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2006年6月28日 (水)

知的サ-ビス専門家への対価

弁護士・弁理士・税理士等、知的サ-ビス専門家の対中小企業債権に、信用保証・信用保険制度を拡充・適用すべきことについて:

 弁理士 佐成重範 patent@sanari.name 

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内閣知財戦略本部の知財推進計画06において、弁護士・弁理士等の知的サ-ビス専門家が中小企業に対し、サ-ビス対価の延べ払い等の配慮をするよう示唆されていますが、知的サ-ビス専門家の財務の健全性維持にも配慮すべきことが非常に重要なことと考えます。知的サ-ビス専門家、特に士業者は、継続的に国策的な業務を受託しますから、知的サ-ビス専門家自身が資金繰りに困窮するような事態を絶対に防止する義務が、士業者自身にも所管官庁にもあると考えます。

 「中小企業の育成」と「知的サ-ビス専門家の財務健全性の維持」を両立させるためには、例えば、信用保証協会法第1条の「金融機関」を「金融機関等」と改めるなど、次のように改正すると共に、信用保険公庫法を改正し、この信用保証協会法改正案に伴う国の保険対象を拡大することが考えられます。すなわち、上記第1条を、

「この法律は、中小企業者が銀行その他の金融機関等から貸付等の信用供与(以下「信用供与」という)を受けるについて、その信用供与に係る債務を保証することを主たる業務とする信用保証協会の制度を確立し、もって中小企業者に対する信用供与の円滑化を図ることを目的とする。」

 と改めることが適切と考えます。

 中小企業は、大企業相手の知財訴訟や、相続税対策など、様々な士業者へのサ-ビス対価の債務を負担しなければ存続できませんが、これら知的サ-ビス専門家へは、「延払い信用供与」等を受けて支払い、知的サ-ビス専門家は、信用保証・信用保険制度の改正により、その財務の健全性を維持できるよう、知財推進計画の項目として掲げられることを、知的サ-ビス専門家一同と共に要望したいと考えます。

 なお、「中小企業者が、知的サ-ビス専門家への対価支払い資金を、金融機関から借り入れて知的サ-ビス専門家に支払えば、在来の制度で足りるではないか」、との反論もあるかも知れませんが、中小企業者は、在来の事業継続所要資金で、現行制度の金融機関保証対象枠を消尽している場合が多いという実態が、改めて認識されるべきであると考えます。

2006年6月27日 (火)

実用新案権と特許権の併有

実用新案・特許侵害差止請求を認容・知財高裁判決06/23

 弁理士 佐成重範 patent@sanari.name 

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1.        実用新案・特許侵害差止請求:

 実用新案登録制度が見直しされ、存続期間が出願から10年に延長(2005-4-1施行)されてから1年余を経ましたが、実用新案の再活性化の統計的数値は未だ発表されていません。実用新案の早期権利保護のニ-ズに対応するため、新規性・進歩性の実体審査を行わず、その登録に関する一定要件充足の判断にみで権利付与する早期登録制度に改正(1994-1-1施行)された後も、「自然法則を利用した技術的思想の創作」が保護対象であることは、特許権と実用新案権とに共通の要素です。

 同様なテ-マについて、特許権と実用新案権を併有する原告A(中嶋恭久訴訟代理人弁理士ほか)が、被告会社製品による侵害の差止等を訴求し、知財高裁「平成17年(ワ)14346号」判決(2006-6-23)は、原告の請求をすべて認容しました。

 本件実用新案の考案の名称は「天端出し補助具」、本件特許の発明の名称は「天端出し補助具およびそれを用いた天端出し補助装置」です。

2.        争点に対する知財高裁の判断:

 争点は、被告製品の、本件考案および本件発明の構成要件充足性、および、本件実用新案権と本件特許権の無効性(新規性・進歩性欠如)でした。

 知財高裁は、争点となった構成要件充足性については、「被告各製品は、いずれも、本件考案・発明の構成要件を充足し、その技術的範囲に属する」と判示しました。また、「争点に関する公知技術は、いずれも本件考案・発明の構成要件のすべてを具備したものではなく、従って、本件考案・発明が新規性を欠くとはいえない」、「上記公知技術中には、引用例となるべきものがないから、本件考案・発明が進歩性を欠く旨の被告の主張は、その余の点について判断するまでもなく理由がない」と判示しました。

 

3.        所見:

 知財高裁は、仮執行宣言についても「これを相当と認め」、原告の請求を認容しました。

 技術的思想の高度性が、特許権の実用新案権に対する特徴の一つですが、「高度性」は争点に現れていません。

 「均等による侵害」、容易想到性、意識的除外、技術思想の相違、「技術的思想の中核をなす本質的部分」、置換容易性、設計事項、技術思想の開示、語義(一体化・上部・先鋭)、機序の相違の認識根拠などが、論点として続出していますが、本稿では、「実用新案権と特許権の併用」という事業戦略に着眼するにとどめ、建築技術に関する詳細は判決文に委ねます。  

