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2006年3月31日 (金)

知財制度の外部撞着と内部撞着

弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

 知財制度の外部撞着と内部撞着

 独占権を本質とする知財権の強化と、経済社会における独占の弊害の除去を両立させてゆくことに伴う外的撞着に加えて、知財権の強化を意図する知財制度の内部においても、多様な内部撞着(大企業の知財戦略が中小企業の知財を奪う、産学連携の大学と企業のライセンス利益が対立するなど)が見られ、かつ、内外の撞着が絡み合う局面(社会的知財の独占権抑制における企業間利益の対立、すなわち、抑制を求める企業と独占権により利得する企業の相克)も見られる。

さらに、経済のグロ-バル化(知財権付帯物資の流通・インタ-ネット取引)、社会生活のグロ-バル化(病因・医薬の伝播)、文化のグロ-バル化(異質文化の越境拡散・Wikiedia Encyclopediaのようなネット百科事典の発達にに伴う国際文化に関連する国際知財制度)は、知財の日進による新種の外部・内部の撞着を孕んでいる。わが国内においても、Social Networking Service(書込み自由なパソコン掲示板等)や新規File Exchange Systemの普及が極めて迅速に社会全般・各年齢層に浸透しつつあり、デジタル社会の政治・経済・社会・文化の進展を左右する技術基盤となってゆくので、これらに関連する知財制度の外部・内部撞着への対処が、重要な課題として次々と顕在化することが予想される。

2006年3月28日 (火)

社会的知的財産権の独占性対策

弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

 知財創造の対価として独占利益を付与するという知財制度の根幹が、様々な局面で、知財の共用財化(内外企業グル-プでの共用、コンテンツ普及等)、公共財化(人類全体の福祉への寄与等)の実効発揮と拮抗しつつあ。拮抗現象は多様であるが、例えば次の例のような典型的事例に即して、内閣の「推進方策2006対策を明示されることを要望する(内閣知財戦略本部あて送信済)

1.    推進方策に示された「研究における他者の特許発明の使用を円滑化する」(リサ-チツ-ル問題の解決)、「強く広い特許群取得のためのプロジェクト型協同研究を推進する」(その成果の共用についても述べられたい)、「特許発明のライセンスを促進する」(共有特許のライセンスにおける共有者同意の不要化)、「標準化に関するル-ルを整備する(国際電気通信機構のパテントポリシ-による必須特許の実施許諾宣明等)」、「中小企業の知財駆け込み寺を整備する」(大企業に共用させる結果としての権利被奪取の奪還)、「知財権行使がイノベ-ションを阻害する場合に対応する」(ソフトウェア間相互運用性の確保を特許権が阻害する場合への対処)の諸項目は、共用・公共用利用に伴う企業間利害の拮抗を内臓し、対策の不整合を示しているから、同一範疇の項目として、知的財産推進計画2006に別掲ないし再掲して強調されることを要望する

2. 特に「共用」については、企業は特許権と共にノウハウ等を戦略的に結合しますから、企業の知財セキュリティと知財共用の両全が課題となり、また、系列中小企業を含む大企業の知財戦略が当該中小企業の全知財を自社の排他的権利として収納することを指向するのに対して、当該中小企業はこれを「収奪」と考えます。旧職務発明の強行規定のように、「発明中小企業に帰属」を法定するなどの提案がなされることを望

3. 企業間でも、国内外の大企業と知財連携することが必要で、特許の共用と秘匿知財セキュリティの両全、すなわち、「友愛と警戒」の並存状況に適する制度・政策の検討を盛り込まれたい。

4.  国際標準化政策は、国家政策と多国籍企業戦略が拮抗する局面であり、「先ず国内標準化を達成し、国際標準化を勝ち取る」という公式は、建前たるに過ぎないと考え。国内外にわたる複数の企業連合がグロ-バル市場の制覇をディファクトに競い、単数制覇ならば単一国際標準化となるが、複数制覇ならば、第3世代移動通信のITU国際標準化におけるファミリ-コンセプトのように、事後に体裁を整える結果となるので、あくまで、現実に即した方策を盛り込まれることを要望する

2006年3月27日 (月)

デジタルコンテンツの内部撞着

弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

      著作権の保護確立と流通促進の両立に係る内部撞着

   デジタルコンテンツの振興が知財推進計画05の大テ-マとされたのは、他の知財と異なるグロ-バル文化財として日本ブランドを高揚する意義を併有するからである。デジタルコンテンツ振興の要は「非デジタルコンテンツ(ライブコンテンツ・アナログコンテンツ)のデジタルコンバ-トとデジタルコンテンツの原始創作」、および、「それらのデジタル流通の促進」である。特にわが国デジタルコンテンツのわが国コンテンツ市場に占める比重が2005年の約27%(3.5兆円/13.1兆円:内閣知財戦略本部資料)から、2010年には45%(7.4兆円/16.5兆円)と見込まれ、原著作権のデジタルコンテンツ化とそのデジタルメディア流通の革新(デジタル通信・放送技術の開発と融合)には、消費者の利便と声援に支持されて、新たな特許権とその活用が続出するから、標記の課題の解決は極めて緊要である。

