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2006年4月30日 (日)

Local Foods Brand

諸「団体・地域ブランド」の併用

通常の団体商標・地域団体商標・地域食品ブランド・地域酒類

弁理士 佐成重範 patent@sanari.name PC検索SANARI PATENT

1.        平成18年4月1日に地域団体商標制度、通称「地域ブランド制度」が発足しましたが、同5日までに304件の出願があり(近畿150、東海30、北陸27、沖縄25、甲信越17等)、内容は農水産物など食品関係が多いと、国会に報告されています(2006-04-06:参議院経済産業委員会)。 

2.        地域ブランド制度に先立ち、平成8年に「団体商標制度」が導入されており、一方、農水省の「地域食品ブランド」認定制度があります。

3.        今次商標法改正案の国会審議において、鈴木陽悦参議院議員は、「秋田の比内地鶏」も地域ブランドを出願したが、既存の「団体商標制度」と今回の「地域団体商標制度」とは、どのような違いがあるのか、両者の線引きは明確か、利用者からみて判断が難しいのではないか」と質問しました。

4.        また、同議員は、「農水省にも地域食品ブランドの認定制度」があり、沖縄黒糖・草加せんべい等が認定され、一つの生産品に何種類ものシ-ルや表示があって紛らわしいのではないか」と質問しました。

5.        特許庁長官は、次のように答弁しました。

5-1 ご指摘のほか、国税庁では、地域名を付した酒類のブランド保護に取組んでいる。そこで平成1710月に、「地域団体商標制度導入に伴う関係省庁連絡会議」を発足させた。構成員は、農水・食品産業企画課、財務・酒税課、公取・取引課、経済産業・地域経済産業政策課、特許庁・総務課と商標課等である(佐成注:内閣知財戦略本部事務局が「等」であるのか不明。連絡会議の議事内容の逐次明示がないと、臨機対応の参考にならない)。

5-2、結局、拡大された「通常の団体商標」と、「地域団体商標」と、二つの制度が商標法で認められることになった。

5-3 「通常の団体商標」は、同業者によって構成される社団法人や事業協同組合等が、その構成員に共通して使用させる商標として10年前に導入されたが、同業者団体に限らず、公益法人・商工会・商工会議所・NPO等にも、構成員の共通性を示すための「通常の団体商標制度」を認めることが適切と考え、適格「団体」の範囲を拡大することとした。

6.上記答弁に対して、さらに、同議員は、「地域づくりを考える場合、地域ブランドの指定を受けるのが先か、それとも地域全体の売り込みをイメ-ジ作戦として展開し、その後で地域ブランドを申請するのか、その逆か、今次改正案により1年後には改正団体商標法が加わり、現場の混乱もかなりあると思う。対処体制はどうか」と質問し、二階堂経済産業大臣が、「沖縄現地でも地域のブランド振興の重要性を痛感した」等の答弁がありました(佐成注:今回の改正案は、地域組織に着眼した対策であり、前回の改正(本年4月施行)は、地域産品に着眼した対策と考えます)。

7.議員質疑のうちには、諸団体商標登録出願における弁理士機能と、適用団体拡大の趣旨を混同されているかと思われるものがあり、政府答弁で補足されました。

2006年4月29日 (土)

インタ-ネットオ-クション

個人輸入・インタ-ネットオ-クション対策

弁理士 佐成重範 patent@sanari.name PC検索SANARI PATENT

 参議院経済産業委員会の付帯決議(2006-04-06)は、「近年、個人輸入・インタ-ネットオ-クションによる模倣品流通の拡大が深刻な問題となっていることにかんがみ、これらへの対策の在り方について早急に具体的検討を行うこと」

を政府に求めています。

 実は内閣知財戦略本部の知財推進計画05に、個人輸入については、「模倣品・海賊版の個人輸入や個人所持は、現状では法律で禁止されておらず、また模倣品・海賊版に対する国民の意識も極めて低い」として、具体的対策を列挙しているのですが、「模倣品・海賊版の個人輸入・個人所持は、現状では法律で禁止されておらず」という事情も述べています。結局、新年度に入っても、「具体的検討」が国会で求められる状態にあるわけです。

 模倣品・海賊版のうち品質の低いものに対しては、国民の嫌悪がありますが、品質が優れた模倣品・海賊版で極めて低価格なものについては、非模倣品・非海賊版の超高価格に対する中間利得への反感もあり、知財推進計画05が「国民の意識も極めて低い」という結果をもたらしているようです。なお、「販売を目的としない個人所持の違法化」は、内閣知財戦略本部等の一部で支持されましたが、今次改正では見送られるようです。

2006年4月28日 (金)

安い偽造品に寛容な国民意識

模倣品に寛容なわが国民

弁理士 佐成重範 patent@sanari.name PC検索SANARI PATENT

 今次国会で意匠法等の改正が審議され、様々な質疑応答がなされましたが、その一つに、

質問:松村祥史参院議員「模倣品について、内閣府の調査によれば、模倣品を買っても仕方ないと答えた人が国民の約5割あるそうです。これについてどのような見解をお持ちですか」

答弁:石毛博行政府委員:「偽物を購入するのは仕方がない、偽物を購入してもよいという回答が46.9%あって、購入すべきでないという回答が39.6%でした。模倣品・海賊版の購入に対して寛容な側面が国民意識にあるのかなという感じがします」。

 この問答は結局、「模倣品・海賊版によるわが国の損失を認識させるより強力なキャンペ-ンを張る」という政府答弁で終わっています(経産委員会:2006-04-06.

この「国民の意識」については、もっと深い考察が必要と考えます。「高品質・低価格こそ知財立国の本旨ではないか」、「同品質に対して不当に高額な対価を、刑罰をもって実現することは、創作者に適正報酬を逸脱する収入をもたらすか、中間利得者を増長させるか、いずれかの不当な結果を助長するのではないか」などの反問や疑問に、行政が分かり易く解説することを切望します。

2006年4月27日 (木)

標準化と特許権(RANDライセンス)

国際標準化F&Qについての要望  2006-04-27(内閣知財戦略本部あて)

 弁理士 佐成 重範 patent@sanari.namePC検索SANARI PATENT

  知財推進計画05には、標記F&Q作成を計画されましたが、米国の経済発展委員会(Committee for Economic Development)の下記提言(2006-04)の「要素特許権者へのインセンティヴ創案」課題の重要性にかんがみ、F&Qにはこのテ-マをご採択くださいますよう、要望申しあげます。

            記

 1.米国の経済発展委員会は、実業界・学会等のトップ200名で構成する最高級のシンクタンクで、その提言は政経界に強力な作用を及ぼすが、標準化と特許権との調整については、具体的・即効的な勧告を示し得ていない、と見受けられる。それは、同委員会の最近(2006-04)の提言「Open Standards, Open Source, and Open Innovation」を考察した結果の所見である。すなわち、この提言のOpen Standards に関する論説と勧告の要旨は、次のように解せられる。1-1 今後のイノベ-ションによる経済発展の起動力は、OpennessInternetであると、OECDや米国Digital Connection Councilが強調しているが、InternetこそOpen Standard の一つであって、これにより技術や情報やコンテンツが全世界に拡散されイノベ-ションを促進する。

1-2 しかし、創作性が高度な著作者・歌手・発明者(同提言の記載順)の利益は、先ず保護しなければならない。彼らの創造が基本的な技術や情報やコンテンツとしてInternetの機能を構築し、また、彼ら巨人の背中に乗って創造を付加する人々を支えるからである。