2006年6月26日 (月)

東芝の審決取消請求を東京地裁が棄却6-22

「ボイド」に関する争点をめぐって

 弁理士 佐成重範 patent@sanari.name 

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1.東芝の発明「はんだ合金およびそれを用いたはんだ付け方法」:

 標記発明についいての東芝の特許出願が拒絶査定を受けたので、東芝が審判を請求し、特許庁は「この請求は成り立たない」と審決したので、東芝がその取消を訴求し、東京地裁が、2006-6-22「平成17年(行ケ)10692号 審決取消請求事件」判決により、東芝の請求を棄却した事案です。

 争点の一つである「はんだ合金に要求される特性のうち、はんだ合金に含まれる金属成分の酸化物が、ボイド等の欠陥の発生原因とならないことに関する知見の公知性」について、判決は、「はんだ合金中の酸素含有量がボイドの発生および接合強度の低下に影響することは公知の事実であったという、審決の判断を誤りであるとする東芝の主張は採用することができない」と判示し、他の争点についての判断と併せて、東芝の審決取消請求を棄却する理由としています。

2.所見:

 知財高裁の場が可能な段階ですから、ここには、本判決を例題として、かねて内閣知財戦略本部が計画している「特許審査ハイウェイ」等のための翻訳機械化などの前提となる用語の選択について、「ボイド」を具体例として考えてみます。

 先ず、ボイドは英語では「void」または「boids」です。

 〔void〕は、普通、気孔・気泡・空孔・空隙等と訳され、物体(合成樹脂や合金など)に含まれる微小な空洞・空隙ですが、原子工学では冷却材の蒸気の気泡を意味し、ITではプログラム言語の一つです。「boids」は、人工生命シミュレ-ションプログラム等において、「人工生命」の意味に用いられているようです。

 今回の判決では、合金業界を含めて、汎用的な「空隙」の意味で「ボイド」の用語を用いていると考えますが(判決文中では「ボイド等の空隙」とありますから、ボイドは、空隙の一つとされているようですが)、今後、出願企業、弁理士、特許庁、裁判所等は、「ボイド」のまま知財用語とするのが良いのでしょうか。この辺から特許文書の在り方を検討すべきであると考えます。

2006年6月25日 (日)

知財高裁「時分割」判決(6-22)

「時分割」と「時間順次」の異同

 弁理士 佐成重範 patent@sanari.name 

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1.        特許庁敗訴の6月22日・知財高裁審決取消請求事件判決:

 「時分割」は、電気通信分野では極めて常識的な用語ですが、知財高裁の2006-6-22判決「平成17年(行ケ)10718審決取消請求事件」(請求認容)中には、その語義が原告主張中に詳細に解説され(後記)、理解を深める反面、「時間順次」という用語との異同については、上記訴訟において重要な争点の一つとなり、日英文機械翻訳による日欧米特許審査ハイウエイ実現のための準備活動の問題点一例をも提供しているように考えられます。

2.        原告・ウエルパインコミュニケ-ションズの発明:

 原告は「適応型自動調整装置」という名称の発明につき特許出願し、特許請求の範囲の補正を含む明細書の補正をしましたが、特許庁は拒絶査定し、原告は審判請求。その審理継続中に原告は、手続補正書により「特許請求の範囲の補正を含む明細書の補正」をし、特許庁がこの補正を却下して「審査請求不成立」の審決をしました。この補正は原告出願の請求項3に関するもので(以下「本願発明」)、原告は審決取消を請求し、知財高裁がこれを認めたという判決です。

 当初出願における上記請求項3の記載は、次の要旨です。

「電気的共振点を複数有する負荷に供給する電源の周波数を、時分割で順次循環的に、上記各共振点での共振周波数にほぼ等しいものに切り替えていく電源周波数切替手段と(以下SANARI PATENTにおいて略)」。

 本願発明では上記が次のように補正されました。

「電気的共振点を複数有し、かつ入力端を1個だけ有する1の負荷に、上記入力端より供給する電源の周波数を、時分割で順次循環的に、上記各共振点での共振周波数にほぼ等しいものに切り替えていく電源周波数切替手段と」。

3.        原告が主張した争点の一つ:

 原告は、「特許庁の審決が、本願発明と引用発明とが電気的共振点を複数有する負荷を備える点で一致すると認定したことは、誤りである」とし、争点の一つとして、時分割と時間順次の技術的意味が異なることを主張しています。すなわち、「時分割は、一つの装置を二つ以上の目的のために時間を細分して使用し、見掛け上、同時に動作が行われるようにすることである。引用発明にいう時間順次は、時間設定手段および時間配分割合設定手段の設定内容により、その態様が決るものである。時分割と異なり、循環的に繰り返すという意味合いを持たず、また、時間順次を構成する一連の各時間は、特に短時間である必要もない」と主張しました。