2006年3月25日 (土)

弁護士と弁理士

弁理士 佐成 重範

士業間の職域については、色々論議がありますが、日本弁護士連合会から内閣知財戦略本部に提出された意見のうち、弁理士に関するものについて、小生の意見を下記のように、内閣知財戦略本部・法務省および特許庁に送信しました。法務省には写しを送信しました。

         記

「日本弁護士連合会の弁理士論」についての要望

2006-03-25        弁理士 佐成 重範

 日本弁護士連合会の「知的財産基本法の施行状況に対する意見書」(2006-01-18)には、次の通りの記述が見られます。

「従前から当連合会が主張しているとおり、付記弁理士に対する単独代理権の付与は、その必要性が認められない。」

 「知財関連訴訟の円滑な実施は、異なる役割を有する弁護士と弁理士が、連携・協力することによって実現されるのであるが、付記弁理士への単独代理権の付与はこれに逆行するものであり、到底認められない。」

 小生は、この日本弁護士連合会意見について、下記の疑問を持ちますので、内閣知財戦略本部におけるご検討を要望申しあげます。

1.「(弁理士の単独代理権の付与は)その必要性が認められない」という日本弁護士連合会意見ですが、必要性の有無を認める主体としては、先ず知財訴訟の当事者、次いで、行政・司法・立法の諸機構(関係審議会を含む)が考えられます。

1-1 訴訟は、本人訴訟が基本形で(地裁までの訴訟では、現に事件の6割以上が本人訴訟)、知財訴訟についても、当事者が自己の便益(費用および主張伝達の軽易)のために、単数受任者による訴訟の遂行を選ぶ場合、訴訟の内容に応じて、訴訟手続の専門家と技術内容の専門家とのいずれを選ぶかを、訴訟当事者が選択できるとすることは、知財・司法の両改革の趣旨上、適切と考えます。すなわち、訴訟当事者・三権機構(次項)にとって、単独代理権は「必要」と考えます。

1-2 現在漸次進行中の司法制度改革の起点である司法制度改革審議会意見書(2001-06)の「知的財産権関係事件への総合的な対応強化」の章は、「弁理士の特許権等の侵害訴訟代理権については、信頼性の高い能力担保措置を講じた上で、これを付与すべきである。」と定め、この章においては単独代理権行使への制限を付していません。この章の後に、「隣接法律専門職種の活用等」の章がおかれ、これに基づいて、認定司法書士の簡裁訴訟単独代理権の法定や弁護士法第72条但書の改正(他の法律に基づく弁護士専権の排除)が実現しましたが、同審議会会長等が「司法制度改革」(有斐閣)(286ペ-ジ)に述べておられるように、士業全般について、訴訟代理等の司法関与に対する制約の緩和を前進させることが、司法ユ-ザ-の便益に適すると認められていると考えます。この方向性に従うことは、日本弁護士連合会がいわれる「逆行」ではなく、「順行」であると考えます。

2.「知財関連訴訟の円滑な実施は、異なる役割を有する弁護士と弁理士が、連携・協力することによって実現される」との日本弁護士連合会意見は、「役割」のうちに「訴訟業務」を含めておられるとすれば、精確でないと考えます。弁理士の訴訟業務は現に法定されています。また、ユ-ザ-の訴訟費用負担能力がある場合に、複数委任により弁護士・弁理士の連携・協力がなされることは望ましいと考えますが、連携・協力のための規定の仕方として、弁理士について「弁護士が受任している事件に限る」のであれば、弁護士についても「弁理士が受任している事件に限る」と定めて連携・協力の均衡を確保するべきであると考えます。すなわち、「連携・協力」が対等になされて「異なる知見」の相乗効果が発揮されることを期すべきであると考えます。(例えば、「簡裁訴訟の円滑な実施は、異なる役割を有する弁護士と司法書士が、連携・協力することによってこそ実現されるのであるが、認定司法書士への単独代理権の付与はこれに逆行するものであった」とは、勿論、日本弁護士連合会意見にもいわれていません)。

 なお、ユ-ザ-が単数委任を便益に適するとする場合については、「弁理士が単独代理するときは、弁護士を補佐人となし得る」とすることにより、「連携・協力」を全うする制度をも付加することが適切であると考えます。(以上)