1-3 専有標準(Proprietary Standards)と公開標準(Open Standards)を比較すると、専有標準の利便は、ソフトウェアの相違により情報の受信を拒否された経験者にとっては明白である。しかし、公開標準は、専有標準支配者の自己利益追及を抑制し、参入コストの低減による競争の促進によってイノベ-ションを実現し、差別化のみを追及する専有標準を超える効果をもたらす。従って、本委員会は、米国政府が巨大コンピュ-タ-システム(Grid Computing)を含む公開標準の普及を促進することを勧告する。

1-4 一方、特許権者の利益追求が公開標準の普及を妨げているという指摘がある。W3C(World Wide Web Consortium)RAND (Reasonable and    non-Discriminatory Licensing)によっても、解決に至っていない。要素技術(Technology Essential)RF(Royalty-Free)Licenseで公開標準化のため提供することは、ライセンス料収入の最大化を妨げるかも知れないが、その会社が享受する可能性ある利益を喪失させるものではない。その会社の要素技術に依拠した公開標準の普及は、その技術の市場を拡大し、関連利益を増大することが可能である。

1-5 他方、公開標準化に参加しなかった会社は、標準に含まれる特許権への対価を請求し、あるいは標準化を待って請求することによる利益の増大を企図する(佐成注:サブマリン特許)。

1-6 従って、本委員会は、公開標準化の要素特許権クレ-ムの早期公開を誘起するインセンティヴの創出すること、および、標準設定後に権利侵害を主張する特許権者への対応を考慮すべきことを、政府に勧告する。

2.RANDライセンスは、

2-1 ITUの国際電気通信標準化・パテントポリシ-

2-2 W3Wのインタ-ネット公開標準化提言

2-3 製薬工業会の「非代替的リサ-チツ-ルの社会知財化提言」

 等における共通キ-ワ-ドである。いずれもオ-プン性を強調するが、特許権との調整について、画一的に明快な処方を示すに至らない。分野の特質も影響するが、総合的な深耕により、グロ-バルなコンセンサスを形成することも必要と考えます。

 

2006年4月26日 (水)

オ-プンソフトウェア

米国・経済発展委員会の提言(2006-04)

弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

(コメント等は先ず上記アドレスへ)

知財推進計画06は、6月旬に決定されるようですが、米国等の知財関連動向から考えて、盛り込み方を要望すべき事項が多く考えられます。標準化における特許権の開放、開放型ソフトウェアの活用に加えて、開示型革新の3オ-プン政策の提言(2006-04)が先般米国の経済発展委員会によってなされましたが、これに関連して、弁理士(個人)意見を内閣知財推進本部事務局に送信いたしました。ご参考までに、同文を下記申します。

   記

米国・経済発展委員会の「開示開放型標準化・開示開放型知財資源・開示開放型革新に関する提言」に関連する要望   2006-04-25

       弁理士 佐成 重範

 先日公表されました米国・経済発展委員会(Committee for Economic Development)の標記提言「Open Standards, Open Resource, and Open Innovation(2006-04)は、「オ-プン」の語義、開放型標準技術、オ-プンソフトウェア、オ-プン型経済革新を柱として、オ-プンソフトウェアの重要性を位置付けているものと理解いたします。

わが国知財戦略本部・知財推進計画05には、「ソフトウェアをめぐるイノベ-ションを促進するため、ソフトウェアに係る知的財産権の利用・取引をより円滑化するための課題等の検討を行い、必要に応じ措置を講ずる。また、オ-プンソ-スソフトウェアを活用したビジネスの更なる円滑な発展を図るため、2005年度には、オ-プンソ-スソフトウェアを活用してシステム構築を行う際のベンダ-とユ-ザ-の間での責任分担や権利者の権利行使の課題等についての検討を行い、必要に応じガイドラインの公表を行う」と計画され、オ-プンソ-スソフトウェアの語義を、「ソフトウェアのソ-スコ-ド(人間が読むことができるプログラムの内容)を開示するとともに、その自由な複製や改変を認めているもの」と解説されています。

 「知的財産基本法の施行の状況及び今後の方針について」(内閣知財戦略本部:2006-02-24)は上記計画の進行状況に言及しておられませんが、ソフトウェア関連知財はあらゆる分野にわたって今後の知財戦略の要めをなすとともに、「オ-プン」という要点に着眼した知財政策の柱として、米国のみならずグロ-バルな関心を高めると考えますので、知財推進計画06に盛り込まれる事項として重点的ご計画を要望申しあげます。

 特に標記提言の第5章「オ-プンソ-スソフトウェアに関する公共政策課題」において、「現下の2重要課題である現行ソフトウェア特許システムの構造、および、政府がオ-プンソ-ス・非オ-プンソ-スの双方を用いていること」を政策的関心事の焦点としていることに注目したいと存じます(わが国では、官邸シネマ放映のOS限定について新聞投書に疑問が提起されていました)。

2006年4月25日 (火)

BRICs向け多品種大量生産

弁理士の知財戦略要諦

 弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

(コメント等は先ず上記アドレスへ)

 BRICsのsを、4国の複数と解するか、4国を含む数国(漸増)の複数と解するかによって異なるが、現に生活水準が急向上しつつあるBRIC4国にみで、人口合計は世界65億人の半ばを超える。

 従って、世界市場を制覇し、ひいては国際標準化を制覇するための戦略は、「大量多品種生産と対世界過半人口同時発売」および「標準化・モジュ-ル化と多様性化」の両要諦の並列および直列達成である。弁理士の活動・職域の場が社内・社外のいずれであっても、この戦略要諦に直結する実用性を備えていなければならないと考えます。

 「多品種」は、民族性や地域特性の諸類型い相応し、世界同時は、各地需要の誘発効果を招き、標準化・モジュ-ル化はコスト低減と互換性・修復性を保証し、「多様性化」は、標準化のもとでの競争力とユ-ザ-ニ-ズの誘引に寄与します。

2006年4月23日 (日)

ハイヒ-ル・インソ-ル(中敷)特許

ハイヒ-ル・インソ-ル(中敷)特許

弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

(コメント等は先ず上記アドレスへ)

中小企業の研究材料:

個人や中小企業が特許権を取得しても、実用化して対価を得るに至らない事例が多い。着眼が実用に根ざし、ユ-ザ-の便益に適すると思われるのに休眠特許のまま、という事例を、朝日新聞が毎週日曜日に掲載している。「技術的思想の高度性」とは何か、特許要件としての新規性・進歩性とはどの程度のものか、請求項の表現はこのように複雑でなければならないのか、ライセンス取得可能性はどのようにして予測すればよいのかなど、中小企業の研究材料として適切と考えます。

 靴屋の店主Kさんが「歩くとき、女性のハイヒ-ルから足が浮かないように」、かつ、「靴底のかさ上げで足を圧迫することもないように」という実用的な発想から、「自由に折り曲げられるシ-トに弾力性のある四つのパットを、土踏まず・左右・中指裏側に取り付ける発明をした。2年前に特許権を取得したが、ハイヒ-ル・インソ-ル(中敷)メ-カ-はどこも取り上げてくれない」という記事である。

 10請求項から成り、請求項1は、「靴の中底に重ね合わされることによって使用される1枚の略シ-ト状の靴状中敷パットであって、(ⅰ)前部に位置して膨らんだ前方底パット部と、(ⅱ)(中略)、()外側の側方に位置して膨らんで前後方向に延びる内側横パット部と、(以下略)」と記述されている(特許番号3626175)。.