 すなわち、争点の一つは、特許庁審決が時間順次と時分割を同義としたのに対して、原告は、両者の相違、従って、本願発明の進歩性の成立を主張したことです。

4.        知財高裁の判断:

 上記争点について知財高裁は、「両者は、複数の振動子を駆動する動作の点において、具体的な技術的課題・作用を異にし、その技術的思想を異にしているものであり、共振点の異なる複数の負荷に時分割でパワ-供給を行う、という抽象化されたレベルで共通するとしても、両発明の各動作に格別の差異がないとすることはできない」と判示しました。

5.        所見:

 米国特許商標庁の審査基準には、「発明者は、辞典編纂者・用語創作者であるべき場合がある」との趣旨が明示されています。この趣旨が訴訟力・訴訟用具のため転用されたり、濫用されたりしては審査基準の趣旨に反しますが、表現の異動を特許審査ハイウエイの実務や、その前段階となる電子翻訳においてどのように適切に対処するか、重要な課題と考えます。

今次知財高裁判決の、「両発明が抽象化されたレベルで共通しても、動作の相違において進歩性を認めるとした記述も、注目されます。(以上) 

2006年6月24日 (土)

特許庁の中小企業対策

特許審査審理構造への改革進む

 弁理士 佐成重範 patent@sanari.name 

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1.特許庁のガイドライン改正:

 このたび特許庁は、「早期審査審理ガイドライン」を改正・公表(2006-6-22)しましたが、改正の重点は、次の諸点です。

1-1        中小企業・個人・大学等が申請する場合の先行技術調査の軽減(早期審査申請時に出願人が知っている文献を記載すれば足りることとした)

1-2        大企業と中小企業・個人・大学等が共同出願する場合の先行技術調査の要件の見直し(中小企業の権利持分比率が半ば以上の場合に、前項同様とした)。

1-3        ガイドラインに記載事例を追加(対比説明の記載事例等)。

2.中小企業とは:

 中小企業等を知財関連制度上で優遇するわが国の仕組みは、米国のそれに比べて煩雑で、比較的に評判の良いものではありませんでした。今回の配慮で、若干は、好評を得ると考えます。

 制度に関係する知財専門家にとっても、そもそも中小企業の定義自体が複雑です。中小企業基本法の最新版(2005-7-26 法律87号改正法)における「中小企業者の範囲及び用語の定義(21)は、次の通りで、暗記している学者は少ないと考えます。

 第2条第1項(要旨) 本法に基づく施策が対象とする中小企業は、おおむね次の各号で、その範囲は、本法の基本理念に則するよう、施策ごとに定める。

2-1 製造・建設・運輸は、3億円・300人以下(以下、資本金要件・常時従業員数条件のいずれかを充たしていればよいという法文になっています。ベンチャ-企業には、従業員数は10名程度だが、資本金・出資金は10億円というような企業が続出していますが、これも上記原則定義では、中小企業に該当します。

2-2        卸は、1億円・100人以下

2-3        サ-ビスは、5000万円・100人以下

2-4        小売は、5000万円・50人以下

3.小規模事業者

このほか、小規模事業者という概念があります。商業・サ-ビスでは5人以下、製造等では20人以下ですが、「おおむね」という語が付加されており、「弾力的」のように見えますが、適用の有無を不透明にする制度となる場合も考えられます。(以上)

2006年6月23日 (金)

知財権と他の価値との抵触

内閣知財戦略本部のプロパテント再検討

 弁理士 佐成重範 patent@sanari.name 

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1.知財権強化と他の価値の抵触:

知財推進計画06(2006-6-8)は、知的財産推進計画05の記述(SANARI PATENT 06-22参照)から更に進んで、次のように指摘しています。

1-1 「知財権の強化は、知識社会化とグロ-バリゼ-ションの必然的な流れである反面、公正かつ自由な競争、学問・研究の自由、公共の利益など現代社会が有している基本的価値と抵触する可能性があり、バランスのとれた知財制度を目指す必要がある」(p7)

1-2 「IT技術(本稿注:IT知財を核心として)の進歩は、技術の侵害やコンテンツの無断複製の加速化という負の効果も生む」(p2)

2.米国下院の「特許システム濫用論」:

一方、CENT News.com(2006-6-1)は、「Politicos mull action against patent system abusers」と題して、Howard Berman下院議員が、「いわゆるパテントトロ-ル」を特許制度濫用者として制約すべきであるとの趣旨の行動を起こしていることを送信しています。米国最高裁の「特許権に基づく差止め請求eBayMercExchange事件判決(2006-5)」が、「Supreme Court rules in favour of eBay」と見出しされて、「特許権発動の在り方」について判断を示したと解されたことも、米国下院における上記特許システム濫用抑制の動きを支援していると考えられています。

3.米国最高裁の知財判決:

  上記米国最高裁判決(原告は、パテントトロ-ルと目されている企業、被告はeBay)は、被告の主張、すなわち、「特許権侵害事件において、差止請求がほぼ自動的に認められていること(near automatic injunctions)は不当である」との主張に対し、「公益のみならず、差止が認められなければ原告は回復不可能な加害(irreparable harm)を受ける結果となる場合であるのか、金銭賠償請求によることなど他の訴求方法で足りる場合ではないのか、等のファクタ-を考慮(consider)すべきである」と判示したものと解します。

4.わが国での「差止め」:

 「企業の立場として、特許侵害訴訟で、地裁では侵害者と認定され、高裁では逆転することが充分考えられますが、地裁段階で、差止請求の仮処分執行命令で、製造禁止とされれば、被害は深刻ですが、そのようなことはないのですか」との質問(要旨)に対して、元東京高裁判事(現弁護士・弁理士)長沢幸男氏は、「あるんですよ。実はそれは大問題なんですよね」と前置きして、詳細に実情を語られました(パテントVol.59)。

5.パテントトロ-ルはわが国でも発生可能か:

 米国下院(2006-6-15)で問題とされたパテントトロ-ルは、「多数特許権の取得により、特許権侵害の可能性を他企業に対して主張し、多額のライセンス料等、解決対価を要求・取得することを、専らその業とする企業」と解されます。

 みずから特許権を実施することはなく、ライセンス料の対価取得を専業とする会社は、既にわが国にも現存し、政府の知財会議の参考人として実情を述べ、「当該特許権の有効性については当社は、取引先に対して責任を負いません」と付言して、一委員から、「うまいですね」という感想を得ていましたが、同社のような場合、米国のパテントトロ-ルとは全く業態を異にするものと確信いたします。「うまい」の態様と限度が、米国下院で「mull」されていると解します。(以上)

2006年6月22日 (木)

プロパテントを日米とも再考

プロパテント・プロイノベ-ション・パテントトロ-ル

 弁理士 佐成重範 patent@sanari.name

  Web検索SANARI PATENT

本月17・18両日にわたる日本知財学会年次学術研究発表会(2006-6)の企画セッションの一つは、「プロパテント時代の一つの終焉―プロパテントとプロイノベ-ションの調和へ」と題されました。 その内容は、同学会事務局により、「米国が、プロパテント政策の軌道修正を図っている」情勢のもと、「わが国でも、知財の権利化への依存度を低める形でのオ-プンソ-ス化やブラックボックス化等を含めて、プロパテント路線を点検すること」と紹介された。

 一方、内閣知財戦略本部の知財推進計画05は、アメリカ競争力評議会の「イノベ-ト・アメリカ」報告書(2004-12)の、「イノベ-ションこそが米国の21世紀における成功を決定する最重要な要素であり、知財制度はイノベ-ションのためのインフラの一つである」という位置付けを引用した。

一方、CENT News.com(2006-6-1)は、「Politicos mull action against patent system abusers」と題して、Howard Berman下院議員が、「いわゆるパテントトロ-ル」を特許制度濫用者として制約すべきであるとの趣旨の行動を起こしていることを報道している。米国最高裁の「特許権に基づく差止め請求事件判決:eBayMercExchange」が、「Supreme Court rules in favour of eBay

と見出しされる「特許権抑制傾向」の判断を示したことも、米国下院の特許権

濫用抑制の動きを支援していると考えられている。(以上)

2006年6月21日 (水)

韓国特許事務所の活躍

韓国の知財行政

革新意欲活発な韓国知財

 弁理士 佐成重範 patent@sanari.name 

Web検索SANARI PATENT

韓国の著名な特許事務所、P.K.KIM & ASSOCIATESの情報(2006-6)には、注目すべき多くの動向が見られます。

1.        韓国は、産業財産権出願の世界4位になった。

2.        従って、WIPOは韓国特許庁の国際知識財産研修院を、WIPOの公式研修機関に指定した。

3.        上記韓国研修院は、創立後15年を経ているが、サイバ-教育をも活用し、年間4000人余の教育生を輩出している。

4.        韓国特許審判院は、本年3月9日から、「先送達・後方式」の審査制度を実施し、審判の中間書類の授受を迅速にする体制とした。

5.        韓国における知財の審査請求数は、2005年は対前年3割以上増加した。

6.        IPTV関係の特許出願数では、韓国は世界の首位に立っている。大字電子、LG電子、三星電子が活躍し、中国や欧州への優位を得る方針である。

7.        韓国は、「アジアの特許情報のハブ」の地位を得つつある。

8.        韓国特許庁は、WIPOの要請に応じ、PCT-ROADシステムを積極的に諸国に普及している。

9.        WIPOは韓国のインタ-ネット基盤電子出願システムを高く評価している。(SANARI PATENT注:「インタ-ネット出願」の定義(実質的内容)が日韓同様か、究明する必要があります。「インタ-ネット出願システム」という呼称が、一般のインタ-ネットと同様にユ-ザ-フレンドリ-であるか、わが国のそれは、かなり距離があり、個人発明・小規模企業の本人出願に優しいか、検討を要すると考えます)。