 

2006年3月24日 (金)

デジタルコンテンツにおける拮抗

弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

内閣知財戦略本部に次のように要望した。

デジタルコンテンツの創造と活用に関して、著作権保護とその流通関連発明活用の利害撞着の調整、例えば、「著作権を許可権から報酬請求権に変革すべきである」というA弁護士のパブコメ(対内閣知財戦略本部)を、知財推進計画06にどの程度盛り込めるか、関心が持たれ。著作権と特許権を併せて「創造権」として把握する考え方に当て嵌めれば、特許の強制実施権のグロ-バルな容認(タミフル等の例)による実質的な「創造権を、許可権から実施料請求権に変革する」制度・政策革新が想定されが、このような基本的事項の、少なくとも「検討」が盛り込まれることを、要望する

  特に内閣知財戦略本部のデジタルコンテンツWGへのパブコメには、下記要約のような激しい意見が見られが、関係当事者間の感情的齟齬を防止するためにも、「検討」を早めることが望まれ。以下パブコメの例。

 「わが国のデジタルコンテンツの発展を妨げる抵抗勢力は、著作利権ビジネスである。」

JASRAC(音楽著作権管理信託機構)の、非商用的利用に対しても高額な著作権料を要求する管理の実態が、デジタルコンテンツの普及を妨げている。」

「米国のフェアユ-スやクリエイティブコモンズの考え方を、わが国の中間著作利権者は理解できない。」

「ユ-ザ-大国を目指すとしているのに、エンドユ-ザ-の利便性を考慮しないコンテンツホルダ-の方策により、内外の市場の展望が見えない。」

 「電子書籍にも再販制度的在り方が残存し、普及を妨げている。」

「中古ゲ-ムソフト売買の合法性について、司法判断が尊重されていない。」

 「放送とIPの融合が携帯電話システムに及ぼす影響について、方策が樹立されていない。」

2006年3月22日 (水)

特許制度論争の深刻化

弁理士 佐成 重範 patent@sanari.name

1.            特許制度の本質に係る内部撞着

2-1       発明着想保護・発明実施化保護・出願公開保護の内部撞着

プロパテントの掛け声と共に特許出願が著増したが、特許庁作成に基づく内閣知財戦略本部検討資料「日本企業の出願行動による世界への技術流出」(秘密保護と出願・知財ポ-トフォリオのあり方)によれば、日本企業が日本に出願する特許数は年間約36万件に達しているが、うち、審査請求もせず取下げとなるものが約16万件、審査請求するが拒絶されるもの約9万件、特許されるが外国には出願しないもの約8万件で、特許され、かつ外国でも特許されるものは約1万件に過ぎないが、世界市場で保護されるのは、この約1万件のみで、出願公開により毎年約30企業万件以上の技術が全世界に無償提供されている。その対策として、特許法第79条を次のように改正する提案が内閣知財戦略本部で発言されている。

「特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又はその者から知得して、特許出願の際現に日本国内においてその発明を完成させていた者又はその発明の承継者は、その発明の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。」

 現行第79条に先使用権に対し、この改正案による「先発明自己実施権」は発明の事実を要件とするが、発明の実施を要件とする先使用権に比し、立証が容易であると提案者は説明している(上記資料)。

2006年3月21日 (火)

知財制度の内部撞着

弁理士 佐成 重範(patent@sanari.name)

知的財産基本法(平成15年3月1日施行)には、施行後3年以内に、施行状況に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を構ずるべきことが定められており(付則第2条)、平成17年までの第1期における知財制度整備の実効を、平成18年度から3年間の第2期に、いかに発揮できるかに、同基本法自体の評価が係っている。

同法に基づく「知財推進計画2006」が述べているように、特許法等の改正、知財高裁の設置など、関係法制の整備は数多くなされたが、職務発明の帰属、先使用権の強化、審査請求制度の改廃、著作物流通制度の改正、弁理士法の見直し等、制度整備のための多くの重要課題の解決が、第2期に繰越しまたは予定されていることと併せて、知財の創造・保護・活用の進展に伴う知財権利者間・知財権利者とユ-ザ-間・知財権と公益間等の相克・矛盾・背反など、知財制度の内部撞着現象は、却って急速に顕在化している。

すでに平成17年の「内閣知財戦略本部・権利保護基盤強化専門委員会」の諸委員発言にも、同本部自体の内部撞着を顕す応酬が多く見られる。例えば、

1-1 「特許庁は、新しい技術概念に早く広く権利を付与すべきである」との発言に対し、「広い権利を与えると、イノベ-ションを阻害する分野があることも事実である」という発言

