・公益性の確保』の両立に、撞着の要因を孕むと共に、知財構成要件の多様な設定方式(法定のほか、審査基準による「産業上利用可能性」の拡大など)、新規性・進歩性の基準改正、有用性と進歩性など特許性の国際的な表現の差異を始め、多様な要因と内外環境の変動により発生する」と指摘し、「合理的な学理と政策的妥協の双方を機能させつつ当面の課題を乗り切りつつ、その経験を、制度改正におけるキメ細かい配慮に結びつけなければならない」と結んだ。

3-3        協賛団体も多様であったが、例えばマイクロソフト系団体協賛セッションにおいては、隅蔵康一・日本知財学会理事・政策研究大学院大学助教授が、「遺伝子関連特許の保護と流通」と題して講演し、「最近になって、遺伝子関連特許の活用に関する仕組みづくりについて、国内外で新たな進展があった」として、次のような動きを報告し、今後の課題について講演した、

3-3-1 OECD2005-12会合において、遺伝子関連分野におけるアンチコモンズの障害を解消するための特許管理手法が検討された。

3-3-2 OECD2006-2理事会において、「遺伝子関連発明のライセンスガイドライン」が採択された。

3-3-3 総合科学技術会議・知財戦略専門調査会の「大学等における政府資金を原資とする研究開発から生じた知財権についての研究ライセンスに関する指針」がまとめられた(2006-3)。

3-4 学理と実務を結ぶ日本知財学会にふさわしい研究発表の例としては、筑波大学大学院の星野 豊氏の「信託法理論から見た知財信託の特徴と問題点」を挙げることができる。同氏が指摘するように、「知財信託の特徴は、知財管理の合理化と適正化を図る手段である」と認識されながら、一方において、知財専門家の間にも、「弁理士専権業務を侵すのではないか」といった、表現上は知財法秩序擁護ながら、士業者擁護目的に受け取られかねない発言もあった。

    先ず信託法理を十分に理解することが必要であり、上記講演は、この意味で有益である。

4.        所見

    上記年次発表会の要約集は518ペ-ジに360名(延べ員数)の講演要旨を掲載し、高密度に先端的な内容を圧縮している。学会・実業界・知財専門家の幅広い参加が、内閣知財戦略本部の「融合型人材」輩出計画にも、寄与するところ多大と考える。

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