 Kさんは自分の手作り品を販売して試作や特許権取得費用の一部を償っていると推察されるが、Kさんにアドバイスする知財人材が望まれます。

2006年4月22日 (土)

公認会計士の無限責任緩和案

専権業務士業者の無限責任:

公認会計士・弁護士・司法書士・土地家屋調査士・行政書士・海事代理士・税理士・社会保険労務士・弁理士の9専権業務士業者(LLP法施行令の記載順)

  弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

(コメント等は先ず上記アドレスへ)

「会計士有限責任へ」

 「政府・与党検討」として朝日新聞(2006-4-21)が伝えた「会計士有限責任へ」の記事は、厳密には「会計監査法人・有限責任へ」であって、有限責任形態の会計監査法人を認めると共に、その結果、法人経営会計士が行為会計士の責任について連帯無限責任を負うことのない制度を認める方向性を示したもののようです。

 公認会計士の監査法人も、弁理士の特許業務法人も、現在は商法の合名会社の仕組みを準用しており、ユ-ザ-や被害者の保護には手厚いが、法人経営陣の連帯無限責任は過重になる惧れがあります。

 士業者についての無限責任規定はいずれも、専権業務士業に関する規定で、資格標榜業務につては、同様の適用はないものと解するのが妥当と考えます。資格標榜業務は、他の者もなし得るが、資格を標榜してなすことのみが許されない業務だからです。

 表題に掲げた9つの専権業務士業者は、例えば有限責任事業組合契約(LLP)に関する法律の適用について画一的に取り扱われ、専権業務についてはLLP業務とすることができないと法定されています。

 朝日新聞の上記記事の展開が注目されます。

2006年4月20日 (木)

弁護士会と内閣知財戦略本部

特許権侵害罪・懲役10年の賛否

 弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

(コメント等は先ず上記アドレスへ)

内閣知財戦略本部事務局の「特許権侵害罪・懲役10年改正法案は知財立国の理念の現われ」とする趣旨のホ-ムペ-ジ記事は、日本弁護士連合会の公表・反対意見と対比して、顕著な考え方の相違を示しています。

内閣知財戦略本部は、特許権がやっと「有体物」ないし「有体物とみなされる電気」の「窃盗罪」と同等の扱いをされるようになった、と大賛成のようです。

 弁護士会は、特許権侵害罪の構成要件該当性が、物の「窃盗」の構成要件該当性と比べて、著しく不安定であること、また、社会や国民生活の安寧に直接大きな脅威を与えないことから、現在の5年懲役の告発が極めて少ないこと、さらに、欧米諸国のほとんどが、特許権侵害には懲役刑を法定していないことを反対理由としています。

 国会では、どんな質問が出るでしょうか。

2006年4月18日 (火)

野村バイオコンファレンス

昨日の野村バイオコンファレンスでは、出演バイオベンチャ-の現況が様々な見地から注目されました。内閣知財戦略本部にも、バイオの特性に応ずる知財計画の設定を要望しましたので、同文を下記いたします。

 記

産学連携の多様性に関する要望

2006-04-18        弁理士 佐成 重範

1. 本年の野村バイオコンファレンス(2006-04-17)では、バイオナノカプセルのビ-クル㈱、再生医療のアルブラスト㈱、アンチエ-ジング事業の㈱バイオマ-カ-サイエンス等の大学発・バイオベンチャ-が出演しましたが、「学」の知財人材が「産」の知財人材に変身する、すなわち、「学」を出て「産」のトップ企業者・トップ経営者として資金調達・ライセンスセ-ルスを遂行した事例が圧倒的に多く、産学連携の多様性に注目する必要性を改めて認識いたしました。

 野村バイオコンファレンスですから、起業資金の調達が先ず注目されますが、知的財産が無形担保価値と概括する場合、知的財産には、人材的知財(医療関係発明者の前医学部教授が起業し、前職大学病院に販売等)、知財権的知財(薬品関係の高独占性特許権のライセンス料収入を事業収入とする等)、プロジェクト的知財(ユニ-クな健康プロジェクトの発想を営業化する等)など、多様な類型があり、類型に応ずる対応が必要と考えます。

 従って、、知財推進計画05に見える「柔軟性」・「多様性」等への計画の深耕を要望申しあげます。

2.        一方、共通の事項も次のように見られます。

2-1        出資者は、みずほキャピタル等の都銀系、三井住友海上等の保険系、野村等の証券系、中小企業投資育成㈱等の政策系、三菱商事等の商社系、商工会議所系を主として発足し、第3者割当増資で出資額を急増している。

2-2        出演9社のほとんどが、中核発明者である前大学医学・薬学教授を企業者・経営者としている。

2-3        大学間連携は全国にわたり、地域偏在していない。

2-4        資本金は著増し、人員は少数に止まり、中小企業の定義と乖離する。

2-5        米国バイオとの知財、薬事許可、事業連携が、対国内以上に戦略重視されている。

2-6        TLOに言及したのは1社のみであった。

2-7        ほとんど2000年以降の起業であって、先見性に富む事業である反面、薬事許可等が遅滞することのリスクがある。

2-8        数年以内に主要薬品等の特許期間満了が相次ぐバイオ業界における既存バイオ企業に、ベンチャ-設立の企画も多く、大学発ベンチャ-への参画申し出も多くなる。

3.産学連携ベンチャ-については、野村バイオコンファレンスにおいても業績と発生リスクの統計的開示はなし難い立場にあり、内閣知財戦略本部において、ある程度の評価をお示しいただければ幸甚に存じます。(以上)

2006年4月17日 (月)

知的財産侵害懲役刑10年法案

「知財権侵害罪懲役10年上限法案に反対」の弁護士会意見に関する要望を、内閣知財戦略本部等に下記のように送信しました。

        2006-04-16 弁理士 佐成 重範

 sanaripat@yahoo.co.jp 

(コメント等は先ず上記アドレスへ) 

           記

 日本弁護士連合会は、「知的財産権侵害に関する懲役刑の引上げに対する意見書」(2006-03-16)において、今次国会に提出(2006-03-07)された改正法案のうち、「懲役刑の上限引上げに関する部分に反対する」と、明確に反対を表明されました。その反対理由のうち、「刑事罰強化の弊害」について、同意見書の反対理由は次のように要約されると考えます。

1 知的財産権の侵害罪と窃盗罪を同等とすべきであるという改正理由は妥当でない。

1-1       知的財産権の侵害は、窃盗の場合のように直接的に他人の占有を奪取するものではない。(小生は、「社会の安寧を乱す態様の明確性の相違」を指摘したものと解する)。

1-2       知的財産権は、物について存在する他の財産権とは異なり、一定の期間のみ保護され、また常に権利が無効となる可能性を含んだ権利であり、有体物の財産権の侵害の場合とは大きく様相を異にしている。(小生は、「常にではなくても、現実に無効になったり、有効になったりする知的財産権侵害の罪は、犯罪構成要件の明確性・安定性を欠くので、犯罪構成要件充足性の明確性・安定性を欠き、国民の法的安定を損なう惧れがあること」を指摘したものと解します)。

1-3       経済活動への萎縮効果が懸念される。(小生は、同意見が述べているように、「知的財産権侵害に関する訴訟では、知的財産権高等裁判所においてさえ、常に、侵害品とされたものが被侵害権利に属するかが主たる争点になるが、知的財産権の権利範囲に関する判断は微妙な場合が多い」と考えます)。

2.企業の知財担当者および弁理士の立場の検討に関する要望:

2-1 日本弁護士連合会は、「企業が、権利範囲に関する判断を誤った際に、経済的損失を賠償することは已むを得ないとしても、これに刑事罰、特に懲役刑が適用されることになるならば、企業の経済活動は著しく萎縮し、阻害されることが懸念される」と述べています。

小生は、懲役刑が対人刑であるため、「弁理士が定性的価値評価の要素である訴訟力に関し、評価対象である「相手企業の知的財産」について、権利無効の蓋然性を示した結果、当該知的財産権の内容の実施がなされたところ、権利有効の審判・判決により、懲役刑犯罪の幇助罪告発(なお、商標権に次いで特許権も非親告罪とされている)が成立することの可能性はないことの確認」、「弁理士が、懲役刑の可能性を示唆して侵害警告をしたが、後に当該権利は無効とされても、相手企業は事業機会喪失の損害賠償請求はできないことの確認」、「企業の知的財産権担当者が、上司の命により行動した場合は、懲役刑犯罪に該当しないことの確認」をすることが、萎縮効果を回避するため必要ではないかと考えます。日本弁護士連合会指摘の「萎縮効果」危惧に加えて危惧すべきか、疑問にいたしておりますので、適切なお示しが、知的財産推進計画06等で併せてなされますよう、要望申しあげます。

2-2 また、日本弁護士連合会が、「諸外国の刑事罰の法規制を見ても、例えば米国・英国にはそもそも刑事罰の定めはなく、先進国の中で最も重い刑事罰を定めているドイツでも5年が上限である。わが国だけが突出して懲役刑10年に上限を引上げることを正当化する理由は見出せない」と述べていますことにつきましても、ご所見をお示しくだされば幸甚に存じます。(以上)

2006年4月16日 (日)

本人訴訟:弁護士会の弁理士論

本人訴訟:弁護士と弁理士の協調と主張

 弁理士 佐成 重範 sanaripat@yahoo.co.jp

(コメント等は先ず上記アドレスへ)

小生の旧ホ-ムペ-ジの「本人訴訟」(表題は「弁護士会の弁理士論」)が「人気ブログ・ランキング今週第3位」と表示(左欄)されていますので、下記に再掲します。内閣知財戦略本部等に送信した原文です。左欄でのクリックで表示されないのは、ウェブサイト変更のためです。

      記

「日本弁護士連合会の弁理士論」についての要望

2006-03-25        弁理士 佐成 重範

 日本弁護士連合会の「知的財産基本法の施行状況に対する意見書」(2006-01-18)には、次の通りの記述が見られます。

「従前から当連合会が主張しているとおり、付記弁理士に対する単独代理権の付与は、その必要性が認められない。」

 「知財関連訴訟の円滑な実施は、異なる役割を有する弁護士と弁理士が、連携・協力することによって実現されるのであるが、付記弁理士への単独代理権の付与はこれに逆行するものであり、到底認められない。」

 小生は、このご意見について、下記の疑問を持ちますので、内閣知財戦略本部におけるご検討を要望申しあげます。

1.「(弁理士の単独代理権の付与は)その必要性が認められない」という日本弁護士連合会意見ですが、必要性の有無を認める主体としては、先ず知財訴訟の当事者、次いで、行政・司法・立法の諸機構(関係審議会を含む)が考えられます。

1-1 訴訟は、本人訴訟が基本形で(地裁までの訴訟では、現に事件の6割以上が本人訴訟)、知財訴訟についても、当事者が自己の便益(費用および主張伝達の軽易)のために、単数受任者による訴訟の遂行を選ぶ場合、訴訟の内容に応じて、訴訟手続の専門家と技術内容の専門家とのいずれを選ぶかを、訴訟当事者が選択できるとすることは、知財・司法の両改革上、適切と考えます。すなわち、訴訟当事者・三権機構(次項)にとって、「必要」と考えます。

1-2 現在進行中の司法制度改革の起点である司法制度改革審議会意見書(2001-06)の「知的財産権関係事件への総合的な対応強化」の章は、「弁理士の特許権等の侵害訴訟代理権については、信頼性の高い能力担保措置を講じた上で、これを付与すべきである。」と定め、この章においては単独代理権への制限を付していません。この章の後に、「隣接法律専門職種の活用等」の章がおかれ、これに基づいて、認定司法書士の簡裁訴訟単独代理権の法定や弁護士法第72条但書の改正が実現しましたが、同審議会会長等が「司法制度改革」(有斐閣)(286ペ-ジ)に述べておられるように、士業全般について、訴訟代理等の司法関与に対する制約の緩和を前進させることが、司法ユ-ザ-の便益に適すると認められていると考えます。この方向性に従うことは、日本弁護士連合会がいわれる「逆行」ではなく、「順行」であると考えます。

2.「知財関連訴訟の円滑な実施は、異なる役割を有する弁護士と弁理士が、連携・協力することによって実現される」との日本弁護士連合会意見は、「役割」のうちに「訴訟業務」を含めておられるとすれば、精確でないと考えます。弁理士の訴訟業務は現に法定されています。また、ユ-ザ-の訴訟費用負担能力が許す場合に、複数委任により弁護士・弁理士の連携・協力がなされることは望ましいと考えますが、連携・協力のための規定の仕方として、弁理士について「弁護士が受任している事件に限る」のであれば、弁護士についても「弁理士が受任している事件に限る」と定めて連携・協力を確保するべきであると考えます。すなわち、「連携・協力」が対等になされて「異なる知見」の相乗効果が発揮されることを期すべきであると考えます。(例えば、「簡裁訴訟の円滑な実施は、異なる役割を有する弁護士と司法書士が、連携・協力することによってこそ実現されるのであるが、認定司法書士への単独代理権の付与はこれに逆行するものであった」とは、勿論、日本弁護士連合会意見にもいわれていません)。

 なお、ユ-ザ-が単数委任を便益に適するとする場合については、「弁理士が単独代理するときは、弁護士を補佐人となし得る」とすることにより、「連携・協力」を全うする制度をも付加すべきであると考えます。(以上)

 

韓国特許審査官のオンライン在宅勤務

特許審査迅速化の試みに起因する「内部撞着の顕在化」

弁理士 佐成 重範 sanaripat@yahoo.co.jp

(コメント等は先ず上記アドレスへ)

内閣知財戦略本部は、審査官の大幅増員などの例外的措置を行ってもなお、審査順番待ち期間が長期化(2003年度末25月、2004年度末26月、2005年度末27月)し、2005年度末の審査待ち件数が80万件に及ぶ現実を踏まえ、特許審査迅速化に向けた取組を更に強化するための具体的かつ効果的な「抜本的対策を早急に検討すべきではないか」という課題をみずから提起した。この「抜本的対策」の検討論が、現行制度の内部撞着を次々に露呈する結果をもたらしている。権利の不安定期間が長期化し、出願公開に伴う「意図しない技術流出」が著増している現実のもとで、例えば、審査請求期限を数年前に7年から3年に短縮したのを逆転延長すべしとの提案、審査請求制度を廃止すべしとの提案、先使用権の強化をもって防衛出願の必要を減殺することにより対処すべしとの提案(米国特許法の改正法案が先願主義を指向していると指摘しながら、先発明主義に接近する先使用権強化のための制度を提案している。)、極端には無審査主義の提案等々が、内閣知財戦略本部傘下の委員の間でも交錯している。

韓国では、「審査官のオンライン勤務を拡大し、出願から登録に至る全ての業務を処理できる特許ネットワ-クシステムを構築しつつある」(P.K.Kim & Associates:

2006-04-01)が、わが国の「審査官一人当たり年間処理請求項数2005年度1100

項を2022年度に1400項に増加する目標(特許審査迅速化・効率化推進本部:2006-01-17)については、国際出願(わが国では比重が小)に係るハイウエイ構想のほか、具体性に乏しい。有識者グル-プには、「工業所有権協力リサ-チセンタ-等を含めると特許審査・審判に関する人員はこの数年で2倍以上になっているが審査件数は伸びない。内部の目では問題の所在が明確にならない以上、特許庁以外の有識者に審査の実態を検討させるべきである」と公言する向きもある。

そもそも知財推進計画の基調には、特許率(特許査定数/審査請求数)約5割に過ぎない理由を先行技術調査の不完全性に帰する一方、「広く、強い特許」への指向があるが、権利範囲を限界まで広く出願する場合には、解釈の差により簡単には特許性が認められず、特許率が低下する傾向がある。また、研究所の先行発明のように即時製品化を予定しない場合や、国際標準化が停滞する規格関連発明のように査定時期を遷延させることが事業戦略上は有利な場合がある。要するに、特許率で知財活動を評価することは適切でないという内部撞着の指摘をもたらしている。

2006年4月15日 (土)

東工大・熱交換の知財判決

原告・A東工大教授、被告・東工大および連携企業

弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

(コメント等は先ず上記アドレスへ)

原告・A東工大教授、被告・東工大と㈱ルフトの産学学東京地裁知財判決(3月23日)は、産学連携の問題点の一端を示し、知財戦略にも関連しますので、内閣知財戦略本部に、弁理士意見を送信いたしました。同文を下記します。

   記

 産学学間特許紛争の知財判決(H18.3.23東京地裁)に関する要望

    2006-04-15 弁理士 佐成 重範

原告・東京工業大学A教授、被告・東京工業大学および連携企業間の「特許出願取下手続履行請求事件」(平成17年(ワ)18051号)に対する標記東京地裁判決は、大学教授が所属大学と連携企業を被告とし、同学産学連携推進本部、東工大TLO(そのコ-ディネ-タ)や特許事務所の関与も引用されたケ-スですが、内閣知財戦略本部の専門調査会等で検討を要するとされた産学「共同出願}「共同特許権」に伴う利害の齟齬を浮き彫りにしており、上記判決を契機として、「共同に伴う拘束」の緩和(出願取下やライセンスは単独でも為し得ることとする等)の是非についても、ご検討の加速を要望申しあげます。

以下、所見を列記いたします。

1.        経過

1-1        原告Aは東京工業大学(以下「東工大」)の原子炉工学研究所教授、被告は国立大学法人東工大および㈱ルフトヴァッサ-プロジェクト(以下「㈱ルフト」:温水循環システムの開発販売会社)で、原被告それぞれ「熱交換器」を発明の名称とする特許出願を平成16年に行った。

1-2 A東工大教授は、「東工大および㈱ルフトがその出願を取下げることをA東工大教授と合意した」として、出願取下の履行を請求し、東京地裁は、この請求を却下した。却下の理由は、合意が特許法所定の文書でなされなかったため、有効に成立していないということである。

1-3 経緯を見ると、

1-3-1 平成15年5月に、熱交換器の開発について、東工大(A東工大教授研究室)が流路設計を、㈱ルフトが試作を担当することとしたが、試作完成の目途が立たなかったので、同年末に、A東工大教授研究室が試作することになった。

1-3-2 A東工大教授は平成1610月、東工大に対し、発明者をA東工大教授ら3名、出願人を東工大のみとする出願を申し入れた。東工大は、東工大と㈱ルフトとの共同出願をした上で、出願の取下等を検討すると説明し、本件出願を行った。

1-3-3 A東工大教授は、同年11月、東工大に対し出願取下を依頼したが、東工大・産学連携推進本部の知財・技術移転部門長は、「㈱ルフトの権利を大幅に制限する特許共同出願契約を締結しているから、実質的に東工大の単願と異ならないので、共願のままとするか、または、A東工大教授が個人負担で単願するか、選択するよう申し入れた。

1-3-4 A東工大教授は個人単願を選び、上記部門長は、「東工大が㈱ルフトと交渉して速やかに共同出願を取下げる」と述べた。

1-3-5 A東工大教授は、「本件発明に係る㈱ルフトの寄与はゼロである」、「東工大の発明評価会議がの誤解により㈱ルフトとの共同出願が企図された」等と述べ、㈱ルフトは、「㈱ルフトの代表取締役Dの出願発明(大阪ガスと共同)の開示が寄与している」、「A東工大教授を通じて実験装置を東工大に納入しているので、その潤滑剤として発明者の事実相違を表面化させずにきた」等と述べた。

1-3-6 ㈱ルフトは、平成16年末に至り、「㈱ルフトは発明プロセスに関与し、サンプルの無償提供も行っているので、出願取下には同意できない」と回答した。

13-6 上記経過概要にもとで、A東工大教授は標記請求を行ったが、東京地裁は、「東工大は、㈱ルフトが書面により同意することを条件として 出願取下に同意したのであるから、この条件が満たされていない以上、東工大も出願取下に同意することはない」として、A東工大教授の請求を却下した(標記判決)。

1-3-7 特許事務所の関与については、平成16年10月に、A東工大教授は、「出願人等の調整ができないので、出願を見合わせるよう特許事務所に連絡した」と㈱ルフト側に送信したが、㈱ルフト側は、「必要があれば発明者の変更、出願の取下が可能である」と返信し、同日本件出願が行われたとの経緯が述べられている。

2.所見

  この判決には、「発明者および発明寄与者の同定と権利の配分」という命題についての議論も含まれていますが、共同出願人の意思が分岐した場合の特許事務所の対応、特許法における書面主義の徹底(本事件では主としてメ-ルの交換を使用)、特許法施行規則が定める書式の拘束性、産学連携における共同出願・共同ライセンスの「共同者間の同意必須」がもたらしている得失(発明の活用・ライセンス料の取得等)の検討について、深耕の必要性が示唆されているものと考えます。

2006年4月12日 (水)

特許審査渋滞の様々な結果

特許審査迅速化の試みに起因する「内部撞着の顕在化」

 弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

(コメント等は先ず上記アドレスへ)

内閣知財戦略本部は、審査官の大幅増員などの例外的措置を行ってもなお、審査順番待ち期間が長期化(2003年度25月、2004年度26月)している現実を踏まえ、特許審査迅速化に向けた取組を更に強化するための具体的かつ効果的な「抜本的対策を早急に検討すべきではないか」という課題をみずから提起したが、この「抜本的対策」の検討論が、現行制度の内部撞着を次々に露呈する結果をもたらしている。権利の不安定期間が長期化し、出願公開に伴う「意図しない技術流出」が著増している現実のもとで、例えば、審査請求期限を数年前に3年に短縮したのを逆転延長すべしとの提案、審査請求制度を廃止すべしとの提案、先使用権の強化をもって防衛出願の必要を減殺することにより対処すべしとの提案(米国特許法の改正法案が先願主義を指向していると指摘しながら、先発明主義に接近する先使用権強化のための制度を提案している。)、極端には無審査主義の提案等々が、内閣知財戦略本部傘下委員の間でも交錯している。しかし、「抜本的対策検討」の構えは、未だ構築されていない。

2006年4月11日 (火)