1-2 「一部継続出願制度の導入・国内優先制度の優先期間の延長・審査手続書類閲覧無料化等、出願人の便益を増進すべきである」との発言に対し、「これらを主張すると、審査迅速化を阻害する惧れがある」という発言

1-3 「審査請求制度を廃止すべきである」との発言に対し、「特許出願に対し審査する制度を前提とする以上、審査請求制度は避けられない」という発言

1-4 「技術流出抑制のため、先使用権の要件を変更すべきである」との発言に対し、「発明をしただけで先使用権を与えることには、その濫用の弊害もある」という発言

 などのほか、知的財産権の種別ごとに、また種別相互の関連について多岐にわたり、知的財産権の一つの目的を達成しようとすれば他の目的を損なうという内部撞着(矛盾・内部拮抗)の現象を推認させる委員間の発言が見られた。

 内閣知財戦略本部の外部においても、例えばデジタルコンテンツの流通促進と著作権保護の相克をめぐって、内閣IT革新本部・文化審議会・デジタルコンテンツ流通業界等の知財制度論には内部撞着を露呈しつつあるものが多く見受けられ、対立が先鋭化する局面すら見られる。

2006年3月13日 (月)

IP POLICY JAPAN 2006

 2006-03-13 弁理士 佐成 重範

内閣知財戦略本部が、知的財産推進計画2006への意見を公募していますので、弁理士(個人)意見を同本部に送信いたしました。ご参考までに、同文を下記します。知財人材協議会創設の内閣本部案、過疎地域対策の弁護士対比、デジタルコンテンツ流通の阻害事項等に重点を置きました。

         記

知的財産推進計画2006に盛り込むべき政策事項」についての意見

意見:

 Ⅰ 「全国知財専門人材による総合的知財推進インフラを構築する。」を盛り込まれたい。

 Ⅱ 「知財制度と知財政策の各内部および相互の不整合化を解消する。」を盛り込まれたい。

理由:

 「人材の質的量的不足の急速な解消が困難であること」、および、「現行体制では、創造の独占利益確保と、活用の迅速性普遍性確保の両立が困難である場合も多いこと」の二つの脆弱点を補綴するため、「人材融合体制」、および、「不整合解消対策」の緊急樹立が必要と考えます。

 すなわち、 知財戦略の制度整備が進捗した第1期を受けて、その実効性確保が第2期の主眼になると考えますが、現在の推進体制に内在する上記脆弱点への対策として、「各専門職種が相互に機能を補完し合って、量的不足と分布の偏在を補綴する総合的人材インフラを構築すること」、および、「知財権の独占利益確保と知財の共用財化・公共財化の急進に伴う制度と政策の不整合化に対処すること」を目的とする上記2事項を盛り込み、知財サイクル拡大の実効を挙げる基盤を強固にしていただきたいと存じます。

先ず、意見Ⅰについて:

1-1 知的財産基本法は、国際競争力の強化を目的に掲げて制定されましたが、例えば米国では、わが国の20倍に達する弁護士人口が、司法修習生の過程なく全米に形成され、知財弁護士の母体となっていること、弁護士は原則として商標出願代理士たり得るので、わが国弁理士の構成と制度を異にすること、弁護士は特許代理士資格を得ることにより特許弁護士となり得ることなど、資格取得のコスト面や職域画定面での相違があると考えますが、米国型への接近を可としているのか否かは、ほとんど示されていません。例えば、特許庁の年次報告のように、わが国弁理士と米国特許代理士を同一職務として対比すれば、既に両者同数ですが、現在のわが国弁理士の職務法制からの評価と、収入構成からの評価とでは、員数対比の数値が著しく異なり、対比の基礎を欠きます(詳述するとゴタつくので省略)。

   従って、各種知財人材の機能を効率的に総合して、わが国人材全体としての強固な国際競争力を発揮することが、実際上、急務と考えます。

1-2 すなわち、わが国の知財専門人材12万人計画の達成には長期間を要するとされていますから、知財各職種のネットワ-クをさらにネットワ-ク化して、知財人材インフラの総合的な機能が発揮されること。および、インフラ端末の全国分布により、「専門業務の画定と融合の両立」、「中央インフラと地方インフラの均衡」を達成することが、現時点での実際的な対応と考えます。知財インフラ構想の立案・運営本部としては、創設予定の「知財人材育成推進協議会」(総合戦略14ペ-ジ)を、「知財人材育成活用協議会」に拡充し、これに当たらせることが適当と考えます。

