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2006年9月11日 (月)

旭化成「知財報告書06」(1157KB)の国際知財戦略

Growth Action2010」の事業ポ-トフォリオを展開

弁理士 佐成 重範(Web検索SANARI PATENT

 

1.        内閣知財戦略本部の知財推進計画における知財報告書:

1-1        知財推進計画06は、「知財に関する情報開示による企業価値の向上を促進する」という項目を掲げ、「知財報告書の作成企業が100社を超えるよう普及啓発を行う。その際、知財報告書を年次報告書と共に継続的に発行すること、様々なメディアや電子媒体を活用し、広く一般に利用し易く提供すること、投資家向けの説明会を開催すること等、効果的な情報開示の方法について企業に対する啓発を行う」ことを計画している。

1-2        上記1-1知財報告書計画が知財推進計画に初登場した2004年度に、既に旭化成は、知財報告書04版(2004-3月期)を開示しているが、04版の516KB、次いで05版の792KBに比べて、今次06版(2006・3月期)は1157KBと、ボリュ-ムを拡大すると共に、内容の精密・高度化により、積極的な企業戦略とその成果を示した。

2.        旭化成知財報告書20063月期の要注目点(要旨):

2-1        蛭田旭化成社長のメッセ-ジ

2-1-1         世界的に知財経営への関心が益々高まり、特に東南アジア戦略の重要性・国際競争の激化・情報のボ-ダレス化・産業構造の知価産業型へのシフトなど、旭化成グル-プの事業環境は大きく変動している。

2-1-2         これに対処して、2006年度を初年度とする「Growth Action-2010」を策定し、高成長追求事業の中核として、高機能ケミカル、エレクトロケミカル、医療・電子部品のグロ-バルな展開等を目指し、知財網の戦略的構築を遂行してゆく。

2-2                保有特許の状況

2-2-1         国内特許3600件(2005-12末現在)を保有するが、実施中が1574件(44%)で、前期の1479件(40%)に比し、「実施中」の比率が増加した。

2-2-2         外国特許は、前期4077件が今期4082件に増加したが、アジアの比率が28.7%から33.9%に増加している(SANARI PATENTにて解析))

2-2-3         最近3年間の「国家褒章等、発明の公的受賞」としては、「リチウムイオン二次電池の開発(わが国のほとんど全部の電池メ-カ-とライセンス契約)、高感度薄膜ホ-ル素子技術の開発(この特許を用いたホ-ル素子事業の世界シェアは70%以上)、シリカタイヤ用官能基付加油展SBRの開発(省燃費・耐磨耗性能に優れ、国際競争力に期待)等、23件(SANARI PATENTにて合算)に及ぶ。

2-3                ライセンス活動の方策

知財の確保・蓄積は、原則として自社事業実施のために行うが、戦略上ライセンス活動を推進すべしと判断する場合には、積極的にこれを実施している。例えば、

2-3-1         旭化成ファ-マは、ライセンスアウト活動として、創薬・探索研究により見出され特許出願を済ませた薬理活性物質の有効性・安全性を臨床試験により短期間中に証明し、新規医薬品として全世界に販売するため、いち早くライセンスアウトを目指す活動を行っている。なお、薬理活性物質に関するライセンスイン活動も行っている。

2-3-2         旭化成ケミカルズは、環境有害物質を含まない樹脂として、ノンホスゲン法ポリカ-ボネ-ト樹脂製造技術について、ロシア、韓国を始め、グロ-バルにライセンス活動を行っている。

2-3-3         旭化成のイオン交換膜法食塩水電解システム(水銀・アスベスト等を用いない)の技術ライセンス先は17国に及び、その生産能力の累積値は世界のトップシェアを占めている。

2-3-4         旭化成ケミカルズのシクロヘキサノ-ル(ナイロン66等の原料)製造技術を、中国等の企業にライセンスする。

2-4                旭化成グル-プのセグメント別知財戦略

2-4-1         ケミカルズセグメント:

事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の三位一体により、

2-4-1-1           触媒技術・有機合成技術における高収率性とコスト競争力により、アクリロニトリル(世界第2位の製造能力)、スチレンモノマ-(世界第1位の製造能力)等について優位性を更に高める。

2-4-1-2           ポリフェニレネ-テル樹脂・ポリオキシメチレン樹脂(世界第2位の生産能力)、ポリカ-ボネート樹脂(ホスゲンを使わない)の評価を更に高める。

2-4-1-3           水処理ろ過膜、リチウムイオン二次電池用セパレ-タ-、イオン交換膜、微結晶セルロ-ズ、感光樹脂等における世界的優位を更に高める。

2-4-2      ホームズセグメント:

2-4-2-1           コア技術を重点としてシェルタ-技術241件、住ソフト技術122件、シミュレ-ション技術41件の特許出願のほか、意匠216件を登録出願し、中古住宅流通についてはビジネスモデル特許の出願を進めている。

2-4-2-2           二世帯住宅等の新たなニ-ズに応じて、諸技術を結集する。

2-4-3      ファ-マセグメント:

2-4-3-1           新規構造の医薬品候補物質を見出し、積極的に海外にも導出することを基本方針とする。整形領域、中枢神経領域、泌尿器領域等に重点をおいている。

2-4-3-2           旭化成ファ-マが、旭化成メディカル(膜・吸着材による分離技術をコア技術とする)、および、旭化成アイミ-(コンタクトレンズ)を100%子会社としている。

2-4-4      繊維セグメント:

2-4-4-1           PTT繊維に450件、ポリケトン繊維について、80件の特許を出願中である。

2-4-4-2           保有商標数は、国内2655件、外国815件である。

2-4-5      エレクトロニクスセグメント:

2-4-5-1 電子デバイス(LSI・半導体センサ-)と電子材料(半導体材料・基板材料・ガラスクロス・プラスチック光ファイバ-)の両領域について独自技術とノウハウを結晶させてゆく。

2-4-5-2 半導体材料の技術では、感光性ポリイミドの組成開発技術をコアとし、基板材料の技術では、感光性レジストの組成開発技術、および、コ-ティング技術をコアとしている。

2-4-6 建材セグメント

   コンクリ-ト系建材では、軽量気泡コンクリ-トパネル、基礎杭では、コンクリ-ト杭・鋼管杭、断熱材では、フェノール樹脂発泡断熱材の成型・施工技術をコア技術としているが、更に、高機能建材(繊維強化セメント系屋根材等)・海洋資材等の高付加価値分野を開発し、特許出願を進めている。

2-4-6      ライフ・リビングセグメント

2-4-6-1 ソリュ-ション提供型の高付加価値製品を創出し、高収益事業の構造を形成する。例えば、新規機能性フィルム、包装システム、易開封技術、生分解ポリマ-。なお、新緩衝設計技術が実用段階に入った。

2-4-6-2 生産現場に密着して培ってきたノウハウ・経験を活かすと共に、機能製品エンジニアリング、画像センシング、シミュレ-ション・ネットワ-ク技術の分野において、戦略的特許網を構築する。

3.        所見

  全世界投資家とのIRについては、旭化成web-siteも、日米両国語により充実しており、例えば、旭化成メディカルのweb-siteは、個人投資家の医学知識涵養のためにも、親しみ深い。これら各セグメントの旭化成web-siteでは、バ-ジョンアップも励行され、平素親しむことが、個人投資家にとっても徳用である。

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