10.韓国は、そのアジア情報センタ-で、アジア地域の特許文書の電子化業務サ-ビスも行う。

11.特許料の累進体系を改める。(以上)

2006年6月20日 (火)

画期的ノウハウ戦略

ノウハウ戦略と特許戦略

わが国知財戦略革新の要地

弁理士 佐成重範 patent@sanari.name

 Web検索SANARI PATENT

  URL:http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/

 16日に特許庁が公表した「先使用権制度の円滑な活用に向けて」(2006-6-16)

は、実質的に「特許出願の抑制」効果をもたらし、出願公開による技術流出を防止すると共に、防衛出願等の知財戦略コストを軽減するものとして、極めて高く評価すべきものと考えます。

 わが国で、年間約36万件の特許出願があり、16万件が審査結果を待たずに取り下げられ、残り20万件のうち9万件が拒絶査定(特許不許可)され、11万件が特許付与されるものの、うち8案件は日本特許のみという現状は、わが国の出願構造のひずみを示すものであり、知財経済的にも、知財戦略的にも、早急な是正が必要であるとの認識は、普遍的でした。その対策に諸論があり、紛糾してきました。

 審査制度の改革や、先使用権制度を先発明権制度へ、などのほう改正を要する提案も多くなされましたが、 産構審知財政策部会が、「先使用権制度の明確化のために法改正を行うことは、特許権者と先使用権者とのバランスを変える可能性があることから、先使用権制度の明確化、先使用権制度の立証手段の具体化を図り、先使用権制度のより円滑な利用を推進することが妥当である」との結論を導出されたことは、誠に適切と考えます。

 このたぼの特許庁公表には言及されていませんが、中小企業がそのノウハウを大企業に対して防衛するためにも、今回の措置が役立つと考えます。

 

2006年6月18日 (日)

内閣知財本部が知財学会を活用

内閣知財戦略の学会活用

学会の基礎研究性・先端誘導性・分野融合性

弁理士 佐成重範 patent@sanari.name 

Web検索SANARI PATENT又は佐成重範

1.        内閣知財戦略本部の知財推進計画06(2006-06-08)は、「学会を活用すると共に知財に関する研究を支援する」という標題(p.117)のもとに、次の計画を掲げています。

1-1 各種学会の活用と支援(弁理士等の参加と分科会の設置を促進)

1-2 知財の総合的・学際的・横断的研究の推進(情報・環境産業、科学技術・コンテンツ、法学、経営学等)

2. 知財推進計画06が例示した日本知財学会(2006-06-17~18)において小生は、  「知財制度の内部撞着」(Inner Contradictions of IP System) という演題で、知財制度の多目的性に起因する内部撞着について、知財推進計画06が示した解決の方向と知財推進計画07での具体策への期待を述べ、また、6月1日、意匠法等改正法案可決成立に至る衆院経済産業委員会(2006-05-26)政府答弁の「美感主観性」や「消費者判断」について付言します。

     記

1. 特許付与の的確性と迅速性(出願構造・審査構造の改革と国際調和)

 知財推進計画06 先使用権 特許庁検索機構の開放 審査ハイウエイ 

 知財推進計画07 審査請求制度改革 三極相互承認制度 進歩性と有用性

2.        大企業の知財戦略と中小企業の多様性(中小企業の知財戦略の高度化)

 知財推進計画06 商工会に知財駆込み寺 特許権取得とノウハウ秘匿の画定

 知財推進計画07 中小企業就職者の在学中知財実務教育

3. 私的独占利益保護と公的社会利用確保(著作権処理 アフリカ等に医薬品普及 研究財・非代替的リサ-チツ-ルの社会権性)

 知財推進計画06 公益・私益調整制度の検討

 知財推進計画07 法定使用料 強制実施権 RANDポリシ-の普遍化

4. 「特許権と著作権」・「営利財と文化財」の同棲(創作権の帰属・ODA)

 知財推進計画06 デジタルコンテンツの振興とライブ施設の整備

 知財推進計画07 創作権・識別子権・ブランド権の画定と融合

5. デファクト・スタンダ-ドの優越(多国籍企業・複占・デジュリ標準の現実)

 知財推進計画06 国際標準総合戦略の策定 アジアグル-プ(対ESTI)

 知財推進計画07 国際市場制覇の戦略 複数標準間の相互接続性 日本企業と外国企業の複数の連携

6. 産学連携における立場の相違(大学の多様性・特許権の共有・東工大事件知財判決)

知財推進計画06 大学知財本部とTLO 自らに最適な体制の構築

知財推進計画07 大学課程における知財実務の充実

7. コンテンツの定義の流動性

知財推進計画06 技術と芸術の融合 特許権・著作権の重合 著作権処理 

知財推進計画07 アナログコンテンツ・デジタルコンテンツ・ライブコンテンツの相互変換 食文化やフアッションを包含するコンテンツの定義と理念

2006年6月16日 (金)