1-3 既に知的財産推進計画2006の骨子を示した「知的創造サイクルに関する重点課題の推進方策」(2006-01-30::内閣知的財産戦略本部:以下「推進方策」)は、「知的財人材育成総合戦略」(2006-01-30:内閣知的財産戦略本部:以下「人材総合戦略」)の確実な実施を強調していますが、「総合戦略」の意義は、多様な専門分野の知財専門人材の質的量的増強と共に、知財専門人材の総合力を発揮させるべく、知財インフラとして組織的に機能を果たしてゆくことが期されているものと考えます。換言すれば、各種知財人材漸増の「相乗効果」が、知財人材の活動の融合と連携により発揮されることが、国際競争力の迅速な強化のため必須とされたと考えます。

   ひるがえって、「弁理士の、国費負担による登録前研修を制度化すること」(2005-12-21:日本弁理士会総会決議)は、弁護士との均衡上(司法修習生の給与を含む全額国費負担)からも妥当と考えられますが、早急には間に合わず、従って、公益に適する専権を維持しつつ、資格標榜業務については各分野・各職域の知財専門人材が機能を融合して人材インフラを構成することが適切と考えます。

1-4 具体的要望として、知的財産推進計画2006に、「知財人材育成活用協議会を創設し、多種多様な職域の知財人材が全国にわたり連携して知的財産推進計画2006の実施に当たる。」を加えること、すなわち、(総合戦略第2節②を増強して、知的財産推進計画2006の特記項目とすることを要望します。

1-5 さらに、「前項の協議会は全国協議会と地方協議会をもって構成し、構成メンバ-に、総合戦略第2節②1に掲げる団体のほか、知財信託会、税理士会、司法書士会、行政書士会、商工会議所、商工会の各全国および地方組織を含むものとする。」を加えることを要望します。(司法書士は、知財訴訟書類の作成代行権、認定司法書士は簡裁訴訟の単独訴訟代理権を有します。行政書士は、地域ブランドの前提である協同組合等の設立手続やコンテンツ創造の物的施設建設等に関与します。税理士は、相続税等、課税対象知財の定額価値評価を行います。商工会議所約500と商工会約3000は、国費半額補助の経営改善普及員約7000人を全国に分布させています。これらが全国知財人材ネットワ-クを構成して、実質的に融合人材のインフラ機能を遂行することが望まれま    

なお、「特許審査迅速化・効率化のための行動計画」(2006-01-17:経産省・特許庁)は、「全国の商工会に知財駆込み寺を設置し、中小企業の出願等を具体的に支援する」とし、18年度から実施すると明記しています。

1-5 推進方策(27ペ-ジ)の「弁理士の地方展開を促す。弁護士過疎地に弁護士常駐型の公設事務所を設置する日本弁護士連合会の取組にならい、日本弁理士会による弁理士の地方開業を支援する制度の構築を促す」という案は、弁護士業務の一般的普遍性に基づく業務機会の遍在(金融取立等)に対し、弁理士業務の極めて多分岐化する高度先端専門分化の趨勢が、顕著な相違を示し、特定少数弁理士の常駐では地域の需要に即応し得ないことなど、弁護士と弁理士の業務の本質の相違を看過しているので、直ちには同意を表明し難いと考えます。推進方策の原案を活かすとすれば、「日本弁理士会が構築しつつある地方組織の展開を促すと共に、弁理士が知財人材インフラ協議会の中核として、多種多様な人材群との連携により、過疎地の需要に即応するよう促す。」とされることを要望します。

   なお、弁護士過疎対策の「公設事務所」とは、全国101の弁護士過疎地域のうち、46の「ゼロワン地域」を優先対象として、弁護士の現地開業を促し、弁護士会がこれらに、開設費補助のほか、運営費として年間各1000万円~2000万円以内を援助するとしているものですが、弁護士業務対象の遍在と弁理士業務対象の偏在等、両士業成立の基盤は著しく様相を異にします。

1-6 推進方策(26ペ-ジ)の「中小企業・ベンチャ-の一般的な相談先である中小企業診断士、商工会議所職員等に対し知的財産の啓発を行うことにより、知的財産の問題を認識していない相談者についても、知的財産に関するアドバイスが可能な体制の整備を促す」ことは、弁理士の相談業務の地方浸透を補完する意味で極めて適切と考えます。商工会議所の5倍以上の数をもつ商工会(商工会法)を例示に加えると共に、知財人材インフラにおいて弁理士が、上記職員の専門的指導に当たる体制を確立すべきであると考えます。

次に、意見Ⅱについて:

 知財創造の対価として独占利益を付与するという知財制度の根幹が、様々な局面で、知財の共用財化(内外企業グル-プでの共用、コンテンツ普及等)、公共財化(人類全体の福祉への寄与等)の実効発揮と拮抗しつつあります。拮抗現象は多様ですが、例えば次の例のような典型的事例に即して、「推進方策」が対策を明示されることを要望いたします。