大学・中小企業の多様性への対処

大学・中小企業の多様性

 弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

 全国500余の大学、300万余の中小企業の多様性・知財格差を捨象した知財制度が、知財制度内部撞着の要因の一つである。

慶大医学部と早大理工学部が設立した㈱オキシジェニクスのバイオアッセイ事業の成功・TLO年間ライセンス料収入2億円(わが国全大学で5,4億円)や、東京医科歯科大学の学内人材養成、東京工大機械科の特許出願実務課程等、学学・産学・産官学・産産学連携を巧みに実行している少数大学と、大学知財本部とTLOと学内研究室の単独連携の不調和や、収入難に難渋している多数大学が並存している。中小企業も、国際国内両面で追随を許さない先端・高度・独自技術を有する少数中小企業と、内閣知財戦略本部の一委員が指摘されるように、「中小企業は、法務専門家の指導を受けるための法務人材自体を備えていない」と概括されるような多数中小企業が並存している。政府の中小企業政策文書も、中小企業をわが国産業の基盤と讃えつつ、駆け込み寺を用意しなければならないという、中小企業の知財非力を強調している。

 

2006年4月10日 (月)

製薬工業会の提言

知財制度の実質的矛盾の要因

  弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

 形式的には整備された知財制度が、内部撞着を露呈してゆく要因は、知財制度に内在する理念の実質的矛盾である。発明の開示によってさらに新規性・進歩性を有する発明を促す特許制度の審査主義が、権利不安定なままで技術の無制限な無償流失を結果していること、私的独占権の付与による高収益の帰属によって発明や著作を促す特許制度・著作権制度が産業の発達・文化の普及を却って阻害する場合もあることは、独占権と社会性という知財制度の形式的両立要素が実質的には両者の矛盾現象を示す基づくものである。その解消は独占権の実質的修正によるほかない。例えば、日本製薬工業会の「リサ-チツ-ル特許のライセンスに関するガイドライン提言(2006-01-16)は、「リサ-チツ-ル特許は、医薬の研究開発を阻害することのなきよう、権利者と利用者のバランスを考慮した合理的な条件で非独占的に広くライセンスされるべきである」と宣言し、「特許法69条1項の試験・研究該当性の判例が未確定であること」、「同項に該当しない場合にも、リサ-チツ-ル特許は合理的条件・非独占的・非差別的にライセンスさるべきこと」を述べているが、「上記の場合、有効なリサ-チツ-ル特許は、尊重さるべきであり、これを使用しようとする者は、権利者に対し速やかに通知し、必要なライセンスを取得すべきである」と結んでいるから、ITUのパテントポリシーがサブマリン特許やデ複占デファクト標準の抗争を長年にわったて随伴したのに類似する拮抗現象が、国内国際にわたり惹起されないよう、期待される(特に、非代替性が顕著なリサ-チツ-ルについて)。

知財制度の実質的内部矛盾

知財制度の内部撞着

 弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

内閣知財戦略本部は、知的財産基本法の第1期に制度整備が多数の新法・改正法により顕著に進捗し、第2期はその実効確保の期間であると基調づけているが、大企業の企業知財戦略が中小企業の知財を掌握して中小企業の駆け込み寺設置を促し、知財を提供した大学が未実施の相手企業からライセンス料を得られないと共に別の企業にライセンスすることは共有特許権の法制上困難であり、著作複製権がデジタルコンテンツ流通を制約し、社会に役立つべき医療発明や通信インフラ関連知財が福祉や公益に全面的直結をしないなど、知財制度の内部撞着と表現するほかない現象も多く残存している。「撞着」は、「つきあたること、ぶつかること、前後一致せぬこと、つじつまの合わぬこと、矛盾、自家矛盾」と広辞苑に解説されているが、国の法制は通常、形式的には矛盾なく制定されるから、「撞着」は、「実質的矛盾」と解すべきこととなる。

内部撞着に対する外部撞着は、例えば、内閣知財戦略本部お知財推進計画05には米国の弁護士数百万人に対しわが国弁護士数はその50分のⅠ(2万人)と指摘しているのに、司法制度改革審議会はこのような数値を掲げず、知財制度の外部制度である司法制度と外部撞着していることなど、矛盾が顕在化しつつある。

2006年4月 9日 (日)

ファイル交換・デジタルコンテンツコピ-

P2P(ファイル交換等)技術と著作権管理技術の相克

 弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

P2P(ファイル交換等)技術は「視聴体験共有」という本源的文化願望に根ざして発達しつつあり、その活用が文化財の新たな有償購入を導くものであることを評価せず、違法性のみが司法・行政において強調されてきた。このような現状に対する反感は、内閣知財戦略本部に寄せられ、かつ公表された一般国民の、例えばつぎのような意見に表明されている。

(公表のトップに掲げられた意見)「米国等で人気を博し成功しているデジタルコンテンツビジネスがわが国で展開しようとするとき、そこには必ず著作利権ビジネスという抵抗勢力があり、ユ-ザ-にとってもオリジナルのコンテンツホルダ-にとっても好ましくない状況にある。音楽ではリスナ-とア-ティスト、書籍では読者と筆者の間に存在する様々な利権ビジネスが事態を悪化させている。」

(内閣知財戦略本部の一委員の意見)「利用者をより重視した視点を持つことが、デジタルコンテンツの市場を拡大し、クリエ-タ、さらには流通事業者の活性化にもつながる。特に汎用性の高いネットワ-クとして国民に定着しつつあるインタ-ネットを多様に活用することが有益であり、恐れずに改革を進めたい。」

弁理士は、著作権と特許権の双方を業務対象とし、特に両者が協働するデジタルコンテンツビジネスにおいて、両者の適切な融合的活用に貢献すべきである。

2006年4月 8日 (土)

発明の新規性・進歩性

 特許庁の新規性・進歩性審査基準改訂案(平成18年4月5日)は、出願文書等記載の簡潔・明瞭、および、審査基準の可及的国際統一に関連し、既知物質の医薬新用途等にも関連しますので、特許庁と内閣知財戦略本部に、弁理士(個人)意見を送信いたしました。ご参考までに、同文を下記いたします。

特許庁の案は、http://www.jpo.go.jp

新規性・進歩性の改訂審査基準(案)への意見(特許庁あて)(写し・内閣知財戦略本部あて) 平成18年4月8日  弁理士  佐成 重範 

 標記について、下記の通り意見を述べさせていただきます。

1.「第Ⅱ部 特許要件」の「第2章 1.新規性」の冒頭に、次の記載を加えることが適当と考えます。

「用途限定には、一定の用途に特に適した物の作用・構造・特性等の発明を意味する場合と、物の未知の属性を発見し、これを一定の用途に用いる発明を意味する場合とがある。」

(理由)

 従来の「いわゆる用途発明」を定義し、かつ、従来の「その用途にのみ、もっぱら使用される物」の意味を2分して、それぞれの場合に従って判断することができること」を、審査基準ユ-ザ-(一般国民を含む)に明示することが望ましいと考えます。

2.新規性の項1.5.2の「() 物の用途を用いてその物を特定しようとする記載(用途限定)がある場合」の「例1:「抗癌性を有する化合物X」の末尾「新規性が否定される。」の後に、次の記載を加えることが適当と考えます。

「~の組成を有する抗癌性化合物Y」なる記載については、(1)の注記「『~の組成を有する耐熱性合金X』なる記載の場合と同一の取扱に従う。」

(理由)

 出願人がその意図に適合する記載方法を選択できるよう、懇切に教示されることを望みます。

3.同じく例2「高周波数信号をカットし、低周波数信号を通過させるRC積分回路」の、「一般的なRC積分回路のうち特定の周波数特性を有するものを意味し、」の後に、「『~用』と用途を記載することによって、物の用途の特定に役立つ記載であることに注意する。」を加えることが適当と考えます。