内閣知財本部が弁理士に期待

内閣知財推進計画06と弁理士 

弁理士 佐成重範 patent@sanari.name 

Web検索SANARI PATENT又は佐成重範

内閣知財戦略本部で先日決定された「知財推進計画2006(2006-06-08)は、官邸ホ-ムペ-ジに全文掲載されましたが、〔弁理士に〕と特記した期待には次のような事項があります。 知財関係資格志願の方々等のご参考までに。

なお、括弧内は、知財推進計画06のインタ-ネット表示面の該当ペ-ジ(要旨)です。

1.「中小企業・ベンチャ-総合支援センタ-、知的所有権センタ-等の窓口を活用し、日本弁理士会等とも連携して、中小企業に親切な弁理士や個別の技術分野に詳しい弁理士等を紹介する。」(32)

2.「大学の知財管理を支援するため、都道府県に設けた地域窓口を通じた弁理士情報の提供や、大学等に対する知財ル-ル整備、出願・契約・紛争に関する相談等の日本弁理士会による自主的な取組を支援すると共に、大学」からの出願等の代理の授権に伴い生じる問題に関し、日本弁理士会による研修を促す。」(41)

3.「明細書等の出願書類を作成するに当たり、技術的に簡単・明瞭な文言を用いて明確かつ簡潔に記載するよう、日本弁理士会に対し協力を要請する。」(56)

4.「模倣品・海賊版対策として官民の連携を強化することとし、日本弁理士会等で構築したニセモノ相談ネットの積極的な活用を支援する。」(77)

5.「中小・ベンチャ-企業が弁理士等の外部人材を適切に活用するための環境を整備する。」(89)

6、「中小企業に親切な弁理士や個別の技術分野に詳しい弁理士等を紹介する。」(再掲)(90)

7.「日本弁理士会が提供している弁理士ナビによる弁理士情報を充実すると共に、弁理士等の専門家についてのインタ-ネットによる情報提供を促進する。」(91)

8.「地域における弁理士の活用のため、日本弁理士会に対し、地域のアクセスポイントや共同運営支所の設置、商標や中小企業のキャラババン隊の派遣を促す。」(98)

9、「日本弁理士会等で構成する知財人材育成推進協議会の活動を支援する。」(126)

10.「日本弁理士会等に対し、融合人材等の研修への取組を促す。」’126)

11.「学会への弁理士等の参加を奨励する。」(128)

12.「弁理士の大幅増員と資質向上」(132)

13.「弁理士制度検討と弁理士法改正の検討〕(132)

14.「弁理士の訴訟単独受任の検討」(132)

 

2006年6月14日 (水)

機能食知財と高齢者知財

日本発「機能食知財」と「高齢者知財」政策の要望 2006-06-14(内閣知財戦略本部に送信済)

弁理士 佐成重範 patent@sanari.name             URL:http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/

 知財推進計画07に向けて、標記の付加を要望申しあげます。

1.        機能食知財について

 今回のサッカ-ワ-ルドカップの放映で、わが国選手の機能発揮の根源に、随行栄養アドバイザ-による、各選手の体調・嗜好・食感から現地気象条件・試合開始までの残余時間に至るまで、緻密にバランス計算した機能食調理の知財があることを知りました。

 国民の機能を削ぐ潜在的病症としては、糖尿病の蔓延があり、血糖値適正化のため制限食の継続が必要ですが、在来の病院食の「不味さ」が、入院加療を辟易させてきました。糖尿病の多くは2型(遺伝型)に属し、外貌は壮健のまま、無自覚裡に膵臓以外の内臓や知覚の障害をも潜在させ、限界値超で合併症が一斉に顕在化するので(サブマリンの如く)、コンテンツの一環である内外の華美食文化振興には、機能食知財(特に各栄養素の制限値計量)が欠けているのではないかと、危惧もしてきました。

 しかし、慶応病院の場合は、高血糖値症用の病院食(3食計1400カロリ-・塩分6g)の美味多彩・食材多種・メニュ-多様に感嘆しました。病理・調理の知財融合の最適機能食を享受できます。高齢併病人口の著増とその福祉に対処して、病院食美味のノウハウは、国民の機能食知財として誠に貴重と考えます。

 完全な健常者も含めて、躍動するライブエンタメの演技・発明の着想・デジタルクリエイト等の創造活動、いずれも機能食知財による国民心身の最適栄養バランスに淵源しますから、美食文化と併せて、バイオ的に「ヘルシ-」であるよう計量デザインする「機能食知財」政策の特記を要望申しあげます。