2-1        推進方策に示された「研究における他者の特許発明の使用を円滑化する」(リサ-チツ-ル問題の解決)、「強く広い特許群取得のためのプロジェクト型協同研究を推進する」(その成果の共用についても述べられたい)、「特許発明のライセンスを促進する」(共有特許のライセンスにおける共有者同意の不要化)、「標準化に関するル-ルを整備する(国際電気通信機構のパテントポリシ-による必須特許の実施許諾宣明等)」、「中小企業の知財駆け込み寺を整備する」(大企業に共用させる結果としての権利被奪取の奪還)、「知財権行使がイノベ-ションを阻害する場合に対応する」(ソフトウェア間相互運用性の確保を特許権が阻害する場合への対処)の諸項目は、共用・公共用利用に伴う企業間利害の拮抗を内臓し、対策の不整合を示していますから、同一範疇の項目として、知的財産推進計画2006に別掲ないし再掲して強調されることを要望します。

2-2  特に「共用」については、企業は特許権と共にノウハウ等を戦略的に結合しますから、企業の知財セキュリティと知財共用の両全が課題となり、また、系列中小企業を含む大企業の知財戦略が当該中小企業の全知財を自社の排他的権利として収納することを指向するのに対して、当該中小企業はこれを「収奪」と考えます。旧職務発明の強行規定のように、「発明中小企業に帰属」を法定するなどの提案がなされることを望みます。

2-3 大企業間でも、国内外の大企業と知財連携することが必要で、特許の共用と秘匿知財セキュリティの両全、すなわち、「友愛と猜疑」の並存状況に適する制度・政策の検討を盛り込まれたい。

2-4 国際標準化政策は、国家政策と多国籍企業戦略が拮抗する局面であり、「先ず国内標準化を達成し、国際標準化を勝ち取る」という公式は、建前たるに過ぎないと考えます。国内外にわたる複数の企業連合がグロ-バル市場の制覇をディファクトに競い、単数制覇ならば単一国際標準化となるが、複数制覇ならば、第3世代移動通信のITU国際標準化におけるファミリ-コンセプトのように、事後に体裁を整える結果となるので、あくまで、現実に即した方策を盛り込まれることを要望します。

2-5 別の局面であるデジタルコンテンツの創造と活用に関して、著作権保護とその流通関連発明活用の利害撞着の調整、例えば、「著作権を許可権から報酬請求権に変革する」という弁護士(個人)パブコメを、どの程度盛り込めるか、関心が持たれます。著作権と特許権を併せて「創造権」として把握する考え方に当て嵌めれば、特許の強制実施権のグロ-バルな容認(タミフル等の例)による実質的な「創造権を、許可権から実施料請求権に変革する」制度・政策革新が想定されますが、このような基本的事項の、少なくとも「検討」が盛り込まれることを、要望いたします。

  特にデジタルコンテンツWGへのパブコメには、下記要約のような激しい意見が見られますが、関係当事者間の感情的齟齬を防止するためにも、「検討」を早めることが望まれます。以下パブコメの例。

2-5-1 「わが国のデジタルコンテンツの発展を妨げる抵抗勢力は、著作利権ビジネスである。」

2-5-2 「JASRAC(音楽著作権管理信託機構)の、非商用的利用に対しても高額な著作権料を要求する管理の実態が、デジタルコンテンツの普及を妨げている。」

2-5-3 「米国のフェアユ-スやクリエイティブコモンズの考え方を、わが国の中間著作利権者は理解できない。」

2-5-4 「ユ-ザ-大国を目指すとしているのに、エンドユ-ザ-の利便性を考慮しないコンテンツホルダ-の方策により、内外の市場の展望が見えない。」

2-5-5 「電子書籍にも再販制度的在り方が残存し、普及を妨げている。」

2-5-6 「中古ゲ-ムソフト売買の合法性について、司法判断が尊重されていない。」

2-5-7 「放送とIPの融合が携帯電話システムに及ぼす影響について、方策が樹立されていない。」

  上記例示のように、知財制度および方策の内外に顕在化しつつある撞着を明認し、これらを解決する段取りを盛り込まれるよう、要望申しあげます。(以上)

2006年3月 6日 (月)

弁理士制度改正

弁理士制度(弁理士法改正)に対する意見(2006-03-06)(対特許庁送信済):    弁理士 佐成 重範(さなり しげのり)

お示しの現行弁理士法条文のうち「総則」について、意見を述べたいと存じます。内容は、「弁理士法の目的の拡充」、「訴訟書類作成の代行業務の追加」、「単独訴訟代理認容の原則と例外の入れ替え」、および、「弁護士の弁理士登録資格の改正」の4項目です。

 (1)「第1章 総則」について: 