(理由)

 パラメ-タ特許(数値限定特許)の要件と、用途発明特許の要件が複合した例示と考えます。

4.「(2)物の用途を用いてその物を特定しようとする記載(用途限定)がある場合」の「例1 殺虫用の化合物Z」の末尾「用途限定のない公知の『化合物Z』とは、別異のものであるとすることはできない。」の後に、「ただし、『前記・~の組成を有する耐熱性合金』の場合と同様に、化合物Zについて「殺虫用」という用途を新規に発見したものであることの記載であると解される場合は、用途発明と解し得ることに留意する。」を加えることが適当と考えます。

(理由)

 今次改定案の全体を通じて、ユ-ザ-が各例示等の整合性を容易に理解できるよう、ご配慮いただきたいと考えます。

5.「用途限定がある場合の一般的な考え方」の例3の末尾「前者と後者とは別異のものである。」の次に、「微細状組織の有無は、組成Aの要素ではない。」と付記されることが適当と考えます。

(理由)「組成」の語義を明確にするためです。

6.同じく例5「成分Aを添加したアトピ-皮膚炎改善用ヨ-グルト」について、「その適用対象等が従来のものを超えているとはいえず」という御説明を補足してください。

(理由)「未知の属性を発見した場合」と、どのように異なるのでしょうか。例えば、Bパ-キンソン汎用薬に、「鳥インフルエンザウィルスワクチン」という属性を発見(インフルエンザワクチンに対神経系副作用が多いことから着想)した場合と、どのように新規性が異なるのか、明確でありません。

7.同じく例6の後の(注2の、「既知の属性や物の構造に基づいて、当業者が、当該用途を容易に想到することができたといえる場合は、当該請求項に係る発明の進歩性は否定される。」という記述については、当業者の技術知見レベルおよび容易想到性の有無の判断基準を、極力示されたい。

(理由)米国特許商標庁のMPEPには、業界による知見レベルの相違、想到容易性の判断における「事業的商業的成功」等の「2次的判断基準」が明示されており、わが国の審査基準もこれに接近しつつありますが、審査基準全般において、例示の都度、極力、容易想到性の判断基準を示唆していただきたいと考えます。判例においては、単に「容易に想到できる」と簡単な結論しか示されていないので、審査基準において説明の具体性を付加され、権利の安定性を増強する(権利主張・無効主張の両面で)拠り所を示していただきたい。

2006年4月 6日 (木)

「いちご」の「あまおう」

地域ブランドの総合性・複合性 

   弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

 この4月1日に地域ブランド制度が施行され、当面約500の登録がなされるようである。地名と商品名を組み合わせて容易に成立するかのようであるが、真に地域ブランドとしての効用を発揮するためには、他の諸制度との総合性・複合性を構築する努力が必要である。

 例えば、特許事務所が多い新宿通り・四谷の市場に「いちご」の「あまおう」が他の「いちご」よりも高価格で陳列されている。そのケ-スには次のような表示がなされている。

 「JA全農ふくれん・博多・あまおう」、「福岡県産いちご」、「大地・ひと・未来:JAふくおか八女」、「全農登録商標第1545172号」、「品質保証・JA全農ふくれんレンゴ-・表WC180g/BS125g/裏K180g」「商品連番5112,「意匠登録番号第708378号」、「等級DX」、「生産者・山村義広」、「あまおう平パック300g」、「http;//wing8.com」、「福岡のデザイン」。

 この表示の基礎に、関係団体の行動を統制する優れたメカニズムが存在する。

2006年4月 5日 (水)

経済産業省の新経済成長戦略

経済産業省「新経済成長戦略」に関する要望(内閣知的財産戦略本部に送信済)(経済産業省ホ-ムペ-ジ参照)

 2006-04-05 弁理士 佐成 重範

 経済産業省は、来る5月中に最終結論に達すべく、新経済成長戦略の中間案を公表されました(2006-03-29)226ペ-ジに及ぶ大論述で、内外の新情勢を分析し、世界のイノベ-ションセンタ-たるべく、国際産業戦略、地域活性化戦略、サ-ビス産業革新、人材・インフラ・技術・経営力のイノベ-ションを、5章にわたり国策として宣明されるものと理解しております。

 そこで、知的財産戦略への言及を注目いたしましたが、知的財産という用語は冒頭には見出だせず、63ペ-ジの注記の「中小ものづくり高度化法に基づく施策を始めとした主要な施策」7項目の最後に、(知的財産)として、「全国の商工会・商工会議所を「知財駆け込み寺」として整備し、公的支援機関に取次を行うほか、知財を中核に据えた企業経営の普及を目的としたセミナ-を開催する。」と記述されています。

 商工会・商工会議所は全国総数4千に近く、中小企業庁補助の経営改善普及員が数千名配置されており、中小企業の知財戦略拠点として適すると考えます。しかい、内閣知的財産戦略本部では、当初、大企業の知財戦略の結果として知財を「奪取」されたとする中小企業の駆け込み寺の所在地としては、「都道府県等中小企業支援センタ-」が想定され、知財推進計画05(2005-06-10)にも、「大企業が優越的地位を濫用し、例えば中小企業の能力を超えるロットを一時に大量発注して対応できないという理由で事実上その技術を取り上げるとか、(中略)巧妙な手口により技術が盗用されたり(中略)、このため支援センタ-の窓口を知財駆け込み寺として整備し」としております(79ペ-ジ)。

 内閣知的財産戦略本部の「知的創造サイクルに関する重点課題の推進方策案」(2006-01-30)も、上記と同じ発想で知財駆け込み寺を構想し、商工会議所等については、別項で、「知的財産の問題を意識していない相談者についても、知的財産に関するアドバイスが可能な体制の整備を促す」とされました(26ペ-ジ)。

 今次経済産業省案や上記知財創造サイクルの別項案は、商工会・商工会議所に、中小企業知財戦略の拠点ないしアクセスポイントたる機能を具備させようとするものと解され、その他の中小企業知財戦略と連携させることにより、極めて適切な対策になると考えます。しかし、「駆込み寺」という呼称は良いイメ-ジを与えず、「中小企業知財センタ-」等の名称をご考案いただきたいと存じます。

 なお、農林水産省では、農協の農業改善普及員に知財推進を担当させる計画とのことですが、商工会の経営改善普及員は、農業経営改善普及員をモデルとして立法・国費補助されてきたもので、新経済成長戦略では並列して機能を発揮させるべきものと考えます。

 

 このほか、新経済成長戦略の「ITによる生産性の向上」(68ペ-ジ)には、内閣知財戦略本部「知的創造サイクルに関する重点化だの推進方策案」の「登録調査機関のサテライトオフィス等の導入の検討を含め(後略)」とあるように、知財の創造・活用におけるITシステムの利用をも強調し、地域対策・知財人材活用に資することを要望申しあげます。

 また、新経済成長戦略の「地域活性化戦略」(78ペ-ジ以下)の「地域分布」には、コンテンツ産業に言及されていませんが、アニメ原画製作は東京都の特定区に集中している等の現象が見られるのに対して、北海道経済産業局では、北海道の地域特性にかがみ道内にコンテンツビジネスの拠点を企画されている由で、スキーの国際地化と並行してコンテンツ(デジタルコンテンツ・アナログコンテンツ・ライブコンテンツおよびそれらの互換)製作拠点たる意欲が新経済成長戦略によって支持されることを要望申しあげます。