 なお、構成成分の一部の機能価値(これのみが宣伝される)が、嗜好のための共存他成分のためバランスを欠く場合があり、また、例えば中国ブランドで高島屋販売の「薬膳」や「糖朝」も、その優雅・美麗・芳香に加えて、カロリ-総量の目安が知りたいところです。

2.        高齢者知財について

 知財推進計画06に、「難聴者のため全字幕邦画を推奨する」(要旨)との項目が新設され、わが国人口構成の変化に即応する優しい計画の端緒と考えます。しかし、人口の4分の1を超えて増加し続ける65歳超の機能劣化対策も必要ながら、「全国民の知財民度向上」という知財推進計画06の目標から考えれば、あまりにも大きな高齢人口層を、「全国民の知財民度向上」の構成から外れた保護対象としてのみ扱うことは、この層の潜在知財から考えて、積極性が乏しく国民的大損失です。

 知財専門家についても、高齢者には、商標キャラバン隊で全国を疾駆する体力、若い女性研究者の先端研究説明における微かな囁きの聴取、細字・細画の速読等の劣化が自意識されますが、サイバ-スペ-スにおける知財能力は、前項の機能食知財を併有すれば、減衰しません。

 例えば、6月8日決定の今次知財推進計画06全文は、PC画面の文字拡大により、キャラバン馬上の専門家より迅速・容易に受信し、今次新規計画事項への対応意見を、直ちに全国関係者間でメ-ル交換できます。

 知財推進計画06に折角、「聴覚減衰対応」の項目が採択されましたので、諸知覚減衰の巨大人口を、「高齢者知財」として価値あらしめるよう、ご指摘のIT革新本部等との連携政策を要望申しあげます。

このことは、地域対策、中小企業対策の見地からも、高齢化する地域学識者・中小企業経営者等が、知財人材のサイバ-ネットワ-クと協働して、知財の国民意識を全国に昂揚する契機になると存じます。

なお、韓国では、地方在住勤務の審査官が同国特許庁インタ-ネットシステムを活用、わが国では、医療諸分野の医師によるCT等映像のインタ-ネット合議読解、全世界では、汎用トップレベルドメインネ-ムシステムの全てのサイバ-スペ-ス上運用(紛争処理を含む)の定着等が見られ、かくしてITが遍在してゆくことを、脚力等減衰の高齢者知財(伝承・経験・戦略を含む)の開発にも資して頂きたいと存じます。(以上)

2006年6月 2日 (金)

情報機器画面デザイン:意匠美感審査・特許出願分割等

6月1日、意匠法等改正法案可決成立

弁理士 佐成重範 patent@sanari.name         Web検索SANARI PATENT又は佐成重範

URL:http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/

1.衆院経済産業委員会(2006-05-26)政府答弁(要旨)

1-1 ケイタイがトップ、意匠登録出願数の現況

 年間約4万件の意匠出願があり、その約4分の3程度が登録されている。平均維持期間は7年で、全体の17%が15年間維持である。出願数で圧倒的に多いのが携帯電話・テレビ等の電気機器である。

1-2        画面デザインに法改正

 わが国が得意とする情報家電の分野では、操作を画面で行う製品が増加し、産業界も、画面デザインの工夫で自社製品を差別化している。

 現行意匠法では保護対象が、機器の初期画面あるいは機器使用に必要不可欠な画面に限定されており、情報家電の画面デザインの模倣が適切に排除できない。また、企業の画面デザイン創作への投資が十分に保護されていない。

 他方、米国ではグラフィック・ユ-ザ-・インタ-フェ-スとかアイコン、すなわち、操作のための指示の画面や記号化した図形そのものを、物品または物品の一部として保護している。欧州では、欧州共同体の意匠規則により、これらを意匠の一類型として幅広く保護している。

 従って、今回の意匠法改正案により、グラフィック・ユ-ザ-・インタ-フェ-スやアイコンを、情報家電や携帯機器の物品の一部として保護することとしたい。

1-3        意匠権存続期間の多角的検討結果

1-3-1        米国では登録から14年間、欧州主要国では最初は出願から5年間とし、その後4回の交信により最長25年としている。

1-3-2        わが国現行意匠法では登録から15年間であるが、魅力あるデザインによる商品価値の長期維持のため、20年間に延長したい。

1-3-3        他方、長いほど良いというのではなく、意匠法では、機械器具等の物品の機能や技術に関連する形状も保護対象とされるので、特許権の存続期間である出願日から20年間と、余り乖離しないことが適切である。

1-4               意匠の類似の判断基準

 米国では、判例法により、類似の判断主体は「通常の観察者」である。欧州共同体の意匠規則では、「情報に通じたユ-ザ-」である。中国の意匠審査基準では、わが国と同様、類似の判断主体を「一般消費者」としている。

 具体的な判断基準を、国際的に近づける努力が必要である。

1-5               色彩の取扱

 意匠の定義は「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を要素とするから、色彩は、意匠の類似あるいは美感の有無の判断の重要な要素である。具体的な審査実務は、全体が一つの色で塗られている場合と、色彩が塗り分けられて模様を構成している場合とで異なる。