(1)-1 第1条の「工業所有権の」以下を、「知的財産権の創造、保護及び活用の適正な促進等に寄与し、もって経済社会の発展及び文化の創造と普及に資することを目的とする。」に改めることが適切と考えます。

(理由)

(1)-1-1 弁理士の資格標榜業務が知的財産権全般に及んだことに対応して、「工業所有権」を「知的財産権」に改めることが適切考えます。

(1)-1-2 知的財基本法(以下{基本法})の目的規定および自民党新憲法案(2005-10-12:以下「新憲法案」)前文並びに第29条の知的財産権に係る「特に留意する」規定案(国民の知的創造力の向上及び活力ある社会の実現)の文言に整合させる。

例えば、現行弁理士法の「経済及び産業」は、基本法と同様に「経済」で一括する。基本法と新憲法案の「公共の福祉」は、「社会の発展」に含めることが適切と考えます。

(1)-1-3 新憲法案前文には文化の「創造」とのみ定めているが、「普及」を加え、例えば、デジタルコンテンツの流通(基本法第2条の「事業活動」)に係る著作権と特許権の調整のような、知的財産制度革新(排他的独占権・許可権から、使用対価請求権への接近等)の根幹に係る業務をも含める必要があります。

(1)-2 第4条第2項に、「三 他人の嘱託を受けて、裁判所、検察庁又は法務局若しくは地方法務局に提出する書類を作成すること」を加えることが必要です。

(理由)

 平成15年弁護士法改正により、弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱等の禁止)但書が改正され、「但し、別の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と定められましたので、弁理士が訴訟代理できない現行法の場合においても、訴訟書類を受託作成することにより、知的財産訴訟手続等の迅速化・円滑化・適正化(専門知識の発揮)に寄与できることとなります。

(1)-3 第6条の二第1項から、「弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り」を削除し、同項の但書として、「但し、裁判所が必要と認めるときは、弁護士が同一の依頼者から受任している場合に限る。」を加え、これに伴い、第2項の「前項」を「前項但書」に改め、第3項を削除することが適切考えます。

(理由)訴訟代理委託者の便益上は、知財単独訴訟代理権が認められるべきところ(認定司法書士の簡裁単独訴訟代理権と同様),「実績の推移等を見て」検討することとされて現在に至りました。従って、司法制度改革の方向性(隣接法律専門家の業務範囲拡充):司法審議会答申)に従い、かつ、知財推進計画05の「単独受任等の検討を含めた弁理士の積極的活用」(120ペ-ジ)に即応して、「単独受任を原則、弁護士受任従属を例外」に改め(原則・例外の反転)、「知財司法制度の漸進」を実現すべきであると考えます。

(1)-4 第7条の二は、削除することが適切考えます。

(理由)弁護士となる資格を有する者の数は、米国の弁護士数百万人との対比(知財推進計画05の153ペ-ジ)からも、著増が望まれますが、知的財産に関する知識・技術の担保がなく、無条件に弁理士登録資格を認める現行法は、質の向上に適しません。米国の弁護士(Law Attorney)が、弁護士資格に加えて特許出願士(Patent Agent)資格(出願代理資格)を取得することにより、始めて特許弁護士(Patent Attorney)資格を有し得ること等に対比しても、著しく国際的均衡を失しており、改めるべきであると考えます。(以上)

2006年3月 3日 (金)

PATENT POLICY

18年度中小企業対策予算案の新規事項についての要望(対・内閣知的財産戦略本部送信済  2005-12-28  弁理士  佐成 重範

標記予算案の閣議決定(2005-12-24)に伴い、下記事項の知財推進計画06における強調を要望申しあげます。

1.        中小企業の「ものづくり」基盤技術の高度化に関する法律(仮称)を速やかに制定・施行すること

2.        戦略的基盤技術高度化支援事業(新規予算64億円)について、川下産業のニ-ズを反映した基盤技術の高度化戦略を技術別に策定し、革新的かつハイリスクな研究開発や生産プロセスのイノベ-ションを実現する研究開発を支援するに際し、知財戦略を中核とすべきこと

3.        川上・川下間のネットワ-クの構築支援事業(新規予算2億円)について、基盤技術を担う川上中小企業と、燃料電池や情報家電等の川下産業とのコミュニケ-ションを通じ、「川上中小企業が行う技術開発の不確実性の低減」を図るため、川上・川下間の連携をコ-ディネ-トする知財人材の配置や、配置された知財人材が両者の情報交換の場の創設の支援を、経済産業局が、日本弁理士会地方支部を活用して行うこと

4.        高専等を核とした中小企業人材育成システムの構築(新規予算4億円)について、団塊の世代が順次定年に達する2007年を控え、中小企業を支える技術人材の育成を、知財人材としての実践性に重点を置いて支援すること