 コンテンツについては、新経済成長戦略の87ペ-ジに、「観光では、伝統的な民俗・生活文化等のコンテンツ」と記述していますが、知的創造サイクル重点課題の「遺伝資源や伝統的知識、フォ-クロア等の利用」(30ペ-ジ。十和田湖畔・八甲田遺伝資源保存林など)の表現と平仄を揃えていただきたいと考えます。

 新経済成長戦略89ペ-ジ以下に「地域ブランド」と「コミュニティ・ビジネス」が強調されましたが、地域資源を活かした取組として例示された

札幌市

の㈱ロイズコンフェクトの生チョコ「オ-レ」や「グランマルニエ」に、グロ-バルなブランド権を確保する記述が望まれます。

 

 また、新経済成長戦略96ペ-ジの「専門的リタイアメント層の地方活用の例示が、医療等に止まっていますが、知財を加えることを要望申しあげます。

 新経済成長戦略104ペ-ジ以下の「サ-ビス産業の革新」には、ビジネスモデル、サ-ビスのモジュ-ル化、電子商取引の拡大等が掲げられ、「コンテンツの振興」には、著作権処理、コンテンツ配信の新ビジネスモデル、検索ポ-タルサイト等が掲げられていますが、知財推進計画06と一致するものであることを要望申しあげます。

 新経済成長戦略124ペ-ジの「人材派遣」、「実務教育」については、知財等の専権業務との関係や、知的財産権出願実務教育についても、明示されるよう、要望申しあげます。

 新経済成長戦略126ペ-ジの「電子タグやコンテナの国際標準化」については、知的財産権との関連を指摘されたいと考えます。

 新経済成長戦略135ペ-ジ以下の「横断的政策」には、「文理融合型人材の育成」を掲げられたい。

 新経済成長戦略166ペ-ジ以下の「金融のフロンティア拡大」には、「知財対象金融」を特掲されたい。

 新経済成長戦略170ペ-ジの「アジア資金流通の活性化」には、「その基盤としての知財保護の共通認識」を特掲されたい。

 新経済成長戦略180ペ-ジには、「ワザ・技術のイノベ-ション」の項に、括弧書きで「知的財産権を含む」とありますが、188ペ-ジに至って、「知的財産に対する対応の弱さ」の節があり、民間企業における知財人材不足が図示されていますが、知財推進計画06との整合が望まれます。

 新経済成長戦略190ペ-ジの「基準認証に対する対応の弱さ」につおいては、知財推進計画06に、国際標準化と関係づけて同様の記述を要望申しあげます。

 

 新経済成長戦略196ペ-ジ殻202ペ-ジに至る「知財政策」の記述は、知財推進計画05および知財推進計画06原案の要約と見られますが、新経済成長戦略の全面に知的財産戦略が遍在記述されることが望まれます。冒頭にのべました「知財駆け込み寺」の記述も、よく読むと、前後齟齬があるようです。

2006年4月 4日 (火)

本人出願

個人発明のケ-ススタディ-(2)

 弁理士 佐成 重範(さなり しげのり)patent@sanari.name

個人発明家は経費節減のため先ず、本人出願を考えるが、特許収入を目論む場合は、数回の本人出願の試みを断念し、「出願文書が不必要に非国語的スタイルで非容易な用語を用いる」などの非難をしつつ、代理出願に依存する場合も多いようである。

例示特許の【請求項1】は次のように記述されている(図面番号省略)。

「ヘルメット本体と、該ヘルメット本体の前面側に取り付けられたシ-ルドと、前記ヘルメット本体の前面側に取り付けられたワイパ-モ-タ-部と、一端が前記ワイパ-モ-タ-部に取り付けられたワイパ-ア-ムと、前記シ-ルドの上端付近で一端が前記ワイパ-ア-ムの他端に取り付けられたかつ前記シ-ルドの払拭面を払拭するためのワイパ-ブレ-ドと、を具備することを特徴とする、ワイパ-付きヘルメット」

この記述(句読点は原文通り)が、この発明の新規性・進歩性(非容易想到性)・産業上利用可能性具備の判断要件を充たすとされていることとなるが、「二輪車に付属するモ-タ-で動くワイパ-装置を取り付けたヘルメット」という記述では特許付与できないのか(特許庁の指導が付加された上で)、他の個人発明家は疑問に思うかも知れない。

2006年4月 3日 (月)

個人発明の検討

個人発明のケ-ススタディ-(1)

 弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

 米国では、ガレ-ジを研究所として発足した孤独な個人発明家の超成功振りが、個人発明家団体の盛況をもたらし出願手数料無料化圧力として、米国特許法改正案審議に圧力を加える程の勢力になっているが(「イノベ-トアメリカ報告は、孤独な発明家から組織の発明への移行を強調」、わが国では、中小企業が大企業から知財を収奪されるなどの被害を訴える声は強いものの、個人が知財によって富豪になった例を殆ど聞かない。

そこで最近(2006-04-02)、朝日新聞が「休眠特許」として紹介した「発明の名称:ワイパ-付きヘルメット:公開番号:特開2005-256251,公開日:平成17年9月22日」の例によって、個人発明の事情を検討してみる。

発明者IZさん(女性会社員)は、兄が雨中バイク通勤の途上、ヘルメットの水滴が視界を遮る危険を避けて無帽運転したため追突・即死したことから、二輪車が駆動する発電機を電源として、ヘルメット面にワイパ-を作動させる発明を創出した。公報の【要約】の【課題】は、「コンパクトであるとともに運転者の視界を良好に保つことができるワイパ-付きヘルメットを提供する」ことである。要するにこの発明は、「二輪車のバッテリ-を電源として、ヘルメットに取り付けたワイパ-を動かすヘルメット」というに尽きるようであるが、この発明のコストと無収益の現況(上記新聞による)について考察しよう。

2006年4月 2日 (日)

創作権・識別子権・中間権の類別

創作権・識別子権・中間権

 弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

 特許権と著作権を創作権として共通の制度原則を適用し、商号・商標・ドメインネ-ム等のブランド表示権を識別子権として共通の制度原則を適用すべきであるという提案がある。プログラム特許とプログラム著作権、職務発明の発明者帰属と職務著作の企業帰属等、内部撞着をもたらし易い不整合を整除するためである。さらに、創作権と識別子権の中間に位置する意匠権については、類比判断の手法と基準が必ずしも明確ではなく、判断主体を一般需要者とする提案があるが、特許の「当業者」に当たる「看者」概念と内部撞着するおそれがある。

2006年4月 1日 (土)

サイバ-スペ-スの閉鎖社会性と開放社会性

知財制度の内部撞着解決の明るい動向:

 弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

これらの内部撞着を円滑に解決してゆく試みが、民間において始動しつつある明るい局面にも注目する。例えば、音楽の無料ダウンロ-ドを「情報の収集」として積極的に促進し、「作品の選択・購入」をもたらす合理的なプロセスとして構築する考え方である。そもそもサイバ-スペ-スは、閉鎖社会性(学術研究機関・軍事)の活用から発足して、開放社会性を急速に発展させ、両者並存(特定当事者間ホットラインと放送的一般開放)の便益と内部撞着が同時発生している。

また医薬研究のリサ-チツ-ル特許の保護と活用の内部撞着(特許が産業の発達を妨げる)について、日本製薬工業協会は、「リサ-チツ-ル特許のライセンスに関するガイドライン」を提言した(2006-01-16)。全ての分野の発展をもたらすべく、知財制度の内部撞着の巧みな解決を、共に企画したい。

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