1-6               美感の主観性

  美感も意匠の定義の要素であるから、美的な処理がなされていない場合、美感を起こさせないという理由で拒絶対象となり得る。しかし美感の主観性から、一義的に審査基準を明確にすることに困難を伴うが、実務の積み重ねにより、審査官間の判断差異を防いでいる。 

1-7               特許と先発明

  先使用権の強化に関連して、発明が完成していれば、その後に他者が出願して特許権を取得しても、先に発明した者に特許の実施権を認める制度を設ける案もあった。しかし、事業の実施やその準備なくして、発明完成のみで実施権を付与することは、先願主義下の制度間のバランスを崩すと共に、国際的な制度調和にも即しないので、この案は採用しないという結論に至った。

1-8               特許の分割出願制度の改正

 特許出願に複数の発明が含まれている場合に、その一部を抜き出して新たな特許出願とすることを認めることにより、発明の多面的かつ網羅的な保護を図っているが、現行特許法では、審査終了後の分割を許容しなため、出願人が審査結果を踏まえて権利化を目指す発明を見直すことができない。そこで逆に、事前に念のため特許出願を分割しておくという無駄な手続も発生している。

 今次改正案は、審査終了後でも30日以内であれば、特許庁に係属している特許出願の分割を可能とする。

2.所見

 産構審知財政策部会の長期・多数回にわたる議事録を精査することが、上記諸問題を理解するため必須と考えます。(以上)

2006年6月 1日 (木)

ドメインネ-ム「MIZUHO NET」知財高裁判決

MIZUHO NET」商標知財高裁判決(2006-05-30)

弁理士 佐成重範 patent@sanari.name      Web検索SANARI PATENT又は佐成重範 URL:http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/

1.拒絶査定維持:

5月30日に知財高裁判決が示された「平成17年(行ケ)10756号 審決取消請求事件」は、「MIZUHO NET」の標準文字商標の登録出願(以下「本願商標」・「本件出願」)(指定役務は35類属・38類属から35~42類属に補正)に対して拒絶査定(2003-02-21)を受けたXが、特許庁に不服審判を請求し(2003-04-07)、特許庁は「本件審判請求は成り立たない」と審決(2005-09-13)したので、Xが知財高裁にその取消を請求した事案です。

 知財高裁はXの請求を棄却しましたが、知財高裁の判断(要旨)の要素項目を掲げます。

-1.「Xは、『本願商標「MIZUHO NET」は、ドメインネ-ムであって、電子メ-ルサ-ビスや、ウェブサイトを用いた情報提供役務に使用するのであるから、引用商標(みずほ銀行の商標)との間で、役務の出所について混同を生ずるおそれはない』と主張する。

 しかし、本件で問題になるのは、本件指定役務であって、電子メ-ルサ-ビス、ウェブサイトを用いた情報提供役務ではない。」

1-2.「Xは、本願商標がドメインネ-ムであることをいうが、「MIZUHO NET」という標章につき、一定の役務を指定役務とする商標として登録出願しているのであるから、Xは、自他役務の識別標識として使用することを予定していることとなる。」

1-3.「Xは、本件指定役務のうち、『銀行業務』、『証券業務』以外の業務については、役務の出所について誤認混同のおそれがないから、本件指定役務の全てについて拒絶するのは誤りであると主張する。

 しかし、商標法は、一つの商標登録出願について、拒絶査定か登録査定かのいずれかの行政処分をすべきことを定め、指定役務ごとにこれらの行政処分をすることを予定していない。」

1-4.「一つの商標出願に係る指定役務の一部に拒絶すべき理由があれば、その商標登録出願は、全体として拒絶査定を受けるべきものであると解する。」

1-5.「本願商標は、『NET』の文字部分がピリオドで区切られており、『NET』は通常、組織種別と理解されるので、自他役務識別機能を有するのは『MIZUHO』の文字部分である。この文字部分は周知著名な引用商標である『MIZUHO』と同一であるから、本願商標に接した取引者・需要者は、みずほフィナンシャルグル-プによるネットワ-ク事業であるとの意味に理解する可能性が高い。」

2.関連所見:

 ブランド確立のためには、ドメインネ-ム・商号・商標・意匠等の識別子が総合的に最も有効な識別機能を発揮するよう設定することが必要ですが、汎用トップレベルドメインは、ICANNによる国際先登録主義で運用され、国内識別子戦略と齟齬する事例も見られます。WIPOの裁定制度もありますが、「jal.com」や「fuji.com」の事案では、JALや富士フイルムの申立が却下された事例があります。JALは、同一イニシアルの人名による先登録、HUJIは、米国現地にもHUJI山があって、共に、先登録の「in bad faith」性が否定された事例でした。

 商標判決の都度、総合的考察を重ねることが必要と考えます。(以上)

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