5.        中小企業基盤技術承継支援事業(新規予算4億9千万円)について、もの作り中小企業が蓄積・保有する技術・技能の承継を円滑にするため、設計・加工ノウハウ等を電子的に蓄積・活用することを可能にするソフトウェァを開発し、中小企業者に提供されるに際して、知的財産権および技術秘密との関連を明確にすること

6.        中小企業知的財産啓発普及事業(新規予算1億円)について、「知財駆け込み寺」やセミナ-開催に、諸分野の知財人材を動員されること

7.        若者と中小企業とのネットワ-ク構築事業(新規予算19億円)について、知的財産研修をネットワ-クの核とすること

8.        中小企業少子化対応経営普及事業(新規予算9千万円)について、知的財産開発が対策を中核とすること

9.        小規模事業者全国展開支援(新規予算25億1千万円)について、実用新案による特産品開発、地域ブランドの創設を支援すること

10.「平成18年度予算に係る中小企業・ベンチャ-挑戦支援事業のうち実用化研究開発事業補助金申請の公募」については、知的財産に関する記述に重点を置くこと

「平成18年度予算に係る新連携対策補助金申請の公募」についても、知的財産に関する記述に重点を置くこと 

PATENT STRATEGIES

「知的財産基本法の施行の状況及び今後の方針案」(2006-02-17)に関する要望

 (対・内閣知的財産戦略本部送信済)

                2006-02-27   弁理士 佐成 重範

1.「実効性確保」の第2期にも、「制度改革強化」を要望:

1-1 内閣知財戦略本部の知財サイクル専門調査会に付議(2006-02-17)されました標記案では、これまでの3年間(第1期)に対し、平成18年度からの3年度間を第2期とし、第1期が「制度整備」の成果を挙げたことを受けて、第2期は、「実効性確保」を達成すべき期間と定められました。これは、中山信弘本部委員の強力なご発言の通りで、広く各界が賛同されることと考えます。

1-2        しかしながら、制度面についても、知財インフラ制度と法曹インフラ制度の不整合(例えば、知財弁護士の供給母体としての弁護士数を、米国の百万人体制に近づける制度改革)、デジタルコンテンツの著作権保護制度とデジタルコンテンツの流通活発化制度を両立させる制度改革を始め、職務著作と職務発明の帰属制度の相違、系列中小企業の知財を支配大企業の侵害から擁護するための旧職務発明制度類似の中小企業帰属強行規定の制度化、審査請求制度合理化のための先使用権制度の補強、医療特許・医薬品特許の全人類福祉適合化の制度等、現行制度に内在し、ないし、他制度との間に外在する不具合・矛盾・撞着を解決する「残存制度課題」をも、明示していただきたいと存じます。

1-3        特に、デジタルコンテンツ振興については、パブリックコメントが極めて活発で、JASRAC(知財信託の一類型)批判(極めて痛烈)、コンテンツ委員会の委員構成批判に至るまで、利害関係の先鋭化が見られます。「パブリックコメント等を十分に配慮して立案しているか」という委員発言にも傾聴いたします。

「著作権を許可権から報酬請求権に改革すべきである(実施を先行)」(A弁護士)という意見をも十分検討されたい。著作権と特許権を創作権とし、識別子権と対応させる考え方(中山教授等)からは、著作権についての制度改革が特許権・裁定実施権の制度改革に波及することも考えられます。

2.「デジタルに国境はない」に「コンテンツには国境がある」の付記を要望:

  標記案では、コンテンツ振興対策の内容を「別途」としていますが、デジタルコンテンツ専門調査会の「デジタルに国境はない」という柱書には、すこぶる懸念を感じます。通信工学的に「国境がない」ことは今更強調する余地は無く、「それにも関らず、コンテンツには国境がある」ことへの対応を検討することを明記していただきたい。

 政治的理由からのハードウェア規制等によるデジタルコンテンツ規制は、途上諸国等で見られ(過去の例ではパラボラアンテナのサイズ統制)、プロバイダ-段階でも過去には、「ナチス遺品のネットオ-クションをフランス政府が非難」などがありました。

 コンテンツの国境性を十分に認識してデジタルコンテンツの世界流通を促進することの重要性を強調されることを望みます。

3.「国際標準化」の実態に即する記述を要望:

 「国際標準化活動の推進」とありますが、ITU国際標準への適合は任意であること、国際標準化を是非必要とするのは電気通信分野であるが、この分野の国際標準化は、「有力多国籍企業・企業群の世界市場制覇の追認・ファミリ-コンセプト等による複数標準並列」が実態であること等を、先ず認識することが必要と考えます。換言すれば、ディフアクト標準化に全力を注ぐべきであると考えます。

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